はじめに
本記事は、これから量子コンピュータをはじめとした、量子技術について勉強したい人や調べ物をしたい人に向けて執筆いたしました。筆者自身が、量子技術に関連した研究内容や取り組みについて調べる際、以下の様な困り事があったためです。
ある量子コンピュータの研究紹介として“高崎量子技術基盤研究所の○○研究室”が登場、また“量子コンピュータ開発を企業と連携して進めているとのニュース記事には理化学研究所”が登場、更には“量子通信に関する記事として量子ICT協創センターの方のインタビュー”を発見、という感じで、次から次へと馴染みのない研究機関や研究所の名前に出会う事が頻繫にありました。
所属している研究機関が大学であれば、聞いた事のない研究室であっても「○○大学の研究室のことか」と情報を咀嚼できるのですが、上記のような研究機関は馴染みの薄い方が多く、量子技術をこれから調べようと考えている人にとっては意外と情報負荷が高いのではないかと思います。
そこで、大学ではない公的研究機関で量子技術の研究を行っているグループを抜き出し、研究組織体制をまとめてみることにしました。今回は、量子技術イノベーション拠点に設定されている5つの機関を対象にしました。
量子技術イノベーション拠点とは
本章では「量子技術イノベーション拠点とは何か」について簡単に説明いたします。
誰が推進しているかについては、内閣が制定した「量子技術イノベーション戦略」に基づいているため「国」となります。
また、「大学・企業間の有機的な連携・協力体制を構築し、同時に複数の大学・大学院等と連携・接続し、将来を担う量子技術分野の人材育成を行いたい」という目的のもと、「技術の特性に応じて人材・技術等を結集し、基礎研究から技術実証、オープンイノベーション、知的財産管理、人材育成等に至るまで産学官で一気通貫に取り組む拠点を形成する」という方針で進めているようです。
(参考資料:https://www8.cao.go.jp/cstp/ryoshigijutsu/8kai/siryo2.pdf)
上記を簡単に言うと、「産学官を連携させて量子人材の育成を促進したい!」ということかと思います。以下のように各対象に応じた拠点が設定されています。
引用:QIH量子技術イノベーション拠点 https://qih.riken.jp/
量子技術の研究体制まとめ
量子技術イノベーション拠点の中から、大学ではない5つの機関に限定し、量子技術の研究を行っている研究組織体制を以下の表にまとめてみました。
まとめ
量子技術の調べものをしている最中に何だかよく知らない研究所や研究センターが出てきた際は、上記の表から探していただき、母体の組織や配下の組織、横の繋がりを整理しながら、効率の良い情報収集にお役立てていただけましたら嬉しいです!
筆者:DX事業部 中津野 侃貴