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場末の学習塾役員兼内製プログラマーが社内をティール組織に染め上げるために立ち上がった話~一発目~

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経緯

組織形態によって開発効率が変わると思う今日この頃、開発の組織形態を模索している方も多いのではないでしょうか?
出自が開発ではなく学習塾講師だった私はキャリアを進めていく中で早い段階でマネジメントの立場に上がってしまったためなのか勉強する内容が経営の範囲であることが多く、純粋なプログラマーとは違った歩み方をしてきました。

プログラマーと教育従事者は労働環境(例えば労働時間や行き過ぎた成果主義など)が似ていると思っています。
また共通して精神疾病者の数が多いということも取りざたされています。

しかし、私見ですがこの二つの業界は確実に「そう」なってはいけない業界のはずです。
まず、プログラマーは情報化社会が進んでいく中であらゆる効率化のための手段を生み出す人間のはずで、その人間の業務が効率化されていないというのは本末転倒であり、由々しき事態だと思っています。
また、教育従事者は次の世代を担う子供たちの見本であり、勉強を頑張った先にあるロールモデルにならないといけないはずです。そのロールモデルが「ブラック」などと言われてしまうこの現状もまた、看過すべき問題ではないでしょう。

ただ、どちらも確実に現状は上記のものとなっており、それを改善するためには何かしらの抜本的な解決策が必要なのは間違いなく、このたびそれをティール組織と位置付け動き始め、成功例を広めたいというのが経緯となっています。

ティール組織を根付かせるための方法論仮説

組織改革のプロセスとして、ジョンP.コッター氏の提唱する「8段階のプロセス」を採用しました。
組織改革は以下の8段階によって成立するという方法論です。
(1)危機意識を高める
(2)変革推進チームをつくる
(3)適切なビジョンをつくる
(4)変革のビジョンを周知徹底する
(5)メンバーの自発的な行動を促す
(6)短期的な成果を生む
(7)さらに変革を進める
(8)変革を根付かせる
本記事は(4)までを行った記事となります。

過程概要

1.ティール組織のインプット
2.ティール組織のアウトプット
3.目的会議
4.ロール会議
1は8段階のプロセス中(1)の内容です。
2-4は(2)から(4)までの内容となります。

過程詳細

1.ティール組織のインプット

新たな概念であるティール組織のインプットを推し進めるために2018年1月に販売された和訳本であるティール組織を手始めに読んだところ
今までの組織形態のパラダイムを色で名付けて以下のように紹介していました。

衝動型組織(レッド組織)

組織生活の最初の形態で、一人の長がその組織を圧倒的な力によって支配している組織。

順応型組織(アンバー組織)

正式な役職や固定化された階層、組織図が明確に定められておりヒエラルキー型のピラミッド構造でトップダウン型の組織。

達成型組織(オレンジ組織)

基本的なピラミッド型構造は残しつつも、複数の部門にまたがるチームなど柔軟性をもたせる代わりに強い実力主義を取り入れた組織。

多元型組織(グリーン組織)

ピラミッド型構造にも拘わらずトップダウンではなくボトムアップによる意思決定プロセスを採用しているような組織。

進化型組織(ティール組織)

ピラミッド型の組織構造は見られず、社員一人ひとりが主体性を持つ自主経営組織。

上記の内容を受けて弊社は多少のピラミッド型構造を残しているものの、意思決定プロセスは現場に一任されていることが多く、実力主義も取り入れていないとのことからグリーン組織であると位置づけました。
そして、次にティール組織であればなにが解決されるかを考えました。

弊社ではグリーン組織を採択している現状で利益が上がりにくいという問題に直面しています。個々がステークホルダーにしたいことをするという形式では予算を度外視してしまう場合も多く、ステークホルダーに大きなベネフィットをもたらすことができても会社にベネフィットをもたらすことが出来ないケースが多発していました。圧倒的に他社よりも利益率が悪かったのです。

役員である私はサービス残業と長時間労務は絶対悪でありそれを部下に強要することは絶対にしないと決めていました。しかし、そうすると利益率が低いことが要因で社員の年収を上げることが出来ないというのも問題です。無い袖は振れません。

そこを解決するシステムとしてティール組織の自主経営システムに目をつけました。

情報の非対称性をなくしてしまい、正しい判断を全社員が行えるように手配すると同時に利益率という重要な指標を与えてしまえばそれは大きく改善されるのではないだろうか、とこう考えました。

その仮説を検証するべく、次のティール組織のアウトプットに移りました。

2.ティール組織のアウトプット

社外で勉強会を開いてティール組織のアウトプットを始めました。プレゼンしてみると案外受けもよく、そこで掴んだ実感をもとに取締役に直談判しましたが、組織構造を抜本的に変えることと情報をオープンにすることのこれらが非常にリスキーということで初めは渋られました。しかし、現状の問題として利益率が低いこととその解決策としてティール組織の自主経営システムが利用できるのではないかと、メリットの大きさを根気強く説明し、理解してもらうことで実行に移すことが出来ました。
そして、社内でこういう新しい概念を取り入れることに抵抗がない人間を集め何度かティール組織の研修会を開き、徐々に考え方を広めていきました。初期チームは私含めて三人でした。正直、現在の社会常識からはかけ離れている概念なので無理やり進めてしまうと反発を食らうのはまちがいないだろうなと思っていたのでゆっくりと丁寧に広げていきました。
このアウトプットが完了するまで4か月くらいの時間を費やしました。今回は慎重に進めていましたが、社内の受けもよかったので会社の風土によってはもっと急げる印象を受けましたね。

3.目的会議

会社の理念はありましたが、もう一度、目的に立ち返るためにも目的を定める会議を行いました。このとき意識していたのはどう社内の人間の意識を統合するかです。
「社会のための会社」また、「自分たちのための会社」になるためにどのような目的を定めるべきなのかを各々に内省するタイミングとしてこの会議を位置づけ、全体の意識合わせを行いました。

4.ロール会議

目的会議で定まった目的をもとに、ロールを決めていきました。
今までにない切り口からロールやストラテジーが出たりなど、その点で非常に面白いなと感じました。
また、社内でなんとなく兼任していた業務が明確に専業化されていくのも実感できました。
ここで行った工夫としてはロールの兼任を許可することです。あらゆる側面から目的を達成するためのTodoを集めてもらいました。

これまでのメリットデメリット

メリット

・新たな概念を取り入れることで社内の勉強意識が変わる
→既存概念とは全く違う新たな概念が入ってきたことによって社内での勉強意識が変わったと思います。

・社内が活気づく
→ティール組織の特徴である自主経営システムはやる気のある社員から見ると非常に魅力的に見えるようです。自分がやりたいことを自分の裁量で進めることが出来ることが楽しみであると話をしていました。

・専業化が進む
→社内でなんとなく兼業していた業務が専業化され、Todoが明確になりました。

デメリット

今のところ特になし。

潜在的なデメリット

〇社内の反応から予測されるデメリットを予測しています。

・労務管理をしないことによる労働時間の二極化
→ティール組織は管理職を置かないので労務時間も管理しません。すべて自主経営システムにそれが組み込まれます。また、弊社ではロールの兼任を許可しているので、この状況で何も対策しないでいると長時間労働する人間とそうでない人間の二極化が必ず訪れることが予測されます。

まとめ

まだ社内のティール化は始まったばかりで目立ったデメリットが出てきていません。メリットに関しても、これは滞ってた組織戦略がティール組織をきっかけに動いただけの話で、ティールだからこそのメリットと感じられる部分は「社内が活気づく」という点しか認められないと思っています。

ただ、メリットが顕在化するのは8段階のプロセスの
(5)メンバーの自発的な行動を促す→(6)短期的な成果を生む
の部分だとは考えておりティール組織が良いものか悪いものかという判断をここでするのは尚早です。

また、組織を抜本的にかつ、社会的に非常識に変えるとなると大きな原動力が必要なのは間違いなく、それは確かな知識と強固な行動力を持った「人」であると考えています。(5)と(6)のプロセスがカチっとはまっていたらこちらからの強い働きかけなしでものごとが雪だるま式で進んでいくと仮説していますが、それまでは私の働きかけがティール化成功のカギになると思っています。
次回は(5)と(6)のプロセスの過程、もしくはその結論まで書ければと思います。

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