立夏
今回は男性性/女性性について話します。
私はジェンダー差別をするつもりはありません。職場でもそうならないよう配慮しているつもりでした。しかしその配慮はあくまでIT業界で働く女性像を想定したものであって、総体としての女性像にはマッチしないという気付きを得ました。
今回の記事は男性と女性の違いについて書きますが差別する意図はありません。念の為。
PTA本部との対話
GWが明けてPTA会長と副会長2名を交えて対談する機会が得られました。
ちなみにこの対談は全員男性です。今だから分かりますがPTAという殆どが女性で構成される組織のリーダーを務める事に尊敬の念を抱かずにいられません。
ちなみにPTA会長にはNERV総司令のあのポーズでの撮影を依頼していました。乗ってくれたら儲けもの位の企画です。
PTA会長からの回答曰く
保留とした理由について、最初はとても好印象なのでOKしたが後から冷静に考えると自分の顔が殆ど隠れるのは人物像を知ってもらう目的にそぐわない。顔を全部映るようにして欲しい。
背景が黒だとおどろおどろしいイメージになるので、爽やかなイメージにして欲しい。
という要望でした。
最初から要望は受け付けるつもりでしたし、合理的な理由です。
その要望に対応する事とし、保留は解除されました。
次に窓口担当者の交代要請の件。もし虚言癖があるなら信頼を置くことは出来ません。事実確認の為詰問する頻度が多くなるが、それはお互い望まない事なので窓口担当者の交代を要請していました。
この件はPTA会長が企画にOK出したけどやっぱり思い留まったのでちょっと待つように指示したとの事。OK出してしまったので行き違いで学校に伝わった場合に備え校長・副校長にも一旦保留にする予定だ、と言った事を拡大解釈して私に伝えたようだ、との回答でした。
担当者を庇ってる感はありますが、彼女がそのまま伝えてくれれば良いだけの理由です。どうも窓口担当者は背景説明をせず結論を誇張して発言してしまう単なるコミュニケーション下手だったという結論にして、担当者交代は取下げました。
ボランティアの定義が人により異なる
対話の中で交通費支給について質問した所、PTA活動により生じた交通費は支給しないとの回答をもらいました。
また交通費が支給されない事を理由にPTA活動を拒否する事も当然可能との事です。
そこまでしっかりルールがあるならそれを明記すれば良いのでPTA会則に交通費等の支給要領を記載するよう要望を出しました。毎年新しく入る人に交通費は出ない事を口頭で伝えていくのは大変だから明記したほうがお互い楽でしょう。
前に私のボランティアの定義を書いてますが、必要経費を支給する場合有償ボランティアと呼ぶのですね。
ここのPTAは強いて言えば無償ボランティアだったという事です。
その他お金に関わる質問が2,3ありましたが、PTA会則には未定義、PTA会長も会計に聞かないと分からないとの事なので、PTA総会で会計に質問する事として対談を終えました。
対抗企画現る
企画や設計の段階でもし1つしか案が無い場合、他の案が出るまで検討を継続しましょう。
メリデメを対比する対象が無いと、相対的な良し悪しが不明なままです。
もし複数企画が無い場合、反対の総量と詳細理由に目を向けましょう。
保留が解除されたのでPTA会長の要望対応を企画チームに持ち帰ります。
企画チームで話し合った結果、そこまでの要望を受け入れてしまうと当初狙っていた意図から大きく譲歩してしまい中途半端に見える。そこまでの譲歩をするならいっそ作り変えたいとの意見が出ます。
最初から私の企画しか存在しなかったのでそのまま進めてきましたが、対抗企画が生まれる事は望ましい事です。
当初4役は賛成多数、2名しかいませんが企画チームも全員一致で賛成と受け止めていましたが、不健全だなとも感じてました。
というのも対抗案があって初めて検討に値する、理由なく単に嫌だというのは検討に値しないと切り捨てていましたが、正直に言うと自分の企画が通るならそれはそれで面白そうだし、成り行きを見てみたい気持ちも強かったからです。
2名では採択できないので対抗企画のイメージ図を作成してもらい、部員全員に投票してもらう事とします。
極端な例えですがシステム開発に当てはめると要件定義工程で調整先2社のうち1社との合意形成が完了した所で要件定義のやり直しを受注したベンダーが言い出すというちょっとありえない状況ですが、工数はボランティア、スケジュールは先延ばし可能、ベンダーが品質向上の為要件の再定義を自発的に申し出たと受け取れば、納得は出来ます。
(※自分が受注したベンダー側だったら絶対こんな事にはさせませんけど)
企画は没になって当たり前、対抗企画を作成して提出してくれた事に感謝します。
ある意味私の主張する民主的プロセスに乗っかってくれた訳ですから。
私の企画は元々男性受けする企画だと思うので、女性のデザインした企画と比べれば投票者も殆どが女性である事から負ける事は必至でしょう。
投票の結果圧倒的多数で私の企画は負けました。
あ…ありのまま、今起こった事を話すぜ!
正直何がおきたのか理解が追い付いてません。恐ろしいものの片鱗を味わったようです。
全体で何ページになるかの想定はありましたが、企画を持ち寄ってみない事には打合せもできません。各企画チームの案がまとまったので、やっと広報誌全体構成の検討を始められます。
緊急事態宣言中ですので直接集合して会議する状況ではありません。情報伝達はLINEグループを作って進めています。
以下*印がついているのが私の行動、他は会議参加メンバーの行動です。
(1 ) 各企画の想定ページ数を発表する。合計5Pとなる。
(2*) 6Pにする為の穴埋め、若しくは再配置による4Pへの圧縮の検討を提案する
(3 ) もう一人の職員紹介メンバーが4Pに収めるよう自分の企画を取下げると言い出す
(4*) 流石に取下げるの早すぎでは、と思い他意見を募る
(5 ) 突然私への反論が多くの人から沸き上がる
反論の内容は
(a) 最初から4Pと決まっていた。今更6Pにするとはどういう事か
(b) 最初からページ数が決まっているなら、今の企画は立てなかった
(c) 部長が会議をかき回す
(d) 細かくチーム分けせず最初から全体で会議をしていれば良かった
(e) 今来たばかりでよくわかりませんが非難
(f) そんな事聞いてませんよと非難
(g) その他良く分からない非難
(h) どうやら日本語が通じてない故の批難
非難は無視して会議に関する反論に一つ一つに回答していきますが、火に油を注いでいたようでエスカレートしていきます。
こうなると会議の体を為さないので、広報誌の構成と4Pに収める為の検討は他参加者に委任しました。
考察してみる
観測結果からすると組織運営に完全に失敗しています。
現状まともな会話が成立しにくい状況なので、理由の聞き取りも出来ません。
憶測で分析したくはないですが整理する為に原因を仮定していきます。
以下考察は先の(1)~(5), (a)~(g)に対応します。
でもこれも男性視点での分析なんだろうな…
(3)早すぎる同調
アイデアの主張よりも衝突を避けたという事でしょうか。
少数派となる事より同調する事を優先したと理解しました。
(a) 最初の発言が決定事項となる
会議体の流れを観察すると最初に発言した意見に同調の意見が続き合意形成が進んでいくようです。
私は最初から何も無ければ例年通り4P位になるのではないか、とあくまで仮定を述べていましたが、どうやら決定事項と受け取られていたようです。
仮定で進め必要に応じ再検討するという事はしたくない、不確定要素は極力排除したい、抽象ではなく具象で考えたいと理解しました。
(b) 前提有の自己否定
つまり対偶を取って前提無しの自己肯定ですね(とか考えちゃうからダメなんだろうな…)
(c) 会議体の進め方に関する認識不一致
最初に発言された意見に同調が続き決定事項となる
課題の解決案を検討するより課題を生じさせない、無かった事にする
が支配的なスタイルであれば、私がかき回すという表現は妥当でしょう。
(d) 結果に関する反省と改善提案
LINEで企画打合せする場合、発言の流量が多くなると興味ない人の負担になる事を当初懸念していました。よって企画チーム分けを行いチーム内で企画が固まってから集まって全体構成をすり合わせる方式にしようと4役で合意しており、部員の方々にも最初の部会で説明してたのですが皆忘れてるようです。
しかし反省点としては妥当なので、今後の会議体に採用する事とします。
(e) その場の流れで同調が起きる
今まで何も発言しなかった人も非難に加わり始めます。
つまり会議体の最初で議論をリード出来れば、多くは同調してくれるという戦術がありそうです。
(f) 資料を読まず、直接言い聞かせてくれる事を期待している
企画チームの会議は全て議事録を起こしLINEで部員に情報共有していました。
ページ数が仮定である事も議事録に書いてあるのですが、読んでないようです。
どうもマニュアルや議事録をさらっと読んで雰囲気だけ把握しているが詳細は見ておらず、会話の都度事前に前提説明がなされる事を暗に期待する傾向が強いなと感じました。
それは流石にこっちのコストが嵩みすぎます。文書にしたらそれ読んで理解しておいてと言いたい所ですが、全体で合意形成するには事前の言い聞かせが有効なようです。
(h) 口語でない日本語は難しい
私が企画検討という言葉を良く使うのですが「企画って何ですか」「検討って何をするんですか」という発言が印象に残ってます。
タイプ量が多くなるのは面倒なのでついつい難解(?)な用語を使ってしまいますが、口語表現の方が適切だったようです。
私の行動に関する考察
私に対立していたのは4役及び同じ企画チームのメンバーであり、他の企画チームは沈黙を貫いています。私と会話する機会の多い人は対立し、そうでない人は静観という感じです。
という事は私の普段の言動にも原因が有る事が予想できます。
恐らく私の取った以下の言動が良くなかったのでしょう。
・PTA活動を仕事として捉え、部長の役割を演じている
私は複数あるプロジェクトに担当案件が1つ追加された程度の認識でPMのロールプレイをしていますが、人間味の無い人物だと思われているでしょう。
・言葉が難解
要件定義書や基本設計書を書いてるとタイプ量を少なく簡潔に表現したいバイアスが働くので難解になっているでしょう。
職場でも稀に指摘されますが、切り替えが大変なので日常会話も同じ調子ですね。
・タスクをこなしてくれた事にありがとうは言うが、褒めない
会議を観察していると皆さんよく褒めあってます。よくそんなに言葉を尽くせるなと感心しますが私の誉め言葉は「良いね」「OK」とぶっきらぼうな表現しか使ってません。
・ルールに厳格すぎる
規則があるならそれに則り行動すべきですし、ルールが無くとも商習慣で慣例となっている行動や法律・法令に沿った判断を選択します。
対外的な依頼の仕方や期日設定の仕方は相手の事情やスケジュール感を考慮して行います。
ですが皆さんルールは読んでない、商習慣は知らない、対外的な交渉経験は少ないか皆無なので私の行動規範が厳格すぎると受け取っているようです。
台風一過
白熱した後は一旦忘れて1日位クールダウンしましょう。
色々考察するのは良いですが発言や行動の一切を止めてみましょう。
自分も相手も冷静に立ち返り、建設的に物事が動き始めます。
私が考察をしている間に状況の変化があったようです。副部長と書記の2名が代表して直接会話したいとの申し出を受けました。
私もある程度状況の把握と考察を進めていたので直接会話してみます。
・ひたすらLINE上で攻撃した事を謝罪
会話の70%位は謝罪の意図でした。あまりにも繰り返すのでこの電話で主張したい主題の1つなのだなと理解しました。
仕事だと当たり前のことなんですが私が本部の窓口担当者を詰めた事(そもそも理由もなく詰めたりしませんけど)、PTA会長と対等に会話した事(いや、そもそも単なる男性保護者同士だし、むしろお互い大変ですねとねぎらいたくもなる、それだけの関係なんですけど、何か変に妄想してるようです)を何処かで聞きつけ急に襟を正した様子です。
・素人なので完全には出来ない
次に多かった発言が「私たちは素人なのでプロの仕事はできませんから~」という発言。
私はビジネスマンの常識で物事を進めてるだけなのですが、相手は大きなギャップを感じ、同じようには出来ないと判断したのでしょう。
素人でも対外的な依頼をする際に相手の状況を慮り時間的余裕を与えて期日設定する位は出来るでしょう?と言いかけましたが止めました。
自分達を特権的に見逃がしてほしいという意図がくみ取れます。大人の考えではありませんが他人の考えを変えるつもりはありませんし、そこまで関わりたくもありません。
・女性と二人きりのチーム編成における問題
女性と二人だけのチームにしてしまった事の影響に気付けず済みませんと言われましたが、これは私も完全に失念していた問題です。
ジェンダー差別はしなくとも配慮に欠けていたなと自分でも思いました。
例えば二人が男性であっても、気の弱い新人とオラオラ系な中堅社員の2名でチーム組ませたら良くない結果になるのは想像できます。
「ジェンダー差別をしない」を意識しすぎた為でしょう、行き過ぎた正常性バイアスに陥ってました。平等に扱うを徹底しすぎた為、感覚的にNGな事をNGと感じなくなっていた自分に気が付きました。
・広報誌発行にまつわる権限の委譲要請
これが今回の会話の主題でしょう。ちゃんと要請として成り立っています。(他の主題は曖昧な伝え方もあって、私が意図を汲んで補完してる部分もあります)
広報誌発行に関する権限移譲の申し入れです。組織運営を進める上で建設的な意見です。
私が部長である以上活動を認知しない訳にはいかないので、外部組織(主に学校)に出す依頼は必ず私の了解を取ってから行う事を条件に、それ以外は好きにやって良いと権限委譲しました。
・リコールって何ですか?
これは私から提案したものです。組織運営が上手くいってない事は私も感じており、改善の為4役から私をリコールして部長交代をしませんかと相談していました。
権限移譲も解決策の一つなので伝わってるだろうと思ってましたが、返ってきた回答が「リコールって何ですか?実はよく分からないので回答してませんでした」との事…
うん。もう良いです…リコールの話は取下げます。
何となく予想してた事ですが今回の電話会議でPTAの一部、リーダー的立ち位置に居る人達は日常的に個人レベルの情報交換をしている事が分かりました。学校を中心として生活圏を同じくし、またマンション・団地住まいが多いので日常的な接触頻度も高いのでしょうね。
そういえば最初の頃、部のタスクを私の知らない所で本部担当窓口に個人的に依頼して私が後から知ったという事があったな、と思いだして納得しました。
私とPTA会長が連絡先交換をしていないか探って来る等、誰と誰が繋がってるかをとても重視しています。
PTAは皆面倒臭がってやる気はないので逃げて回るか、何となくやってる人が大多数だと予想していました。しかしイニシアチブを握りたい人達が少なからず居る、との発見もありました。
勝利条件の確認
ここで勝利条件の再確認をしておきます。
・ノウハウの活動マニュアル化(この戦線撤退したいなー)
活動マニュアルのドラフト版は作成しましたが、ノウハウの追記やアップデートのモチベーションを無くしてしました。マニュアルがあっても読まず、最初の発言に追従する合意形成を行い、公式なネットワークではなく一部が属するネットワークで口伝で伝える文化圏ならマニュアルの意義は無いでしょう、という判断からちょっと進める気が失せてます。
・ICTを用いた広報活動(苦戦中)
オンラインミーティングとチャットで進めてますが、まだ評価不能という所です。
チャットベースでコミュニケーションを取る等、一時期流行った社内SNSの活用で陥った失敗の轍に再び嵌ってる様相ですので苦戦中といった所でしょうか。
・ケレン味のある広報誌(敗北)
圧倒的多数で否決されたのでこれは完全敗北です。
さてこの記事はもう成功体験談になり得ません。
しかし失敗は成功の母、失敗の中にこそ見えやすい原因・要因があります。
当初の勝利条件は横に置いておいて「失敗から学ぶ!女性が多くを占める組織運営の秘訣!」に気持ちを切り替えて、次回更新は芒種の頃を予定しています。