アジェンダ
2023年6月17日から二日間かけて、福島第一原発へ視察に行ってまいりました。そこで感じたことをレポートしたいと思います。
- 科学的な考察 ~処理水であるトリチウム水について~
- 政治的な考察 ~インフルエンサーと政治サークル~
- 復興についての考察 ~地方の現実と復興のバランス~
以上、三つの考察にてレポートに代えさせていただきます。
1. 科学的な考察 ~処理水であるトリチウム水について~
2023年7月現在、ALPS処理水の排出是非について議論となっているが、ALPS処理水はトリチウム水であり、化学物質排水や海洋資源放射線被害と同列に扱うべきではないと考える。以下にその理由を示す。
- ALPS処理水はストロンチウム・セシウム等の化学物質を除去している
- トリチウムは水分子内の水素原子に中性子が飛び込んだ結果三重水素と呼ばれるものであり、僅かな放射線を放つ以外は水と分子レベルで同等で、生物体内にて濃縮・変化するものではないこと。
以上、ツアーに同行していた経産省 木野氏に確認済みである。
2.政治的な考察 ~インフルエンサーと政治サークル~
今回のツアーはALPS処理水に対する理解を求めるために資源エネルギー庁より予算が出ているツアーであり、SNS等を扱えるインフルエンサーを意識したものである。(夕食時食堂入口張り紙にインフルエンサー御一行様と記述あり。その後勉強会の時間にて一部参加者から指摘時にそのような説明があった。)
また、衆議院の学生秘書を中心とした政治サークルの参加が確認できた。ユーチューバーの参加も確認している。一部バス内での態度が悪い者も散見された。
ネットに親和性の高い若者を頼るのは良いが、素行には注意すべきと考える。また現地のアピールポイントを拡散したいのであれば文章や写真を彼らに見せるだけでなく実体験をもとに情報拡散をさせたほうが良いのではないか。農場や波浪の奇麗な水平線を見せるだけでは不充分と考える。
3.復興についての考察 ~他地方と復興のバランス~
ツアーの後半には被災資料館や被災時の状態を保存している施設を回った。また山梨より福島第二原発近くへ移住したワイン農家への訪問も行われた。
周囲は未だ未利用地や廃墟も多いが、コンビニや施設などライフライン要素は拡充されつつある。
しかし日本は現在も全国的に地方の過疎で課題を多く残しており、福島の一部地域だけ過去のように復興を果たせるかは疑問である。
大型の魚類(放射線の影響はない)や波浪によるマリンレジャーなどが差別化要素として挙げられたが、他地方にそれらが少ないわけではない。
ワイン農家の活動している丘から見える福島第二原発。かなり近いように見える。
まとめ
日本の原子力行政は外交含め見切り発車であるとの評価がされて久しいですが、起きてしまったことは正面から受け止めつつ他地方とのバランスを考え、日本全体で対処する必要があるのではないかと考えています。
今や全国・全世界的に原子力発電所が広がり、また電力需要拡大により化石燃料による火力発電だけでは限界を迎えている現状があります。原子力だけに頼らず、過去のレガシーに従属せず、エネルギー政策・ライフスタイル・技術振興を考えるべき時が来ているのではないでしょうか。
SDGsが各所にて提唱されておりますが、単なる環境問題としてではなく人間の人権・生活様式・技術による産業振興と流出抑止を正面から考える時が来ていると私は考えます。
詳細なルポ(旅行記風味)は別途noteにて掲載させていただきます。
福島原発ルポ ~トリチウム水排水直前!?インフルエンサーツアー~
ご興味のある方はご覧ください。