はじめに
半年ほど1on1を実施してきたので、自分なりに意識していることをまとめてみました。
色々ご意見あると思うので、是非コメントにてご指摘いただけますと幸いです。
準備編
目的を整理する
1on1の目的は、以下のように多様に設定できます。(後の方がより発展的なイメージ)
- 課題発見: 業務上の問題の検知やメンバーの相談や意見を受ける
- 従業員満足度の向上: 相互理解を行うことによって、心理的安全性の向上
- 評価: 目標に対するフィードバックを通して、経験学習の促進や納得感のある評価の実施
- キャリア開発: メンバーの意向の汲み取り、業務のアサインを行う
漠然と「ただ1on1を実施する」という意識だと時間の無駄です。
実施の際には目的を意識して、ファシリテートできるように準備していくことが必要です。
メンバーとの関係性を深める
1on1は、メンバーとの接点の1つでしかありません。1対1の話し合いの場を設けることで、メンバーの本音を引き出しやすくなるという効用はありますが、それはある程度の信頼関係が気づけている場合の話です。
信頼関係性が構築できていない場合、「特に話すことはないです」で何の成果も得られず終わってしまいます。
そのため、1on1を開催するにあたっては、日頃からメンバーと仲良くなり信頼関係を構築していく必要があります。
具体的には、次のようなアクションが有効だと思います。
- 挨拶をしたり感謝を伝える
- チャットやメールに即座にレスを返す
- 忙しい場合でも、その旨を取り急ぎ伝えて、落ち着いたら対応する
- 失敗を非難しない
- 失敗に対するフォローを行う
- 次回同じ繰り返しをしないようにアドバイス
- やったことを褒めていく
- 「以前と比べて良くなったこと」や「普段から意識的にできていること」
- 振り返りの場を作り、チームの課題を改善する体制を作る
- ボトムアップの意見の汲み上げを行う機会により、メンバーの発言を促進する
- 振り返りで作ったToDoは実行に移す
- 実現が難しい場合でも、理由を添えて、真摯に回答する
具体的なアクションを先に挙げましたが、必要なのは、「メンバーをしっかりと向き合っていること」を示すという姿勢です。自分自身にそのつもりがなくても、実際に行動して伝えていかないとメンバーには伝わりません。
また、信頼関係は、日頃の積み重ねから醸成されていくものなので、意識的に実践していく必要があります。この辺りは、心理的安全性の醸成に通じることがあるので、参考にしてみるとよいでしょう。
アジェンダを用意する
おおまかに、基本的な1on1の流れは以下のような流れで進めています。
- アイスブレイク
- 本題
- 前回の振り返り、ToDoの確認
- 目的に沿った質問や会話
- ToDoの確認
おおまかな流れは変わりませんが、目的により、本題で話す内容の作り方が大きく変わってきます。目的に応じて、例えば以下のような項目を用意しておき、その回答を広げていくような進め方をします。(それぞれ密接に関係しているので、状況に応じて適宜ピックアップする)
- 課題発見
- 「最近困ってることや気になっていること」
- 従業員満足度の向上
- 「最近よかったことや最近成長できたと思うこと」
- 評価
- 「(事前に設定した)目標に対する状況」
- キャリア開発
- 「将来的にやっていきたい仕事」
アジェンダの量は、リーダー・メンバーのそれぞれの負担に繋がるので、少なめでいいと思います。最初の内は継続して実施することを意識して、必要があれば内容を修正していけばいくのがベターです。
作成したアジェンダは、事前に展開しておき、話を有意義にするために話すことを考えてきてもらうとよいでしょう。
最初は、(特にメンバー側が)1on1に慣れていないことが多いので、リーダー側でアジェンダを用意すべきですが、慣れてきたら各メンバーに話したい内容をアジェンダにまとめてもらい、事前に展開してもらうと良いでしょう。
開催の頻度・時間を設定する
定期的に実施していくために、適切な開催頻度と時間を考えます。
ここは、実際に運用できる頻度と消化したいアジェンダに応じて、時間を調整していく形になります。
個人的には、隔週で30分で実施しています。
頻度に関しては、1週間だとちょっとスパンが早いと感じています。
感覚的・経験的な話になりますが、1週間の場合だとその間でやった業務を比較的鮮明に覚えており、1週間を振り返った上での所感になりやすいです。しかし、2週間になると印象的な出来事に絞りこんだ話ができ、メンバーが潜在的に意識していることが掘り起こしやすいとという印象です。
時間に関しては、アジェンダをぎりぎり消化できる絶妙なラインとして、30分としています。
ちょっと話す時間が足りないくらいの時間設定にし、1on1を有意義なものとして継続に実施していくことを意識しています。
もし、時間が慢性的に足りない状況であれば、開催の頻度や時間を調整すればいいし、緊急性の高い話がある場合ば、別の機会をセッティングすればよいです。
なお、急な予定などによって1on1が実施できない場合は、中止ではなくリスケするようにしましょう。1on1の実施の必要性に対して懐疑的な印象を与えてしまいます。
場所を用意する
1on1を実施する場所も重要です。2人の関係性に応じて、実施場所の雰囲気も変えてあげるのが効果的だと思います。
始めたての頃はオープンスペースで、1on1や普段のやり取りの中で信頼関係が築けてきたら、会議室などの密室で行うといいと思います。
オープンスペースは、話しやすい雰囲気を作りやすいですが、周りに聞かれたくない話はしにくく、対照的に、会議室は、クローズドな場なためぶっちゃけトークしやすいですが、どうしても雰囲気が固くなってしまうためです。
実践編
アイスブレイク
1on1に入っていきなり本題に入るのではなく、まず最初に話しやすい雰囲気を作るため、アイス部テイクを行いますことが大事です。
アイスブレイクというと高尚な感じがしますが、私の場合はちょっとした雑談をしています。慣れない場合は天気やニュースの話とかでもいいと思いますが、できれば「最近食べたこと」や「最近言ったところ」といった自己開示するようなものだといいと思います。
また、自分ではやったことはありませんが、雰囲気作りのために、お菓子などを用意して、食べながら進めるのも効果がありそうです。
初回:目的を伝える
1on1を実施する目的をメンバーに伝える必要があります。
メンバーの立場では、他の業務の時間の中で機会を設けることになるので、1on1を行うことによるメリットを説明する必要があります。
1on1の内容を受けて、どのようなアクションをとりたいと考えているか、事前に整理しておくといいでしょう。
傾聴を行う
1on1は、メンバーからの発信が重要です。そのため、リーダー側が一方的に話してしまうのは望ましくありません。
最初のうちは、リーダーが腹を割って伝えたいことを伝えていく場にするのもいいと思いますが、1on1の目的においては、少しずつ切り替えていきたいです。
話してもらうような雰囲気を作るために、リーダー側が聞き手となって話を聞く姿勢が重要になります。具体的には、以下のようなことを意識します。
- 相槌を打つ
- 話を遮らない
- 話を肯定的に受け止める
- 自分の考えを伝える
- 「それは〇〇だね」
- 話を要約する
- 「この話って、〇〇ってこと?」
- 話を深堀る
- YES/NOで応えられる質問でなく、広げる方向で質問する
- 「それってどういうこと?」
- 「なぜ〇〇したの?」
- 「具体的には?」
1on1の記録をつける
1on1で話した内容は、メモを取って後で参照できるようにしましょう。
その際は、自分のPCにメモを取るだけでなく、モニタなどに映して、メモ内容を二人で見ながら進めるのが効果的です。
話の内容を可視化することで、話の活性化につながりや認識の齟齬がなくなります。
後述しますが、話を聞く姿勢が重要なので、画面にばかり注視せず、相手の顔を見ることを忘れずに。
また、話の中でのリーダー側やメンバー側それぞれでやると決めたことは、ToDOとして書き残して残します。
勿論、ToDoを書き残すだけでなく、実行することが大事です。