スカラーとは普通の数を意味し、足し算・引き算等の計算が可能なものである。ベクトルとはスカラーに向きを持たせて矢印で図示されるものである。さらにベクトルを並べて、スカラーの表形式にしたものを行列と呼ぶ。行列計算は膨大な変数をもつ連立方程式を一度に計算できる点でメリットがあり、自然科学分野における数値解析で広く使われている。また行列計算の複雑性を減らすために、固有分解、特異値分解という考え方がある。固有値分解とは正方行列を、固有ベクトル(*1)を並べた行列、固有値(*1)を対角線上に並べた行列、固有ベクトルを並べた行列の逆行列の積で表現すること(*2)である。一方正方行列以外の場合は、その行列と行列の転置行列の積を固有値分解して、同様な形式で表すことを特異値分解(*3)と呼ぶ。
(*1)固有値、固有ベクトル
ある行列に対して、以下の数式が成り立つような特殊なベクトルxを固有ベクトル、右辺の係数λを固有値と呼ぶ
Ax=λx
(*2)固有値分解…A = VΛV-1
A:正方行列、V:固有ベクトル行列、Λ:固有値を対角線上に並べた行列
(*3)特異値分解…MMT = USST U-1
M:正方行列でない行列、U:左特異ベクトル行列、SST:特異値の2乗を対角線上に並べた行列