「カリー化」という概念があります。カリー化とは、複数の引数を持つ関数を、いくつかの関数の組み合わせで表現することを指します。ここではJuliaで解説します。
例えば、次のようなコードでは、複数の引数を持つ「add」という関数を定義しています。
# 複数の引数を持つ関数
function add(x, y)
return x + y
end
# 関数を使用する
println(add(1, 2))
println(add(3, 4))
println(add(5, 6))
このコードを実行すると、次のような出力が得られます。
3
7
11
このように、複数の引数を持つ「add」という関数を定義し、その関数を使用しています。
一方、juliaでは、このような複数の引数を持つ関数を、単一の引数を持つ関数の組み合わせで表現することができます。例えば、次のようなコードでは、「add」という関数をカリー化した形で定義しています。
# 複数の引数を持つ関数をカリー化した形で定義する
function add(x)
function(y)
return x + y
end
end
# 関数を使用する
println(add(1)(2))
println(add(3)(4))
println(add(5)(6))
このコードを実行すると、次のような出力が得られます。
3
7
11
このように、カリー化を使用することで、複数の引数を持つ関数を、単一の引数を持つ関数の組み合わせで表現することができます。
メリット
カリー化によって、複数の引数を持つ関数を、単一の引数を持つ関数の組み合わせで表現することができるため、次のようなメリットがあります。
関数を再利用しやすくなる
カリー化を使用することで、同じ引数を持つ複数の関数を1つの関数で表現することができます。そのため、同じ処理を行う複数の関数を定義する必要がなくなり、再利用性が向上します。
例えば上記の例ですと以下のような使い方もあります
add10 = add(10)
println(add10(5))
# 15
コードをスマートに記述できる
カリー化を使用することで、複数の引数を持つ関数を、単一の引数を持つ関数の組み合わせで表現することができます。このため、複数の引数を持つ関数を書くよりも、単一の引数を持つ関数の組み合わせで書く方が、コードがスマートに書けるようになります。
関数をパイプラインで繋げやすくなる
カリー化を使用することで、複数の引数を持つ関数を、単一の引数を持つ関数の組み合わせで表現することができます。そのため、複数の関数を「パイプライン」と呼ばれる形で繋げることができます。このため、関数をパイプラインで繋げることで、よりスマートなプログラムを書くことができます。
カリー化のデメリット
カリー化を使用することには、いくつかのデメリットがあります。ここでは、その代表的なものを紹介します。
コードがわかりづらくなる
カリー化を使用することで、関数の定義が複雑になります。元々は、単純な複数の引数を持つ関数が、カリー化を使用した形で定義されることになります。このため、その関数を使用するためには、カリー化を理解する必要があります。しかし、カリー化は一般的ではないため、カリー化を使用した関数を理解し難いときもあり、コードがわかりづらくなることがあります。
デバッグが難しくなる
カリー化を使用することで、関数の定義が複雑になるため、デバッグが難しくなる可能性があります。例えば、カリー化を使用した関数でエラーが発生した場合、そのエラーが発生した箇所を特定するのは困難である可能性があります。例えば上記の例ですとadd10は関数ではないと誤解してしまい、println(add10)としてしまう恐れがあります。