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Lennard-Jones Potentialをプロットしてみたよ

Last updated at Posted at 2022-08-23

ペアポテンシャル

化学の勉強をしているとある原子に働く力だったりエネルギーを知りたいなって時があります。ある一つの原子が感じるポテンシャルは、他の原子一個からの個々のポテンシャル$ \phi_i$を考えて、その足し合わせが原子が感じる全ポテンシャル$ \Phi$としていいよねっていうのがペアポテンシャルの考え方です。

$ \Phi = \sum_{N} \phi_i$

$ \phi_i$が$i$番目の原子から受けるポテンシャルで系中の$ N$個の原子分足し合わせています。
静止している原子に関してはポテンシャルがそのまま原子のエネルギーとしていることが多いと思いますし、エネルギーの位置微分がその原子にかかる力$ F$と考えられます。

$ F = \frac{\delta}{\delta r} \Phi$

原子のポテンシャルがわかっちゃえば、エネルギーも加わる力もわかって便利ですね。ペアポテンシャルの中でとりわけ有名なのがLennard-Jones potentialです。レナードジョーンズポテンシャルって読みます。

Lennard-Jones potential

Lennard-Jones potentialは斥力と引力の足し合わせでポテンシャルを表現します。導出はここではしません。

$ U(r) = 4 \epsilon [(\frac{r_{ave} / \sqrt[6]{2}}{r})^{12} - (\frac{r_{ave} / \sqrt[6]{2}}{r})^{6}]$

ここで$r$, $\epsilon$, $r_{ave}$はそれぞれ原子間距離、安定化エネルギー、最安定距離です。引力はポテンシャルが小さくなる項、つまりマイナスの第二項に相当します。この引力の起源は励起双極子-励起双極子間相互作用で、van der Waals相互作用とよく呼ばれる力です。

このvan der Waals相互作用は電気相互作用に比べて小さいです。したがって、Lennard-Jones potentialは電気相互作用が働かない電荷を帯びない原子間でよく成り立ちます。

詳しい解説はキッテルに載ってます。キッテルでも斥力の導出はしてないですが引力の解説はバッチリです。キッテルはいいぞ。
・Charles Kittel著、宇野良清 津屋昇 新関駒二郎 森田章 山下次郎 共訳「キッテル固体物理学入門」第8版、丸善出版、2015

プロットしよう

さて、ここからが本題です。プロットしていきましょう。

import matplotlib.pyplot as plt
import numpy as np

#Lennard-Jones potential
ep = 1 # 安定化エネルギー
r_ave = 2.5e-10 # 最安定原子間距離 

rho = 2**(-1/6)*r_ave

r_length = 100000

r = np.linspace(1e-10,9e-10, r_length)

U = 4*ep*((rho/r)**12 - (rho/r)**6)
U1 = 4*ep*(rho/r)**12
U2 = -4*ep*(rho/r)**6

dy = 0*r

fig_e = plt.figure()
ax_e = fig_e.add_subplot(111)

plt.ylim(-2, 2)
plt.plot(r, U)
plt.plot(r, U1, linestyle="dashed")
plt.plot(r, U2, linestyle="dashed")
plt.plot(r, dy, color='k', linestyle="dashed")

ax_e.set_xlabel('Distance[m]', fontsize=20, color='black')
ax_e.set_ylabel('Energy[eV]', fontsize=20, color='black')

安定化エネルギー$\epsilon = 1$[eV]、$r_{ave} = 2.5$[10$^{-10}$m]としてます。
次に実行結果を示します

Lennard-JonesPotential.png

いい感じですね。
青線がLennard-Jones potentialです。緑点線がvan der Waals相互作用、橙点線が斥力です。黒点線がポテンシャル0を表しています。遠くの方から考えると、まず、ポテンシャルは無限遠で0になっています。そこから原子間距離が近づくにつれて、まず引力のvan der Waals相互作用が大きくなりポテンシャルが負の値を示します。ポテンシャルが負の値のときエネルギー的に安定です。最安定な原子間距離$r_{ave} = 2.5$[10$^{-10}$m]で安定化エネルギー$\epsilon = 1$[eV]分だけポテンシャルが減少したのち、斥力が大きくなりポテンシャルが正に発散していきます。このポテンシャルから二つの原子は近づきすぎず離れすぎずのちょうどいい距離感のところで安定になるのだとわかります。付かず離れずのちょうどいい距離感が大切ってところは原子も人間もおんなじみたいです。

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