はじめに
みなさま、メリークリスマスです。
今年はどんな一年でしたでしょうか。
この記事を読んでいる方全員が心穏やかな一年であったことを祈っております。
私は途中までは心穏やかであったものの、年の瀬に悲しい出来事がありました。
銀歯の下で虫歯が進行してしまい、30年以上連れ添った乳歯と別れることになってしまったのです。
文字通りほぼ生まれた頃からの付き合いで、そんな彼とお別れをすることは酷く悲しく、とてもつらい決断でした。
幸いにして乳歯はもう一本残っていますので、この子とは長くお付き合いできるよう日頃のケアを欠かさないよう頑張っていきます。
みなさまも歯のケアと定期的な検診はぜひ行ってください。
この記事のテーマ
今年1年、「できるだけ外部発表してみる」を自身の目標としていました。
発端は去年CEDECに登壇した際に感じた気づきでした。
私は社会人になってから現在に至るまで一貫してQAに携わっていまして、CEDECでもQA業務内の取り組みをテーマとして発表を行いました。
そしてCEDECの他のセッションを見渡すことでQA関連の発表の少なさを感じました。
QAには様々な技術があります。
QA体系やテスト設計などマクロな技術から、テスト自動化やテスト技法などのミクロな技術まで様々なものがあり、もちろんゲーム業界でも技術が用いられている中で発表のテーマとしてもう少しあっても良いのかな、というのが率直な感想でした。
発表テーマにQAが少ない理由は様々なものがあると思います。
「QA技術をテーマとして発表する機会がない」「そもそもQA技術を技術と認識していない」などなど、挙げはじめたらきりがありません。
いろいろな背景がある中で、私自身としてはQA技術がもっと世の中に知れ渡ってほしいなと思っていたこともあり、では私がまずやってみよう、ということで「できるだけ外部発表してみる」という目標が誕生しました。
今年行った対外的な発表は3つと決して多くはないですが、外部発表を行うことで感じたことをみなさまに伝えられたらなと思っています。
発表その1(JaSST)
1つ目はJaSSTです。
https://www.jasst.jp/symposium/jasst22tokyo/details.html
以前から複数社でQA技術に関する交流会を行っており、その交流会でQAに関する書籍を出版することになったので、その内容について発表することになりました。
形式は発表までに登壇内容を録画しておき、当日は簡単な発表をした上で録画したものを流すという昨今のオンライン開催ならではといった感じでした。
交流会の中で決まった外部発表に参加を表明するという形であり、1つ目の発表からすでに自分一人で外部発表を決意し応募したわけではなくて恐縮ですが、非常に楽しく貴重な経験ができました。
感想として、思い返してみると発表内容の調整に一番時間をかけたのはこの発表だったのかな、と思います。
登壇者が最も多く、かつ複数社が関わっていることもあり、発表する内容について最も慎重に決めていった印象があります。
そして昨今のコロナ事情で増えてきたであろう事前録画での発表形式について、はじめての体験でしたがおそらく通常の発表形式(当日ライブで発表を行う形式)よりも工数がかかるな、という印象です。
事前に録画すること自体は全く問題なく、むしろ少し失敗した際に撮りなおせるなどメリットが大きいのですが、録画した動画の確認や編集がとても大変そうな印象でした。
私は担当ではなかったのですが担当の方がとても大変そうで頭が上がりませんでした。
発表その2(CEDEC)
2つ目はCEDECです。
https://cedec.cesa.or.jp/2022/session/detail/149
弊社では複数社でQAの研究会を行っています。
形式としては、研究テーマに沿っていくつかのグループに分かれ技術研究を進めるという形をとっています。
私のグループでは翻訳QAに焦点を当てて技術研究を進め、その約1年間の研究内容をCEDECで発表しました。
CEDECでの発表は、今まで経験したどの外部発表よりも計画的に進めることができたという自負があります。
研究テーマを挙げる際に、せっかくならCEDECで発表に値する内容にしたいという思いがあり、メンバーにその思いを伝えるとともに1年間のロードマップを引いたうえで毎週話し合いをすることで当初のCEDECでの発表を実現できました。
発表の形式はオンラインとオフラインの中間のような形で、会場で発表はするものの聴講者は全員オンラインだったためリアクションがわかりづらく、何度発表しても慣れないなと感じました。
感想としては、他の二つのような「QA業務を進めていった延長線上としての発表」ではなく、ゴールとして大学で行うような論文作成を行う感覚に近く、とても新鮮でした。
この技術研究が目標(CEDECでの発表)を達成できた理由は、関係者全員のゴールイメージを統一して進めることができた上で、コミュニケーションの時間を惜しまなかったことかなと思っています。
技術研究を進めるにあたり、最終的なアウトプットを詳細にすり合わせることで、迷子になることなく進めることができました。
また、話し合いを毎週の頻度で定例化することで進捗管理や議論を計画的に行うことができました。
設定した当初は「毎週実施するのは大変かなあ」と思っていたのですが、いざやってみると業務的および心理的な負担はどちらも小さかったように思います。
発表その3(GREE Tech Conference)
3つ目はGREE Tech Conferenceです。
https://techcon.gree.jp/2022/session/TrackB-3
所属するチームで実際に実施したプロセス改善をテーマとして発表しました。
テーマからわかるように3つの発表の中で最も実業務と密接に関わっている内容であり、発表の内容や構成を一番スムーズに決めていくことができた印象があります。
発表はコロナ禍である現在ではかなり珍しい「発表者も聴講者も会場にいる」形式で、目の前に聴講者がいる形式が久々だったこともあり直近で一番緊張しました。
ただ緊張はしたもののコロナ禍前の発表が思い起こされて非常に懐かしく、とても楽しかったのを覚えています。
感想として、実業務で行ったことの発表だったこともあり、どこまでのデータを出すべきかという点で頭を悩ました印象があります。
結果としてすべてのデータを発表用に加工しましたが、もう少しクローズドな場であれば実際のデータを公開できる範囲で示しつつ、具体的なフィードバックをもらうのも面白そうだなと感じました。
やってみた感想
個人的には非常に良い経験だったなと思います。
特に3つの点で良いなと思ったので参考にしてみてください。
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人前で発表することに抵抗がなくなる
1年に複数回の外部発表を行うことで、大勢の前で発表することに対する心理的抵抗はほぼなくなったかなと思います。
発表に抵抗がなくなるという長所は外部発表だけではなく、例えば社内の他部署の方との折衝の機会などでも活かせると思います。
特に現在のコロナ禍において、上述のように発表形式は様々なものがあります。
私もそうだったのですが、発表形式によって緊張する度合いも異なることがあるので、1度だけではなく複数の場での外部発表をお勧めします。 -
外部発表する習慣がつく
技術研究を含めた外部発表を年に3回行うと、何かしらの発表の準備をしている状態が1年のうち半分以上を占めていたと思います。
そういう状態にあったので、以前は「外部発表をする」と決意するまでに一定の心理的ハードルがあったのですが、今はそれがなくなったように思います。
また、外部発表に応募することが私の中で当たり前になったことも大きいと思います。
外部発表など、通常の業務ではないことをしようとした場合、以前は発表に値する内容がある際も「業務の調整がついて準備に工数が割ける場合に応募しよう」となっていたのですが、今はとりあえず応募してから自身のタスクを調整しようという考えになったので、外部発表という貴重な機会を失いにくくなったかなと思います。 -
チームメンバーのことを深く知れる
最後はチームマネージャーの観点になるのですが、準備や発表の様子を見ることで通常の業務の中では見ることができないチームメンバーの特性を知ることができます。
特にQAの場合、発表資料を作って大勢の前で発表する機会が通常の業務の中にないことが多いので「ストーリーのつくり方に論理的矛盾がないか」「資料作りはうまいか」「発表技術はどうか」などの点を外部発表の機会に見ることで、発表に関わるチームメンバーの強みや弱みを知ることができ、メンバー育成に活用できると思います。
さいごに
記事はいかがだったでしょうか。
少しでも面白そうだなと思った方はぜひ来年に外部発表してみてください。
ではみなさま、よいお年をお迎えください。