はじめに
近年、AI(人工知能)の発展は目覚ましいものがあります。画像認識、自然言語処理、機械学習などの分野での進展は、私たちの生活やビジネスの多くの側面を変革してきました。しかし、この技術の急速な進化に伴い、AIの悪用も増加しています。特に、AIを用いた世論誘導やフェイクニュースの拡散が深刻な問題となっています。そのため、情報の信ぴょう性を確認する能力がますます重要になっています。本記事では、AIによる世論誘導の実例について探っていきます。
1. 処理水放出を批判するブログ記事作成
日本を標的にした事例が確認されており、東京電力福島第1原発の処理水放出を批判するブログ記事の作成にAIが使用されていることが報告されています。
- 処理水放出を非難する内容の文章の作成
- 英語、日本語、中国語、韓国語、ロシア語で、日本が福島原発からの排水で太平洋を汚染していると非難する記事を生成
- 処理水を意図的に「汚染処理水」と表現して、ネガティブなイメージを広めようとする
2. 台湾で生成された顔写真のSNSアカウントで批判的な投稿が拡散される
台湾では、AIで生成されたと思われる偽の顔画像を使用したSNSアカウントが、蔡英文政権や欧米に批判的な内容を拡散していました。
こういった、ボットアカウントにAIで生成された人の画像を使う理由としては、SNSの運営元から凍結の対象になりにくいという点がある。
3. ウクライナ侵攻に関するフェイクニュース
ロシアによるウクライナ侵攻に関連して、様々なフェイクニュースが作成・拡散されていることが報告されています。
フェイクニュースの事例
- ゼレンスキー大統領の妻がブランド品に身を包んだ偽の画像を作成・拡散
- 実在する雑誌の表紙を改ざんし、ゼレンスキー大統領を批判的に描いた偽画像の作成
- ウクライナ兵を卑怯に、ロシア兵を勇敢に描く印象操作
これらのフェイクニュースは、情報空間を戦場の一部として利用し、人々の認識や国際世論に影響を与えようとする「情報戦」の一環として位置づけられています。
4. ガザ戦闘に関してのフェイクニュース
フェイクニュースは、ウクライナの戦場映像、映画の撮影場面、ゲームの映像などを流用して作成されることが多く、主にソーシャルメディア上で拡散されています。
以下の事例が確認されました。
- 「ハマスが人質にしたイスラエルの子供たち」として幼児がおりに入れられている動画
- 「イスラエル軍がガザを核爆撃」という投稿
- 「ウクライナがハマスに武器を渡したとBBCが報道」といった偽情報
ウクライナ侵攻と合わせてガザの戦闘に関連するフェイクニュースは、情報戦の一環として利用されており、国際社会全体での対策が求められています。
最後に
AIの発展に伴い、フェイクニュースと真実のニュースの区別がますます難しくなっています。そのため、私たちは情報の信ぴょう性を自分自身で確認する必要があります。この記事で記載した内容も、ぜひ皆さんご自身で確認してみてください。最近では、検索結果をその情報源と合わせて表示してくれるPerplexityというツールが無料で利用できるようになりました。これを活用して、信頼性の高い情報を見極める一助とするのも良いでしょう。
※Perplexityについての記事も書いたので、確認してみてくださいorz