[勉強会メモ]Compath Night Vol.6 Deep Learning & Business
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2015/04/21 19:30~ at CompathMe オフィス(代々木)
Compath Me 安藤さんによる導入
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Deep Learning にまつわる大きなトピック
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2012年 猫画像
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2014年 DEEPMIND を Google 買収
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2015年 ブロック崩し、パックマンのレベルが人間を超える
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結局 Deep Learining は認識精度が高い以上になにがあるの?
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ビジネスに応用する上ではぶっちゃけどうなの?
Colorful Board 渡辺さんによるトーク
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カラフル・ボード株式会社のCEO
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2005年慶應義塾大学理工学部卒業
Deep Learning 技術の進展とビジネス活用
人工知能「SENSY」のビジョン
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インターネットに情報はあふれている
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ヒトが情報を探すという行為を、人工知能が代替できないか?というコンセプト
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今のところファッションに特化している
- ファッションの好みをユーザに合わせて学習するもの
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ヒトの感性(SENSE)を学習するので SENSY
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将来、一人一台のロボットを持つ時代が来ると考えている
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上記のコンセプトには、国内外 2 千以上のファッションブランドが参加している(2015年2月時点)
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ゆくゆくはファッションだけでなく、ライフスタイルをサポートする人工知能を作りたい
EC 市場の課題考察
- 国内 EC 市場は 2005~2013年において年間 16% 以上成長している
- 実は供給量は 37% の成長率で、需要と共有にギャップがある
- 楽天で「黒いジャケット」を検索すると 100 万件程度ヒットする(2013年11月の時点では50万件くらいだった)
- 今後、個人EC、リサイクル、越境ECが増えてくると、需要と供給のギャップはさらに拡大すること必至
人工知能ソリューション
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将来、一人一台ロボットを持つ時代が到来する
- ロボットがかわりに情報収集する
- 他のロボットとコミュニケーションすることで、他のヒトの思考をインストールできるかも
- ex.憧れのモデルの感性…etc
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SENSY
- 第一弾:ファッション
- フード
- 映像
- 出会い
- 音楽
- 旅行
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検索が感性に依って難しい物
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技術要素
- クローラ
- 特徴量抽出機(画像解析/自然言語処理/DCNN)
- センス学習器(DeepLearning)
- アプリケーション
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DCNN
- Deep Convolutional Network
- 画像認識で高い性能をたたき出しているアルゴリズム
- 顔画像認識であれば、下位レイヤでエッジ、上位で顔の全体を捉えるような手法
- ファッションを抽象的に捉えるための手法として適切と判断した(らしい)
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SENSY-DCNN の評価
- 2,000種類のベンチマーク用アイテム画像
- たとえばシャツとかドレスとか
- 40種類のタグを 80% の精度で付与できた
- 研究のベンチマークでは 90% くらいは出ている…
- 2,000種類のベンチマーク用アイテム画像
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センス学習器
- ユーザの趣味嗜好サンプルを取得
- サンプルデータからユーザ単位でのモデルを生成
- 学習したモデルを用いて商品検索を実施
- 最適な商品を提案し、ユーザからのフィードバックを求める
ビジネスモデル
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事業ドメイン
- EC 業界の構造としては、1. システムベンダー型、2.ECモール型、3.メディア型がある
- SENSY は 3.メディア型をターゲットとする
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マネタイズのターゲット
- 販促・広告宣伝費(対ブランド:ユーザ割当)
- ASP利用料(対ブランド:ASPサービスの利用料)
- アプリ内課金(対ユーザ:有名人センスの提供)
- 芸能人のセンスを学習したモデルがあるので、それを提供する
- 芸能人は稼働してナンボ、というモデルから脱却する一つのチャンス?
実績
- SENSY のサービスはローンチして 5 ヶ月くらい
人工知能の研究開発
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センス学習器からスタート
- 4 ステップを実証実験
- 女性モニター(20代3名)の協力
- ZOZO TOWN のワンピース/チュニックを、モニター別に提案できるか?を実験対象に
- 商品リストをモニターが人手でスコアリング(1-5点)
- 普通に検索すると 1 点が圧倒的だったが、AI 提案だと 4 点がかなり増えたよ
- 40代の女性でもやってみた
- 20代の女性と同じような傾向は得られた
- ただ商品名で検索するよりも、ユーザの志向に合わせて検索結果表示ができたっぽい
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実運用上の正解率はどれくらい?
- 普通の EC サイトだと 15% くらいが「好き」というフィードバック
- これが 70% くらいになっているのが今のところ得られている効果
アプリ開発
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UIデザイン、アートディレクションはライゾマティクスの眞鍋大度
- 左右のフリックで好き嫌いを仕分け
- お買い物サポート機能もあり
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改善
- インストール後 1 週間のリアクティブ率
- 10% → 20% 以上に
ブランドアライアンス
- 早い段階で有力なブランドに参加してもらっている
- SHIPS, Beams, Urban Research, etc...
マーケティング
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NHK
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WBS
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日経 MJ
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日経コンピュータ
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繊研新聞
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e27
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B2C 向けで人工知能を応用したビジネスをやっているところはほとんどない
- かなり先鞭をつけているのが現状
今後の事業展開
- ASP
- EC サイト上での人工知能接客
- 一種のレコメンドエンジン?
- 対話形式でニーズをその場で聞きながら答えをだそう、というコンセプト
- リアル店舗での人工知能接客
- ミロード WORLD 店舗での実証実験を実施
- MD 最適化
- BI 的な話?
- 担当者の経験や勘でやっていた生産計画を人工知能で導き出す
- SENSY のアプリで収集したユーザの趣味嗜好が活かせるはず
- EC サイト上での人工知能接客
Q&A
質問者のバックグラウンドがバラバラで面白い質疑応答セッションになった
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Q. コールドスタート問題はどう解決している?
- A. 最初はみんなのお気に入りから推薦する
- A. ユーザの回答(教師データ)が増えると、段々アダプテーションされる
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Q. 結局レコメンドエンジンだと思うが、何が差別化要素になるのか?
- A. 協調フィルタリングに比べて、誰も商品を買っていない新商品もオススメできる
- A. ニッチな商品もオススメできる
- A. 手法的に精度がメチャクチャ良い、というのは言いづらい
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Q. 他の音楽とか映像については?
- A. まだ文献を漁りはじめたくらいの段階
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Q. フード
- A. 味覚センサーの研究が進んでいる
- A. 味を数値化するセンサーを応用できないか
- A. つまり、認識対象のドメインに応じて特徴量は検討してく必要がある
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Q. センスの移り変わりはどう追従するのか?
- A. 最新の教師データの重みを増やしている
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Q. ファッションモデルの学習モデルを、ファッションブランドに売る、というアイデアはどうか?
- A. デザインの仕事そのものをできれば理想的ではある
- A. 需要予測のレベル、というのが現実的か
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Q. 今はボルツマンマシン + Convolution が最先端、追従が必要では?
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Q. Word2Vec というのがある、特徴量の引き算足し算ができる。中川研でやっている
- A. 現時点では持っていないアイデア
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Q. 売上への影響はどの程度あるか?
- A. ほとんど価値が提供できていないのが現状
- A. ユーザが1万人程度、アプリ自体もβに近いものがある
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Q. 大学との共同研究におけるスキームは?
- A. 共同研究費を Colorful Board から出している
- A. パテントを共同で
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Q. ファッションの組み合わせ対応はできている?
- A. 今やっているところ。単品だとカタログ、これを雑誌の記事レベル(コーディネート)にしたい
- A. 全身写真をパーツに分解して解釈する&組み合わせで
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Q. 「メーカーが売りたい」商品をどう扱うのか?
- A. 基本的にはユーザーのニーズに合わせてレコメンドする
- A. 広告宣伝費をもらって別枠で出すことはあるかもしれない
- A. ブランドが使うASPサービスでは、ブランド主導で色々やってもらうのはアリ
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Q. 自分のセンスを診断してもらうようなことは可能?
- A. 技術的には可能
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Q. 販売員の後押しみたいなものは検討している?
- A. とある企業と連携している、年内には動きがある予定
所感
- 人口知能というキーワードはテクノロジー寄りの話が先行しがちだが、SENSY はうまくビジネスとして回していくことを主眼に置いている
- DNN はあくまで手段、というスタンス
- 有名人のセンスをモデル化して応用する、という観点が面白い
- 音声合成では当たり前のようにやっていることだが、感性というのは盲点だった