0. ゲームの紹介
Gary Grigsby(ゲイリー・グリグスビー、と発音するのだと思います、たぶん)'s PACIFIC WAR(以降、必要があればggpwと書きます)は、1940年代の大日本帝国と連合国の戦争を題材とする戦略級シミレーションゲームです。
(1) 主な特徴
①プレイヤーは大日本帝国、連合国のどちらでもプレイできます(その気になれば両陣営とも担当することもできます)。ゲームマニュアルによれば、プレイヤーは山本五十六連合艦隊司令長官、あるいはチェスター・ニミッツ太平洋艦隊司令長官のどちらかの役割を担うことになります。
②デフォルトでは相手方はコンピュータですが、メールなどを介して暗号化されたセーブファイルを交換することで、人対人の対戦ができます。
③1ターン1週間のターン制でゲームは進行します。
④艦艇は1隻、航空機は1機、兵員は1名、燃料・物資は1トンの単位で登場し、陸戦・航空作戦・艦隊戦のために部隊を編成し、指示を与えることでゲームが進行します。部隊に指揮官と作戦目標を指定して、編制・補給・移動・戦闘などをすべて自動で行わせることもできます。
(2) 推しの理由
①実際の太平洋戦争で日本軍が勝てる可能性はほとんどありませんでしたが、このゲームでは米軍の損害が一定に達すると停戦イベントが発生するため、日本軍勝利の結果を導くこともできます。
②指揮官が実名で登場し、特徴がパラメーター化されていて、指揮部隊の行動に影響を与えます。
③艦艇は史実通りに竣工し、航空機の開発も史実通りに行われます。航空機の生産数はユーザがコントロールできます。
④ゲームオーバーにならなければ1946年まで戦争を継続できるので、実用化に至らなかったロケット戦闘機秋水や前翼型高速機震電などの生産・配備も可能です。
⑤戦略爆撃、通商破壊に加え、鼠輸送、暗号解読、特攻や原爆投下もルール化されています。
⑥マニュアルおよびインタフェースは英語なので、世界中の人と対戦が可能です(筆者は過去に、アメリカ・チェコ・ニュージーランドの方とプレイしたことがあります)。
1. ゲームの入手とプレイ
(0) 動作確認環境
OS Windows 10 Pro
バージョン 21H2
(1) 入手
以下のサイトからZIPファイルをダウンロードします。tapatalkへのログインが必要ですが、アカウントは無料で作成できます。2022年3月4日時点での最新バージョンは3.2.16cです。
https://www.tapatalk.com/groups/pacific_war_update/pacific-war-update-version-3-2-16-t176.html
(2) 起動
ダウンロードしたZIP形式ファイルを(バージョン3.2.16cの場合はPacwar3216c.zip)を解凍し、中にある0START THE GAME.batをダブルクリックすれば起動します。インストールは必要ありません。
(3) プレイ方法
ZIPファイルのDocumentationフォルダにあるPcwWgaRules-100512.pdfがマニュアルです(PDFは3種類ありますが、このPDFファイルだけを見ればOKです)。
(4) ゲーム画面
真珠湾攻撃から帰還中の第一航空艦隊と航空母艦赤城の艦載機の状態を示した画面です。Windowsも存在しなかった1990年代初期に製作されました。1MB容量のフロッピーディスクで起動させる前提で設計されたゲームなので、グラフィクスとUIは期待できませんが、ゲームデザインは極めて秀逸だと思います。
左端に南雲忠一中将の名前が見えています。飛行隊の練度(experience 88)や作戦不能機体数(damaged 2)、被弾耐性(durability 10)など、シミュレーションと言って決して過言ではないほど実に細かいパラメーターが用意されています。
以下は作戦地域全体の地図です。
2. おわりに
実は最初は、MS-Dos時代の古いソフトを実行するエミュレーション環境である、DOSBoxとその使用例を技術資料として残すことが目的でした。しかしながら、ggpwの最新パッケージはDOSBoxも内包されていて、全くセットアップ無しで実行できてしまうことが判明し、書くことが無くなってしまい(笑。DOSBoxの使用に関する一事例として考えてもらえればと思います。
今後は、DOSBoxの使用方法に加えて、ggpwの具体的なプレイ方法について(こっちがメインになりそうですが ^^;)、マニュアルの日本語化も含め追々書いていきたいと思います。同好の士が増えて対戦やディスカッションができればいいなと考えています。