― 作業者や工程の傾向を記憶し、最適化と再発防止を実現 ―
【はじめに】
製造業の現場では、作業者のミス傾向や工程条件のばらつきにより、生産性と品質に大きな差が生まれます。
これらを**「記憶」**し、経験を再利用できれば、最適化と再発防止が可能になると考えました。
LangChainが開発した長期記憶ライブラリ LangMem を用いることで、製造業の知見を「人」や「工程」単位で構造化し、現場の個別支援やインシデント対応を行う「SmartMem Factory」システムを提案しました。
【SmartMem Factoryの主要機能】
作業者支援
- LangMemで「ミスが多い作業項目」「頻出エラー」を記憶
- LLMが実行前に注意点をプロンプト生成
工程最適化
- 機械設定、環境条件と一緒に、不良率や給付ラベルを記録
- 「低不良率」の記録と「高不良率」の記録から、LLMが最適条件を推定
クレーム対応・再発防止
- 「ロット番号」「不良現象」「対応内容」を「エピソード記憶」としてLangMemに保存
- 類似現象発生時に、「過去の対応チェック」を表示
【コード例】
1. 作業者支援
from langmem import create_memory_manager
from pydantic import BaseModel
class WorkerProfile(BaseModel):
worker_id: str
error_prone_tasks: list[str]
manager = create_memory_manager(model="openai:gpt-4o-mini", schemas=[WorkerProfile])
# ミス記録
log = {"role": "user", "content": "Aさん、部品Xでネジ編続を忘れた"}
manager.invoke({"messages": [log]})
# 次回、引き出し
next_task = {"role": "user", "content": "Aさん、部品Xの組立開始"}
print(manager.invoke({"messages": [next_task]}))
- 工程最適化
from langmem import create_memory_store_manager
manager = create_memory_store_manager(model="openai:gpt-4o-mini", namespace=("process",))
# 成功ロットを記憶
manager.invoke({"messages": [{"role": "user", "content": "温度200℃ 圧力50kPa 不良率0.5%"}]})
# 現在の情報を先に依る設定推定
print("推奨: 200℃、50kPa に設定変更")
- クレーム再発防止
# 過去のクレーム記憶
claim = "2025/4/12 ロット#992 ひび割れ: 原因は冷却不足"
manager.invoke({"messages": [{"role": "user", "content": claim}], "namespace": ("claim",)})
# 類似発生時
print("提案: 同様事例あり。冷却時間延長で解決済")
【実用プロセス】
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PoC: タブレットのミニアプリで記憶系を実装
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MES/SCADA統合: 製造結果やセンサー情報をアクティブに記録
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LLM分析: 過去記録と現在値を比較して推定
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UI返信: 作業者UI/MESに推奨指示
【おわりに】
SmartMem Factoryは、LangMemの構造化記憶とLLM推論力を駆使して「人」や「工程」の知見を再利用可能にする新しい現場最適化プラットフォームです。
「記憶」する現場、「忘れない知見」をベースに、生産性や品質を自動的に向上させるシステムいかがでしょうか?現実味ありますかね?