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iOS14「SKAdNetwork」で必要な対応をまとめました。

Last updated at Posted at 2020-08-20

概要

まず「SKAdNetwork」への対応ですが

実際のところ、導入している広告SDK側や計測SDK側で実装されるケースが多いとは思います。

しかし、**各SDK側でどんな対応をしているのか?**については分かっていた方が良いので
(例えばSDK同士の干渉問題が出たりした際など)

  • 広告主側
  • 広告表示側(パブリッシャー、媒体側)
  • 広告ネットワーク

以下にそれぞれの「SKAdNetwork」対応内容について整理しました。

最初に、SKAdNetworkとは

class SKAdNetwork : NSObject

「IDFAを使わない広告成果トラッキング」の為に、iOS14で更新されるクラスです。

Appleが提供する広告効果の確認方法となります。

これまでは「どの広告のどのキャンペーンか?」くらいだった粒度の情報が

「どのアプリからきたか?+ α」までわかるようになる予定です。

ただし、Apple公式ということで多くの制限があり

細かなユーザ追跡を基盤に価値を提供してきた計測プロバイダー(MMP)からは

「このクラスは役不足」「この仕組みで満足な計測を行うことは出来ない」との声も多い様です。

広告主側アプリでの対応

広告主側は、色々な他社アプリ内に広告を掲載している側のアプリです。

要するに、お金をかけて掲載した広告効果を計測したい側です。

Appleのドキュメントでは**「Advertised app」**と表現されています。

インストール(起動)成果の通知処理を実装する必要があります。

成果通知の実装

外部SDK内部で実行されているケースが主ではあると思いますが、

アプリ側では起動時に

class func registerAppForAdNetworkAttribution()

または

class func updateConversionValue(_ conversionValue: Int)

を呼び出す必要があります。

どちらでも成果を通知させることが出来ます。

前者の**registerAppForAdNetworkAttribution()**は初回呼び出しのみが有効で

後者の**updateConversionValue(_:)**では、

任意のコンバージョン値(6bit制限あり)を広告ネットワークへ成果通知と一緒にポストバックすることが出来ます。

このコンバージョン値の活用方法としては、こちらが参考になりました。

Announcing Flurry Conversion Value Analytics for... | Flurry Blog

Flurry SDKでは、このコンバージョン値を使って

ユーザを大まかにセグメント分けしたり、比較する方法に加え

主要なイベントをトラッキングするオプション機能を提供する様です。

例えば、ログインやアプリ課金などの特定イベント発生時に

**updateConversionValue(_:)**を呼び出して
(registerAppForAdNetworkAttributionでスタートした24hタイマーが切れる前に呼ぶ必要がある。2020/08/20 16:15追記)

コンバージョン値を広告ネットワークへポストバック

という少しイレギュラー?な方法みたいです。

何れにしても、広告ネットワークへの通知が、リアルタイムでは無い点には注意が必要です。

The first call to registerAppForAdNetworkAttribution() generates the notification if the device has attribution data for that app, and starts a 24-hour timer. Subsequent calls to this method have no effect. You may, however, call updateConversionValue(_:) to provide a conversion value and restart the timer.
The device sends the install notification to the ad network’s postback URL within 0-24 hours after the timer expires. Ad networks must verify the postback after receiving it. See Verifying an Install Validation Postback for more information.
Apple Documentationより

とあるので

メソッドトリガーでの24時間タイマースタート + そこから0〜24時間でポストバック

つまり、最短24時間、最長で48時間のタイムラグが発生する可能性があります。

これがもしリアルタイムだと、ユーザーをある程度紐付けする事が出来てしまうので、その対策だと思われます。

少し話が逸れましたが、広告主側アプリとしては

  • 成果通知処理の実装(自前実装orSDK)
  • コンバージョン値の活用(オプション)

が対応ポイントです。

コンバージョン値についての補足(2020/08/25:追記)

  • **updateConversionValue(_:)**は実行する度に24hタイマーはリセットされて延長される

  • 最終的に広告ネットワークに送信されるのは、1番大きい値のコンバージョン値のみ

例えば、繰り返し**updateConversionValue(_:)**を実行したとしても

6ビット制限があるので最大で63回、時間で計算すると64日となる

例)
CV値:01 → CV値:02 → ... → CV値:63がタイマー終了後に送信
CV値:02 → CV値:01(このコンバージョン値は無視され送信されない)→ CV値:01がタイマー終了後に送信

広告表示側アプリでの対応

アプリ内で広告を掲載しているアプリでの対応です。

メディア系、カジュアルゲーム系などのいわゆる広告モデルで収益を上げているアプリです。

Appleのドキュメントでは**「Source App」**という表現されています。

こちら側のアプリでは、掲載する全ての広告ネットワークIDを登録する必要があります。

Info.plistに広告ネットワークのIDを登録

アプリ内で表示する全ての広告ネットワークIDをInfo.plistに登録します。

このIDは、広告ネットワーク側へ問合せて事前に用意する必要があります。

広告ネットワークIDの登録方法は、Info.plistのキーに

SKAdNetworkItems

を入力。
以下の形式で、全ての広告ネットワークIDを登録していきます。

<array>
    <dict>
        <key>SKAdNetworkIdentifier</key>
        <string>example100.skadnetwork</string>
    </dict>
    <dict>   
         <key>SKAdNetworkIdentifier</key>
         <string>example200.skadnetwork</string>
    </dict>
</array>

広告表示側の対応は、基本的にこれのみです。

しかし、自前で広告を表示する(レアケース?)が必要であれば、以下対応も行います。

表示広告に広告ネットワークの情報を紐付ける

広告SDK側で実装されるケースがほとんどだと思いますが

広告表示(インプレッション)時に、後々インストールを検証する為の各キーを設定する必要があります。

広告インプレッション時に

class SKStoreProductViewController : UIViewController

のインスタンスメソッド

func loadProduct(withParameters parameters: [String : Any], completionBlock block: ((Bool, Error?) -> Void)? = nil)

を呼び出し、parametersに広告表示するアプリのIDや重複、不正防止用の署名などの値を指定します。

その後は

表示広告のタップが発生

presentで、SKStoreProductViewControllerのインスタンスを表示する
(AppStoreをアプリ内で表示)

という流れがひとつの形になると思います。

広告ネットワークでの対応

広告ネットワーク側で開発を行っている場合には対応が必要となってきます。

兎にも角にもまずは、Appleへ広告ネットワークとして登録し公式に認められる事が必要となります。

Appleへの広告ネットワーク登録

登録申請フォーム

Appleから登録が認められた後に

  • 広告ネットワークID(このIDを広告表示側アプリのinfo.plistに設定)が発行

  • 公開鍵の共有

  • 成果ポストバック用エンドポイントを共有
    Verifying an Install Validation Postback

というステップに進む事が可能になります。

三者間のコミュニケーションが大事

「SKAdNetwork」対応では、自分だけ(または相手だけ)が対応すれば良いという訳ではなく

  • 広告出稿側アプリ

  • 広告掲載側アプリ

  • 広告ネットワーク

の三者が足並みを揃えて対応する必要があります。

誰かが対応していないと機能しないので、上手く計測出来ない状況が簡単に起こります。

ただ、広告や計測に対するモチベーションも三者三様なので

ここに社内事情や意思決定のスピードのばらつき等がプラスされてしまうと、

状況は更に複雑(カオス)になってしまうのでは?と思います。

また

  • 成果のポストバック送信がリアルタイムではない(恐らくランダムで毎回違う)

という点もトラブルの原因特定を難しくさせそうです。


参考:
SKAdNetwork
Ad Network Install Validation Keys
Configuring the Participating Apps

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