Edited at

システムを作ったり、プロジェクトをやったり、会社を作ったりしながら、読んできた記憶に残る8冊の本

大学時代に劇団(当時はアングラと言われていた アングラ=アンダーグラウンドのこと)をやっていて、そのまま就職せずに、時給が高いという理由だけで、アルバイトとしてプログラマーを始めて、(俳優で売れず、プログラミングが人よりうまかった?ので)、妻の貯金で資本金を出して会社を作ってこれまでやってきたのですが、過去いろいろ技術系の書籍を読んできても、本当に記憶に残って、大事だと思える本はごく僅かです。そのあたりを、著者の紹介も含めて書いてみました。



Joel on Software 2005/12

今は、Stack Overflowを立ち上げた人として有名なジョエル・スポルスキ氏の本です。

目次


  • 01 Bits and Bytes:プログラミングのプラクティス(言語の選択基本に帰れ ほか)

  • 02 開発者のマネジメント(採用面接ゲリラガイド報奨金有害論 ほか)

  • 03 Being Joel:それほどランダムでもないトピックに関するランダムな考察(リック・チャップマンによる愚かさの探求(あるいは「アホでマヌケな米国ハイテク企業」)
    この国では犬はどんな仕事をしているの? ほか)

  • 04 .NETについての少し行き過ぎた論評(Microsoft、羽目をはずす私たちの.NET戦略について ほか)

  • 05 付録 「ジョエルに聞け」選集

僕は、この本の「第22章 テスタを雇わない(間違った)理由、ベスト5」を読んで、会社にテスト専任担当者をチームとしておくことにしました。

ジョエル・スポルスキのエッセイはどれも素晴らしいですが、一部(昔のもの)はWebサイトにも日本語訳が掲載されていて、komiyakさんという方がまとめてくれています

ジョエル氏のプログラマーのための会社の環境つくりとかに関するエッセイは、後出のピープルウェアとかに通じるものです。デイリービルドは君の友達 2001/01/27なんてエッセイも、書かれたのが2001年であることを考えるとすごいですね。

ジョエル氏の本はすべての開発者が読んだほうがよいと思います。


ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち 2005/1

Y Combinatorの創設者として有名な、ポール・グレアム氏の名著です。彼もエッセイストとして有名で、本家サイトも良いですが、ずいぶん多くのエッセイが日本語で読むことができます(日本語訳に一部問題があるものもありますが)。

特に「労働みたいに思えないものは何か?」などは、若い方に読んでもらいたいです。

本来?は、Lispハッカーとして有名な方でそちら系の書籍もあります。

目次


  • メイド・イン・USA―アメリカ人が車を作るのが下手なのとソフトウェアを書くのが得意なのは、同じ理由による。だがアップルの存在は、両方を改善してゆけるヒントだ。

  • どうしてオタクはもてないか―彼らはゲームに乗っていない。

  • ハッカーと画家―ハッカーは、画家や建築家や作家と同じ、ものを創る人々だ。

  • 口にできないこと―異端的な考えを思い巡らせ、それをどう使うか。

  • 天邪鬼の価値―ハッカーはルールを破ることで勝つ。

  • もうひとつの未来への道―Webベースソフトウェアは、マイクロコンピュータの登場以来最大のチャンスだ。

  • 富の創りかた―裕福になる最良の方法は富を生み出すことだ。そしてベンチャー企業はその最良の方法だ。

  • 格差を考える―収入の不均一な分布は、広く考えられているほど問題ではないのではないか。

  • スパムへの対策―最近まで、専門家の多くはスパムフィルタは成功しないと考えていた。この提案がそれを変えた。

  • ものつくりのセンス―素晴らしいものを創るにはどうすればよいか。

  • プログラミング言語入門―プログラミング言語とは何か。それはなぜ盛んに話題になるのか。

  • 百年の言語―百年後にはどういうふうにプログラミングをしているだろう。今からでもそれを始められないだろうか。

  • 普通のやつらの上を行け―Webベースアプリケーションでは、自分の使いたい言語を使うことができる。ライバルも同様だ。

  • オタク野郎の復讐―技術の分野では、「業界のベストプラクティス」は敗北へのレシピだ。

  • 夢の言語―良いプログラミング言語とは、ハッカーがやりたいことをやれる言語だ。

  • デザインとリサーチ―研究は独自性が必要だ。デザインは良くならなければならない。

  • 素晴らしきハッカー―ほかより飛び抜けて優れたプログラマがいる。そんな素晴らしいハッカーたちはどういう人物なんだろう。

第5章「もうひとつの未来への道―Webベースソフトウェアは、マイクロコンピュータの登場以来最大のチャンスだ。」は、原著の出版が2004年で、エッセイ自体はもっと以前に書かれていることを考えると、未来への予言でした。


Eric Sink on the Business of Software 革新的ソフトウェア企業の作り方 2008/9/11

SourceGear LLC社の創業者、エリック・シンク氏の著作です。エリック・シンク氏は、micro-ISV(マイクロISV independent software vendor)という言葉を作った人として有名ですが、今でいう「スタートアップ」のことですね。

僕は、この本の日本語訳が出る前から、エリック・シンク氏の名前は知っていて、それは、前出のジョエル・スポルスキ氏が、この本のために書いた序文の翻訳が日本語訳されてネットに掲載されていたからです。

目次


  • 第1部 起業家(小さなISVについて 石の樽に不平をこぼす ほか)

  • 第2部 人(小さなISVに必要なのはプログラマではなく開発者 ギークの支配とMBAの戯言 ほか)

  • 第3部 マーケティング(マイクロISVのための製品アイデアを探す マーケティングは後処理ではない ほか)

  • 第4部 セールス(透明性の信条 製品価格付けの初歩 ほか)

小さなソフト会社が、自分たちのアイデアで製品を開発して売っていく(まさにスタートアップですね)ために、どうしたらよいかについて書かれています。起業する。開発者を雇う。製品のアイデア。競合の分析。宣伝。セールス。環境は違いますが、今でも必要なことばかりです。


ピープルウエア 第3版 2013/12/18

トム・デマルコ氏さんは言わずと知れた、数々の名著を書いてきたソフトウェア工学の権威です。

すべてのシステム開発部門の部門長、リーダーや、(中小企業なら)社長さんに、是非とも読んで欲しいです。

電話の割り込み、騒音、不自由な環境とかがどれほど技術者の生産性を落とすのか。それをどうやって防ぐのか。以下に目次を延々と引用しているのは、出来る限り中身を推測してもらって、多くの人に読んでもらいたいためです。

これを読めば、(集中力があって優秀な開発者ほど)音楽をイヤフォンで聞きながら仕事をしたりする傾向があるが、それを禁止してはいけないこと、開発者に電話取りなどさせてはいけないこと、などが理解できると思います。

目次


  • 第I部 人材を活用する

  • 第1章 今日もどこかでトラブルが

  • 第2章 チーズバーガーの生産販売マニュアル

  • 第3章 ウィーンはきみを待っている

  • 第4章 品質第一……時間さえ許せば

  • 第5章 パーキンソンの法則の改訂

  • 第6章 ガンによく効く?「ラエトライル」

  • 第II部 オフィス環境と生産性

  • 第7章 設備警察

  • 第8章 プログラムは夜できる

  • 第9章 オフィス投資を節約すると

  • ちょっと休憩 インテルメッツォ

  • 第10章 頭脳労働時間 対 肉体労働時間

  • 第11章 電話、電話、また電話

  • 第12章 ドアの復権

  • 第13章 オフィス環境進化論

  • 第III部 人材を揃える

  • 第14章 ホーンブロワー因子

  • 第15章 リーダーシップについて話そう

  • 第16章 ジャグラーを雇う

  • 第17章 他者とうまくやっていく

  • 第18章 幼年期の終わり

  • 第19章 ここにいるのが楽しい

  • 第20章 人的資産

  • 第IV部 生産性の高いチームを育てる

  • 第21章 全体は部分の和より大なり

  • 第22章 ブラックチームの伝説

  • 第23章 チーム殺し、7つの秘訣

  • 第24章 続、チーム殺し

  • 第25章 競争

  • 第26章 スパゲティディナーの効果

  • 第27章 裃を脱ぐ

  • 第28章 チーム形成の不思議な化学反応

  • 第V部 肥沃な土壌

  • 第29章 自己修復システム

  • 第30章 リスクとダンスを

  • 第31章 会議、ひとりごと、対話

  • 第32章 マネジメントの究極の罪

  • 第33章 E(悪い)メール

  • 第34章 変化を可能にする

  • 第35章 組織の学習能力

  • 第36章 コミュニティの形成

  • 第VI部 きっとそこは楽しいところ

  • 第37章 混乱と秩序

  • 第38章 自由電子

  • 第39章 眠れる巨人よ、目を覚ませ


闘うプログラマー[新装版] 2009/7/23

現状のWindows系列製品の元となったWindowsNTの開発物語。非常に個性の強いリーダー、デビット・カトラーを中心に、250人の開発体制で5年間続く開発の中で、政治的・技術的な闘いが延々と続き、読み物として文句無しに面白いです。是非一読をおすすめします。

目次


  • 第1章 コードの戦士

  • 第2章 コードの王者

  • 第3章 郎党

  • 第4章 袋小路

  • 第5章 熊の咆哮

  • 第6章 ドッグフード

  • 第7章 出荷モード

  • 第8章 死の行進

  • 第9章 バグ

  • 第10章 ショーストッパー


プログラム書法 第2版 1982/6/20

いろいろ意見があると思いますが、今の若い人にこれを読めという気にはなりません。自分としてはものすごく役にたちましたが。

目次


  • 表現について

  • 制御構造

  • プログラム構造

  • 入出力について

  • よくあるまちがい

  • 効率と性能測定

  • 解説文書



UNIXという考え方―その設計思想と哲学 2001/2

機能は小さく作る。余分なものは入れない。

Small is beautiful !

目次


  • 第1章 UNIXの考え方:たくさんの登場人物たち

  • 第2章 人類にとっての小さな一歩

  • 第3章 楽しみと実益をかねた早めの試作

  • 第4章 移植性の優先順位

  • 第5章 これこそ梃子の効果!

  • 第6章 対話的プログラムの危険性

  • 第7章 さらなる10のUNIXの考え方

  • 第8章 一つのことをうまくやろう

  • 第9章 UNIXとその他のオペレーティングシステムの考え方


伽藍とバザール―オープンソース・ソフトLinuxマニフェスト 1999/9

オープンソース運動のマニフェスト。ものすごく興奮して読んでいたことを思い出します。山形浩生 氏の名前もこの時初めて知りました。しかし、「ノウアスフィアは、ぼくたちの開墾を待っている」って、なんのことだかわからない翻訳だね。

目次


  • 第1部 伽藍とバザール

  • 第2部 ノウアスフィアの開墾

  • 第3部 魔法のおなべ

  • 第4部 エリック・S・レイモンド大いに語る

  • 第5部 ノウアスフィアは、ぼくたちの開墾を待っている