はじめに
私は現在社会人1年目なのですが、約1年間働いてみて「心理的安全性」はかなり重要だと感じました。
そして4月から新入社員が加わり先輩社員という立場にもなるため、「心理的安全性」を提供することも考える必要が出てきます。
そこで「心理的安全性のつくりかた」という本を読んでみたので、要約と感想を述べてみたいと思います。
(ビジネス書を読むの久々...)
本の要約
本の内容がかなり盛りだくさんだったので、その一部分を私の独断と偏見で簡単にまとめてみました。
心理的安全性とは
日本の組織における「心理的安全性」があるチームとは、
- 話しやすさ
- 助け合い
- 挑戦
- 新奇歓迎
の4つの因子があるチームのことを指す。
4つの因子について、具体的な行動に分解すると
- 話しやすさ
- 話す、聞く、報告する、報告という行動自体を(内容とは切り分けて)褒める、雑談する
- 助け合い
- 相談する、相談に乗る、自分一人で対応できないことを認める、トラブルを楽しむ、解決のためのアイデアを広く募る
- 挑戦
- 挑戦する、機会を与える、実験する、失敗を歓迎する
- 新奇歓迎
- 個性を発揮する、強みに応じて役割を与える、批判を一時脇に置く、違いを良い悪いではなくただ違いとして認める
などが挙げられる。
つまり、上記の行動が多いチームこそ、心理的安全性があるチームである。
googleの研究によると、心理的に安全なチームはパフォーマンスと創造性が向上し、メンバーの離職率が低く、収益率が高く多様なアイデアを効果的に活用できているという。
行動分析
行動分析とは
行動分析とは、自分や自分たちのチームにおいて、どのような経緯で行動が起こっている/起こっていないのかを分析することである。
この分析で使われる最も基本的なフレームワークがきっかけ→行動→みかえり
であり、人々の行動は「きっかけ」と「みかえり」によって制御されていると考える。
具体例
例えば、Aさんにはやめたい習慣として「つい食べすぎてしまう」があるとする。
このことについて行動分析を行うと、
- きっかけ:夜家にいる、食料が家にある、仕事のストレスがある
- 行動:食べ過ぎる
- みかえり:美味しさを感じる、満足感を得る
となり、上記の「みかえり」が、食べすぎるという「行動」を強化している。
この場合「みかえり」を変えることはできないため「きっかけ」を変えるべきであり、
例えばスーパーの特売日でも必要な分だけ購入し、家に余分な食料を置かないようにするといったアプローチが考えられる。
みかえりについて
行動分析において、次回おなじ行動をとる確率が増えるみかえりのことを好子、減る見返りを嫌子という。
研究によると、叱るといった嫌子で(ミスなどの)行動を減らそうとすることについては効果が疑わしく、同様に嫌子を減らすことによる行動の強化もあまり効果的ではないという。
心理的安全性のあるチームをつくるために
あなた自身の行動がメンバーにとっての「きっかけ」「みかえり」の一部となり、
4つの因子の行動量を妨げる「きっかけ」「みかえり」を減らし、
4つの因子の行動量を増やす「きっかけ」「みかえり」をつくることが目標。
例えば「話す」という行動をとり、
相手が「うなずきや反応をしない」という嫌子を返している場合、
その人の「話す」という行動は弱化され、心理的非安全なチームとなってしまう。
別の例として「トラブルの相談してねと伝えておく」というきっかけがあり、その人が「相談」という行動をとったときに、
「すぐに教えてくれてありがとう」と伝えたり、問題解決を手伝うというみかえりがあると、
その人の「相談する」という行動は強化され、心理的安全なチームにつながる。
「話しやすさ」に関する行動を増やす
- 話しかける(きっかけを与える)
- 心理的安全性の高いチームは「5~10分程度の短い会話の頻度が多い」ことが知られている
- リモートワークでもチャットで「今日はどう?」「作ってもらった資料、お客様に好評でした。ありがとう」など、軽くコミュニケーションをとることは役に立つ
- 「相槌をしない、話した内容について詰める」といった反応(みかえり)をやめる
- 「相槌を打つ、お礼を言う」といった反応(みかえり)をする
- 仮に報告の質が悪くても「報告したこと」に対して好子となる反応をするべき
- 行動自体と行動の質は分けるべき、行動を増やしつつ質を高めていくべき
- 反対意見や改善点のフィードバックを促すときはきっかけをつくったほうがよい
- 「何でも言ってね」と言われても急に発言できる人はなかなかいないので、具体的に「懸念点やリスクを思いつく人はいますか?」などと聞く
「助け合い」に関する行動を増やす
-
「困っていることある?」と聞いてきっかけを与える
-
メンバーの中には「トラブルを起こしたら自分で解決しなければならない」という信念を持っている人もいるため、「共に問題に取り組んで解決するために、報告・相談してほしい」と率直に期待を伝えたり「早めに問題を教えてくれたら、燃え広がる前に鎮火できるから」「10分手が止まったら教えてね」のように伝えることも役立つ
-
問題が報告されたとき「なぜ」「どうして」という言葉は細心の注意を払うべき(ネガティブな言葉・みかえりに捉えられる)
- 「なに」「どこ」を使うとうまくいくことが多い
- 例えば「なにが大切だと思って、このようにしたんですか?」「どこを改善するとうまくいきそうですか?」
「挑戦」に関する行動を増やす
- 挑戦
- はじめに導入したいのは「挑戦を歓迎する」ことを率直に伝えてきっかけを与える
- ほかには「顧客の不満や悩みを探し、それをなんとかできないか考える」「新しいやり方を2週間ほど試してみる」など
- 「できない理由・リスクを並べる」「手をあげると一人ですべてやることになり、孤独な戦いになる」「責任をとらせる」といったみかえりをやめる
- 「チャレンジ自体を称える」「経過を見守る」「結果をともに振り返りともに学ぶ」といったみかえりを与える
「新奇歓迎」に関する行動を増やす
- 新奇歓迎
- 「強みを発揮してほしい」と率直に伝えてきっかけを与える
- 「上司の意見が絶対」「得意/不得意を勘案しない悪い平等主義」などのきっかけをなくす
- 「細かい手段に対してぐちぐち指摘する」「言われたことをやるだけのほうが評価される」といったみかえりをやめる
- その人が「やりたいこと・大切にしたいこと・強み」の領域で輝けるような役割を与える
心理的安全性なチームをつくるアイデア集
行動・スキルレベル
基本的には上記で書いた内容に加えて
- 感謝から始める
- 報告を受けたら、まず「報告ありがとう」
- 相談のハードルを下げる
- 途中の段階でも見てもらう
- 1on1
- 筆者は1on1の際に以下の3点を聞くことを推奨している
- よいニュースは何ですか?
- 悪いニュースは何ですか?
- いま、不安や不満なことはありますか?
- そして、2や3を言ってくれたときの対応が重要
- 悪いニュースを話してくれた時、叱ったり詰めたりすると二度と話してくれなくなるので避ける
- 困ったニュースが報告されたら、メンバーと一緒に困ってあげる
関係性・カルチャーレベル
- 会議の冒頭で「この場所は安全な場所です。どんな意見やアイデアを言ってもいい場です。」などのように宣言する
- フォーマットを変える
- 例えば、日報に「今日のコンディションを顔文字から選ぶ」項目を置いたりして、アラートを上げるきっかけを軽くする
- 制度を変える
- やらなかったら罰を与える制度をやめて、やったら褒める制度へ
感想
個人的には、話しやすい環境がないと助けを求めることも、挑戦したいことを伝えるのも難しくので、話しやすい環境をつくることが一番重要だと感じました。
そして人数が多いミーティングではやはり発言をしにくくなってしまうので、1on1などの少人数かつ(雑談も含め)率直に語れる場を作るべきだと思いました。
(実際に先輩社員と1on1の機会をいただいていて、ありがたみを感じています)
プロジェクトで関わりの強い人とは特に定期的な1on1などを通じて、話しやすい環境を用意していきたいですね。
参考図書