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LINEの市場規模を拡大しよう!

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待ちに待ったAdvent calendar担当日。
連日の研究・就活・筋トレの三足わらじの忙しさもあり当日23時に投稿。ギリギリである。
投稿者の最初のテーマは"LINEの市場規模を拡大しよう!"。一見何を言っているのかわからないが、就活シーズンの筆者にとってはとてもホットな話題なのである。勿論、エンジニアとしても論理的思考能力を試すのに非常に有効である。
本稿では実際のIT産業に関するフェルミ問題を例に取って解いてみよう!というものである。

解法手順

これは良く言われているフェルミ問題を特く際の手順である。
まず今回の問題は”市場規模の拡大”であるが、先んじて"LINEのユーザー数"を求めよう。この理由はいずれ分かる。
解法手順は以下の通り。

  1. 問題設定の定義
  2. 因子を書き出して数式化
  3. 各因子のセグメント分割
  4. 並列計算
  5. 妥当性の評価

問題設定の定義

これは何を求めるかを明確にするフェーズである。フェルミ問題には勿論正解は存在するものもあるが、わからないものもある。フェルミ推定はあくまで論理的思考力を図るためのものであるため、ある程度自分の都合が良いように問題設定しても良い。
今回は"日本のLINEユーザー(アカウント)数"を求めることにする。

因子を書き出して数式化

このステップはいわば横への分解である。LINEユーザー数を求めるに当たって関連すること、原因となるものをブレインストーミングしながら書き出す。

\text{日本のLINEユーザー数}=個人用アカウント+仕事用アカウント

個人アカウントは個人がプレイベート用で持つLINEアカウント、仕事用アカウントはLINE公式アカウントや会社が社員に仕事用でスマートフォンを貸出しLINEで連絡を取り合っている事例を想定する。
個人・法人のLINEアカウント数はそれぞれ次の様に概算できそうだ。

\begin{align}
個人用アカウント&=日本総人口\timesスマホ所持率\times \text{SNSしてる率}\times\text{LINEしてる率}\\
仕事用アカウント&=第二次産業人口\times スマホ貸出率+第三次産業人口\times スマホ貸出率
\end{align}

この分解はある程度のお作法が存在し、問題によっては面積ベースだったり、ユニットベースで解いたりする。

各因子のセグメント分解

ここでは前ステップで書き出した各因子を縦に分解する。はじめに個人用アカウントについて考えてみよう。

学生・社会人     年齢幅                         1年代の人口 スマホ所持率 SNS率 LINE率
幼稚園以下 〜6 0 - -
小学生 7〜12 0.01 0 -
中学生 13〜15 0.3 0.8 0.9
高校生 16〜18 0.6 0.8 0.9
大学生 19〜22 0.8 0.9 0.9
40歳以下 23〜40 0.9 0.9 0.9
60歳以下 41〜60 0.9 0.9 0.6
80歳以下 61~80 0.3 0.5 0.5

ここで各セルの値はあくまで肌感でしかない。しかし、なぜこの値にしたかの説明が付くように意識する。例えば、スマホ所持率の列をみてみよう。幼稚園生は誰も持っていないとし、小学生<中学生<高校生<大学生<社会人>>リタイア軍団と仮定した。勿論、幼稚園にiPhone11Proを持っていく港区タワマン在住超ボンボンボーイ木下慎くんがいるかも知れない。しかしこんな常軌を逸した人間はごくごくわずかである。フェルミ推定はオーダーが±1を狙いにいくものなので細かいことは完全に無視する。
また、各年齢人口は0歳から80歳までが一様に分布しているものとし、一年齢あたり

一年齢人口=日本総人口\times\frac{1}{81}\simeq 1.2\times10^8\times\frac{1}{80}

とする。
したがって、各行に関してセルを掛け合わせ総和を取ればLINEの個人用アカウント数が求められる。

\begin{align}
個人用アカウント&=1.2\times10^8\times\frac{1}{80}\times(3*0.3*0.8*0.9+3*0.6*0.8*0.9+4*0.8*0.9*0.9+18*0.9*0.9*0.9+20*0.9*0.9*0.6+20*0.3*0.5*0.5)\\
&\simeq 1.2\times10^8\times\frac{1}{80}\times(600+1300+2600+13000+10000+1500)\\
&\simeq 4.35\times10^7=4350万個
\end{align}

こんなの概算で良い。とにかく素早く導出することが大切である。
さて、次に仕事用アカウント数を求めてみよう。

\begin{align}
仕事用アカウント&=第二次産業人口\timesスマホ貸出率+第三次産業人口\timesスマホ貸出率
\end{align}

先ほどと同様にしてマトリックスに書き出してみる。本稿では簡単のために第二次産業と第三次産業を別々のマトリックスにして考える。

性別 労働率 第二次産業率 スマホ貸出率
20〜59歳男性 1 0.25 0.1
20〜59歳女性 0.7 0.25 0.1
第二次産業人口\timesスマホ貸出率=1.2\times10^8\times\frac{1}{80}\times40\times\frac{1+0.7}{2}\times0.25\times0.1\simeq1.3\times10^6
性別 労働率 第三次産業率 スマホ貸出率
20〜59歳男性 1 0.7 0.3
20〜59歳女性 0.7 0.7 0.3
第三次産業人口\timesスマホ貸出率=1.2\times10^8\times\frac{1}{80}\times40\times\frac{1+0.7}{2}\times0.7\times0.3\simeq1.1\times10^7

サービス業である第三次産業は第二次産業に比較してスマホ貸出率が多いこと、女性は男性に比べ専業主婦の割合が多いため労働率が低くなることを仮定においた。したがって、仕事用アカウントは1200万個と求められる。
気づいた方もいるかも知れないが、実は第四のステップである並列計算はもう済んでいるのである。右手で個人用アカウント数、左手で仕事用アカウント数を計算しよう。

妥当性の評価

以上より、日本のLINEユーザー数は

\text{日本のLINEユーザー数}=個人用アカウント+仕事用アカウント=4350万+1200万=5550万(個)

と求められる。これは平均すると日本国民2~3人に1人はLINEをやっているという計算になる。この値は不自然ではないが、例えば2億個などの数値が導出されるとさすがにおかしいことに気付ける。

LINEが2019年10月に公開している国内月間アクティブユーザ数は8100万であった。
月間アクティブユーザーの定義がよくわからないが、結構大きい数値であった。

元の問題に戻ろう。

さて、ここで元の問題に戻る。LINEの市場規模を拡大するにはユーザ数を増やすというのが最も現実味のある戦略であろう。(勿論、スタンプをもっと買ってもらうやコイン価格を上げるなどもあるが。)
二番目のステップである個人用アカウントの因子分解を改めてみてみると、日本総人口とスマホ所持率はNAVERやZホールディングが上げることは困難そうであるが、SNS率やLINEのシェア率なら向上が期待できる。そうすればSNSをやる人やLINEをやる人が増えるようなマーケティングや広告を行うなどの戦略を取ろうということに結論づく。

こうは書いたものの、本稿の目的はフェルミ問題を解くことなのでここから先は記述しない。

え?これプログラミングの記事だったの?

あれ?

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