はじめに
ネットワークスペシャリストの学習内容整理のために投稿しています。
応用技術まで合格済みですが、馴染み無い分野を全て捨ててきたため、今回のように基本情報レベルのことも整理しています。
誤りや認識違いがありましたらご指摘いただけると嬉しいです。
目的
RIPの特徴、RIPをつかった経路制御の仕組みの理解。
以下のような問題を解くことを目的としますが、経路制御仕組みやOSPFとの違いの理解のためやや掘り下げます。
問題①
RIP(Routing Information Protocol)における、宛先に到達可能な最大ホップ数は幾らか。【NW試験R1午前2問題】
ア 15
イ 31
ウ 6
エ 127
問題②
二つのルーテイングプロトコルRIP-2とOSPFを比較したとき,OSPFだけに当てはまる特徴はどれか。【NW試験H29午前2問題】
ア 可変長サブネットマスクに対応している。
イ リンク状態のデータベースを使用している。
ウ ルーティング情報の更新にマルチキャストを使用している。
エ ルーティング情報の更新を30秒ごとに行う。
用語の説明
ルーティングプロトコルとは
ルーター間で経路情報を交換する通信を行うためのプロトコル。種類は以下。
種類 | ルーティングプロトコル | 方式 |
---|---|---|
EGP(s)1 |
EGP | 距離ベクトル型 |
BGP | 経路ベクトル型 | |
IGP2 |
RIP | 距離ベクトル型 |
RIP2 | 経路ベクトル型 | |
OSPF | リンク状態型 |
このほか、IGRP、IS-IS、EIGRPなどがある。
距離ベクトルとは
距離(メトリック)と方向によって目的NWへの経路を決定する方法。
距離には、ルーターの数(ホップ数)が使われる。
RIPとは
RIPを設定したネットワーク基本的な動作
-
初期設定として、それぞれのルーターに直接接続されているネットワークの情報、距離ベクトルデータベースが設定されています。
(*)実際はIPアドレスが入ります。 -
2を30秒ごとに繰り返します。
この時、隣接するルータには2で送付した経路情報(既に自身のアドレステーブルに存在する経路情報)が存在するため、その情報も送られてくることに注意します。
RIPでは、ベルマン=フォードアルゴリズム(後述)により、ルーティングテーブルの更新判定が行われます。ルーターBからの情報を受信したルーターAを例にとるとルーティングテーブルは以下のようになります。
ベルマン=フォードアルゴリズムとは
RIP2とは
RIPの改良版で以下の特徴があります。
- サブネットマスク対応
- マルチキャスト使用
- 認証の仕組みが使えるようになった
障害時の挙動とRIPの問題点
RIPは隣接するルーターに情報を送るため、情報の送り返しが発生します。通常時はベルマン=フォードアルゴリズムにより問題は発生しないように見えますが、一部のネットワークに問題が発生した時の挙動に注意が必要です。
RIPのネットワーク障害時の挙動
- 問題を検知したルーターが自身のルーティングテーブルから問題のあるNWアドレス行を削除。
- 隣接するルーターには当該NWアドレスの情報が送られなくなる。
- 隣接するルーター(障害をまだ検知していない)は、NWアドレス行の更新が6回(180秒)行われなかった場合、当該行を削除。
ルーティングループ問題
障害時の挙動は、情報の送り返しにあります。
ルーターAでNW-Aの問題を検知し、ルーターAのルーティングテーブルからはNW-Aの行が削除されますが、隣接するルーターBとルーターCには未だNW-Aの情報が存在します(180秒経過するまで)。
この状態で、30秒間隔で送信している情報がルーターAに届くと、ルーターAは、存在しないNWアドレス情報として、自身のルーティングテーブルにNW-Aの情報を追加してしまいます。
その後、送り返しが発生し、距離がどんどん増えていくルーティングループが発生します。
このループは、RIPの最大数15を超えた16を受信した時点で到達不可としてルーティングテーブルから破棄されますが、7分30秒(15x30秒)かかり、非効率です。
ルーティングループの防止
いくつか方法があります。
①スプリットホライズン
経路情報を受け取ったインターフェースからはその経路情報を送り返さない。
欠点としては、ループは防げるが、障害時に各ルータが障害NWの情報を削除するのに時間がかかる点は解決できない点。
②ポイズンリバース
経路情報を受け取ったインターフェースからはその経路情報を16にして送り返す。
スプリットホライズンと共存できないため、どちらかを使うようになっている。
③トリガーアップデート
30秒では無く変更をトリガーに経路情報を送信する仕組み。
④ホールドダウン
障害情報の削除が通知(180秒更新がない、もしくは距離16の情報を受信した場合)されたルーターがそのNW情報の更新を保留することでループを防止する仕組み。ホールドダウン中のNW情報は送り返しで受信しても更新されなくなる。保留期間はすべてのルーターに削除情報が伝わるまで。
⑤ルートポイズニング
障害時に情報を削除(NW情報を流さないの)ではなく、障害のNW情報を距離16として送ること。
受信したルータはその場でホールドダウンと組み合わせループの防止と180秒の待機が不要になる。
RIPの特徴(問題①の解答)
ア 15
RIPにおけるホップは15が最大。16は到達不可として扱われます。
RIP、RIP2の特徴(問題②の解答)
イ リンク状態のデータベースを使用している。
今回、OSPFではなくRIPを重点的に学習しましたが、以下から回答が導けました。
- RIP, RIP2は距離ベクトル型でホップ数を使用します。リンクという概念はありません。OSPFはリンクステート型ということから、リンクという概念が存在しそうです。イは候補となります。
- 他の選択肢は、RIP2(RIP)に当てはまっています。
このことからイが正解という回答が導けます。
ア 可変長サブネットマスクに対応している。
RIPは対応していませんが、RIP2で対応しました。(学習外でしたがOSPFも対応しています)
ウ ルーティング情報の更新にマルチキャストを使用している。
RIPは対応していませんが、RIP2で対応しました。(学習外でしたがOSPFも対応しています)
エ ルーティング情報の更新を30秒ごとに行う。
RIPもRIP2も30秒ごとに情報を更新します。(学習外でしたがOSPFは非対応です)
おわりに
ありがとうございました。