私のレベル
・地方国立工学部化学系専攻(特に意味もなくエクセルの使用が禁じられていたほどのアナログな研究室でした)
・新卒でSES会社へ
・現在関わっている案件は某日系大企業で形態素解析やLLMを用いてあれやこれやしようぜというやつです
・社会人になるまで資格は0
今まで取った資格は以下
・DS検定
・G検定
・Python3エンジニア認定基礎試験
・Python3エンジニア認定データ分析試験
・AZ-900, AI-900 (Azure資格)
・基本情報技術者試験
・統計検定2級
詳しくはこちらの記事
勉強法
過去問を10回分完璧にしろ。
それだけで戦えるようになります。
序盤:参考書を読む
まず俗説としてこのような話を聞いたことがありました。
「過去問を1000問解けば応用情報は合格できる」
ほんまか?ということで試しに1000問解いてみることにしました。解いていく中で10回分(800問)を完璧にしたら終わろうと軌道修正しました。「完璧にする」の基準は以下。
・問題に正答できる
・誤っている選択肢の誤っている点を指摘できる
・問題文、あるいは選択肢に含まれる単語のうち参考書の索引にあるものについてなんとなくのイメージがついている
で解いてみたんですが難しいんですよね。なのでとりあえず参考書を一読することにしました。選んだのはこちら
選定理由は以下
・一冊で完結している点(1冊目終わった後2冊目を始められる自信がなかった)
・本の構成がマネジメント系→ストラテジ系→テクノロジ系の順で構成されており高評価
・文字の割合は多いが700ページ以内に収まっており比較的薄い
概ね期待通りの勉強ができました。特に非テクノロジ系の問題解説が丁寧で良かったです。12章くらいで構成されていたので読むのに2週間くらいかかりました。前半は全然読むスピード遅かったのですが2つのイベントが発生してめっちゃ焦り始めて読むのが早くなりました。一つは受験票が届いたこと。もう一つはNintendo Switch2の詳細が発表されたことです。これ逃すと間違いなく資格試験なんてやってられなくなるので今回とれなかったら終わりだろうと直感で感じました。3月末に読み終わり過去問道場を開始しました。
中盤~終盤:過去問道場
ある程度地力がついたので過去問道場を始めました。目標は冒頭にあげた10回分を完璧にすることです。
4月8日の時点で正答率はおよそ半分で2週間あれば6割なら狙えるかもなと思い頑張りました。基本情報とかぶっているところが多いので苦労しない部分も多いだろうと思っていましたが、内容を結構忘れている上に選択肢のひっかけが巧みで生半可な理解では正解させないという気概をすごく感じました。かなり時間がかかり、冒頭にあげた理解度へ到達したのは試験前日でした。
ここで3~12回前の試験についてこの水準に達したときの正答率はこんな感じです。
終盤:午後対策
これまで全くと言っていいほど午後のことを考えていません。というのも基本情報で午後対策ほぼ0で通ってしまったよくない成功体験と応用情報は試験範囲が午前と午後で同じなのできちんと理解していれば不要という驕りがあったんですね。実際上に挙げた参考書でも午後の問題は結構解けましたし、あまり心配はしていませんでした。しかし、対策なしは心許ないということでいろんな午後対策を調べたところ、結構多くの人が午後で苦しんでおり急に焦り始めます。これが約1000問解き終えたころ、たぶん13日くらいの話です。まず何を選べばいいんだろうと思い、過去問道場の成績レポートを分析して得意分野を炙り出しました。
×数をカウントしてもよくわからんので割合を出す。
これで苦手な分野が可視化されました。これを午後選ぶのはやめましょう。
総じてマネジメント系が得意な傾向にあり、ストラテジ系もある程度立ち向かえそう。案外ネットワークとかの正答率が悪くない…?などいろいろ分かっていいですね。ハードウェア系は自信がなかったですがこんなにダメだとは……。
ただシステム監査やプログラミングは午前の問題が少ないので実力を把握できておらず、にもかかわらず午後で選ぶ人が多くこれは一度午後問題を解く必要があると感じました。ただ、前述した参考書では午後問題の解説が載っていない分野が置かったので午後問題用の参考書を購入しました。古い本ですが午後試験で試験の癖、よく問われる部分が良くまとまっており時間のない今の自分に向いていると思い購入に至りました。これを3日間できる限りの範囲をやりました(6割くらいやったと思います)。この本と自分の得意傾向からセキュリティ、経営戦略、システム監査は確定で残り2つはプログラミング、プロマネ、サービスマネジメント、DB、NWから簡単そうなものを選ぶように決めました。
本番
午前
試験が9時半からということで大事を取って30分前行動で試験会場に向かいました。着いてから知りましたが集合時間は9時10分だったので本当に危なかったです(何やってんの?)。まずは午前です。これは過去問道場をかなりやりこんだこともありここは通るだろうと思って落ち着いて受けられました。しかし思ったより初見の問題が多く、全く聞いたことない単語も結構多かったです。午前は対策を手厚くやっているので平静を保つことができました。少し焦りましたが6割は取れただろうということで30分ほど余らせて退出。混む前にさっさと昼飯を食べます。昼休み、あまりに暇だったので自己採点しました(非推奨)。結果は56/80とのことでかなり余裕をもって突破できていました。調子に乗ってTwitterで「応用情報 午前 難化」で調べて愉悦していました。
午後
さて午後です。まずはセキュリティを解きます。初手からデジタルフォレンジックを記述式で書かされ気絶しそうになりました(うろ覚え、この単語もここで書けたかどうかも)。セキュリティは近年要求されるレベルが上がっており下がることはないのでどんどん難化すると思っておいた方がいいでしょう。一つ運がよかったのは直前にニコニコ(ドワンゴ)のサイバー攻撃について調べていたことです。セキュリティは最近あった大きな事例に関連するテーマが出やすいと聞いたことがあったのでランサムウェア攻撃などサイバー攻撃の部分にヤマを張っており、見事に的中しました。周りは難化と言っていましたが大きく崩れなかったと思います。
次に何を選ぶかです。自分は解答用紙が配られた時から何を選ぶか考えていました。というのも問4の回答欄がほとんど選択式でした。問4はシステムアーキテクチャでほとんど対策していないが、選択式なら午前の知識や解き方がかなり流用できるかも?と考えていました。一方経営戦略などいわゆる文系向け問題はかなり記述量が多く苦戦を覚悟しました。
さてセキュリティの次です。過去問の得点率からまずわかればアドバンテージがでかい問3のプログラミングに目を通します。
…………長い!!!!!問題文が長い!!!!!!
パスが決定しました。他が厳しく、かつ時間が余っていれば挑戦することにしました。なぜわかるとアドバンテージがでかいかというと基本的に回答が一つしか存在しないので自己採点で確実に点がわかるからです。自分の中できちんとアルゴリズムが咀嚼できていて回答を最後までできればケアレスミスを考慮しても8割は堅く、できる人にはかなり狙い目です。実際かなりの回でプログラミングについては平均点が高かったと講評に書かれています。
次に記述量が少ない監査を見ます。すべて記述でしたが10文字程度と短くさっさと解けそうでした。わからないものもありましたがそれ込みでも余裕を作ることができました。
次に順当に得意な経営戦略を解きます。書くことは多かったですが予定通り問題なく完答。
次に見たのはサービスマネジメントです。しかし問題文が長く、テーマもあまり馴染みがなかったのでいったん保留しました。
次に見たのはプロジェクトマネジメントです。なぜマネジメント系が得意なのにこんなに後に見たのかというと講評で平均点が低かったと書かれている回が多かったためです。しかし問題に目を通してみればよくある話しか書いておらず、何ら難しそうに見えなかったので着手。日常的にパズルやボードゲームなど、結構頭を使うゲームをやっている人は何にも困ることないんじゃないかなと思います。問題なく完答し次へ。
あと1問、何を解くか考えます。どうしてもほとんど記号問題のシステムアーキテクチャを見ずにはいられず目を通します。すると記号問題の部分はほとんど文中の空欄補充で午前の知識が通用しそうです。少ない記述部分も可用性の話で簡単な算数の計算をするだけでいいことが分かったので急遽オリチャー発動しシステムアーキテクチャを選択しました。見立て通り簡単で問題なく完答。簡単に見直しをしていたら時間切れになりここで試験終了でした。休日を1日使って試験を受け、腰が痛かったですが午後は特に結構手ごたえがあって心は晴れやかでした。気候もいい時期でその日は快晴だったのもあると思いますが。
試験後
自己採点をもう一度します。昼休みにしたのは資格屋さんが出した暫定的な回答だったので、正式なものが出てから採点しなおしました。結果、午前は51/80(昼休み時点では56/80)。ギリギリ過ぎ!命拾いしました。特に暫定的な回答がいかに信用できないかを思い知りました。5問も間違ってたのかよ……
午後ですが回答を記録している暇もないので忘れて過ごすことにしました。配点も自分の回答もわからないので何にもできません。ただ、「応用情報 システムアーキテクチャ」で調べて簡単とか易化とか言ってる人見つけて「だよな~」となっていました。Twitterで感想つぶやいてる人を見て寝ました。
合格発表
冒頭にあるように、午前63.75点、午後70点で無事合格しました。午後はセキュリティ、経営戦略、システムアーキテクチャ、PM、監査を選択しました。さすがにうれしいですね。というより特に午後は付け焼刃過ぎて通ると思っておらず、普通に会社で声出ましたね。前日は59点で落ちる夢を見ました。
教訓
以上をまとめてみます。
・応用情報は1ヶ月で何とかなることもあるので諦めない
・午前はまず過去問を800問(10回分)完璧にする
・午後は最初から解く分野を決めるのは非推奨。難問から逃げられるように保険を用意しておくのが重要
・午後で全部選択できるように対策してもいいが、すべての問題に目を通すのはほぼ不可能なので絶対に選ばない問題を事前に決めておく、さらに問題をパスする基準を決めておくのが重要
・午後で選ばないジャンルを決める基準に過去問道場の学習記録csvデータが有用
・セキュリティでヤマ張れるのでIT関連のニュースは追っておいた方がいい
・昼休み時点の午前解答例は信用できない
感想
まず応用情報を取得して良かったか?という問いに対して**「良かった」**と答えます。そしてやはり若手エンジニアであれば絶対取るべき資格であると改めて感じました。
若手エンジニアにとっての価値
まず実務経験3年未満のエンジニアは、どの資格よりも有用とされている実務経験を積める量に限りがある、あるいは積むことが難しいため、まずは職場からの信頼を勝ち取る必要があります。現実的に考えて望んだ実務経験が積める状況にない若手エンジニアにできることは、資格を取るか個人開発を結構頑張るかの二択だと思います。
応用情報は若手であればまだある程度評価される資格であるので、職務経歴書に書くとウケる実務経験を積む権利を得やすくなると思います。応用情報取って望んだキャリアに向かえないなら普通に転職した方がいいと思います。うちはダメそうです
キャリア形成が順調な人にとっても有用
一方、今キャリア形成が順調な人もITエンジニアとしてある程度開発業務に関わるのであれば取るべきです。こんなに試験範囲が広い試験はありません。 はっきり言って自分はハードウェアやネットワークとかに興味はないのですが、やはりエンジニアとして働く上で全く知らずにいられるわけもないわけで、いつか勉強する必要がありました。
資格取得を目標に無理やり勉強したことで確実に成長しました。体感ですが「全く知らない」状態と「一度覚えたけど忘れた」状態は全く異なります。 いつか役に立つときが来ると思います。広大な分野の基礎知識を揃えることで見える技術の世界があると思います。あと今キャリアが順調な人もなんだかんだ転職はすると思うので、応用情報あるとある程度安心してもらえると思います。
個人的な収穫
自分としてはある程度転職で使える資格が手に入って嬉しいのと、自分のキャリアをどう形成するかを考えるのにすごく役立ちました。 こんなにマネジメント(の問題を解くのが相対的に)得意だとは思っておらず、広範囲の試験に挑戦しなければ仕事を振られるまで気づくことはなかったと思います。
また、技術よりストラテジ系が得意だろうとは思っていたのでそれが可視化されてあまりキャリアを迷わなくなりました。これが一番の収穫だと思っています。キャリアをどう形成するか迷っている人は、こういう試験範囲が広く浅くな試験を勉強するべきです。
勉強時間と今後の展望
ほぼ1か月で合格しましたがかなりきつかったです。3月死ぬほど忙しかったですが、4月は暇だったのが運良かったですね。仕事は暇でしたが、4月の平日は毎日4時間、休日は8時間程度勉強したと思います。なので合計勉強時間は100時間くらいですね。
仕事を任されるようになると残業しないでいい日の方が少なくなって資格勉強なんてやってられないでしょうから、今のうちに取れてよかったです。次のIPAは午前1が免除のうちにITストラテジストかプロマネ試験取れればと思います。直近だとE資格を受けます。頑張るぞ~