ぼへみあです。
北陸新幹線に乗って北陸方面に旅行や出張できたことのある人なら経験があるので分かるかと思いますが
北陸新幹線乗車中は、モバイル回線はかなり不安定で、途切れたり、速度が遅かったりします
ネットワークを使う仕事はもちろん、Youtubeなどの動画視聴もなかなか厳しいです。
今回この状況を可視化してみました
計測方法及び条件
区間は東京-金沢間で、
2024年6月15日(土)の新幹線かがやき511号、16:24発、18:52着で計測を行いました。
回線はIIJmioのドコモ回線を利用し、スマホからテザリングしてPCで計測しました
通信速度の計測には、iperf3というアプリケーションを用い
クライアント側を新幹線乗車中のPCで、
サーバー側をAWSに立てたUbuntuサーバーで、上りの速度を計測しています
プロトコルはUDPで、最大10Mbpsの計測を行いました
計測及び可視化に利用したコードは下記に置いてあります
位置情報の計測には、GPS LoggerというAndroidアプリを用いています
このようにxml形式で時刻と緯度経度をgpxファイルとして出力できます
<trkpt lat="35.68108443" lon="139.76915880"><ele>522.358</ele><time>2024-06-15T07:21:14Z</time><speed>0.000</speed><sat>31</sat></trkpt>
<trkpt lat="35.68107691" lon="139.76915647"><ele>518.309</ele><time>2024-06-15T07:21:15Z</time><speed>0.000</speed><sat>30</sat></trkpt>
<trkpt lat="35.68107027" lon="139.76915346"><ele>513.433</ele><time>2024-06-15T07:21:16Z</time><speed>0.000</speed><sat>30</sat></trkpt>
<trkpt lat="35.68043022" lon="139.76732053"><ele>45.935</ele><time>2024-06-15T07:21:17Z</time><speed>0.000</speed><sat>29</sat></trkpt>
...
このファイルと、iperf3のタイムスタンプを組み合わせて、可視化を行なっています
可視化には、Google Earthを用いています
kml形式のファイルを生成し、ローカルKMLファイルとしてインポートすることで見ることができるようになっています
新幹線の速度の可視化(通信速度ではない)
まずはリアルの速度を可視化してみました。通信速度ではなく、km/hの時速です!
詳細に見たい方は、下記のファイルをダウンロードし
Google EarthでローカルKMLファイルをインポートすると、見られます
かがやきと言う、停車駅が東京、大宮、長野、富山、金沢しか止まらない新幹線です
全体的に見てみると、
都心に近いところは速度が出ておらず、関東平野も遅めです
停車駅付近と、停車駅ではない新幹線駅の付近で速度が落ちているのと
山岳のトンネル区間では速度が落ちていることなどがわかります
都内では100km/h程度、埼玉も200km/h程度なところが多いです
どうやら、新幹線建築時の反対運動で、騒音を抑えるために
東京北部、埼玉県南部では速度が出せないみたいです
このあたりの記事に書いてありました
埼玉を抜けて群馬に入るあたりで加速しますが、停車しない新幹線駅の高崎駅付近で減速し、また加速しています
山岳部は減速していて、平地は早い傾向がわかります。
なおトンネル内はGPSが計測できないので、入り口と出口の情報から補完しており、トンネル内の速度は平均速度であり、正確ではありません。
富山駅で停車するために減速しています。金沢駅付近でも同様です
こうしてみると、停車に伴う減速は割と早い段階から行われており、
各駅停車型の新幹線は毎回これが行われるので、時間がかかることがよく分かります。
通信速度を可視化
と言うことで本題の、通信速度を計測した結果を可視化してみます
先ほどと同じように、詳細を見たい方は、ローカルKLMファイルを用意してあります
凡例ですが、
黒:0kbps
青:1~50Kbps
水色:51~100Kbps
緑: 101~500Kbps
黄色:501~1000Kbps
橙:1~5Mbps
赤:5~10Mbps
となっています
全体を俯瞰しての傾向ですが
関東平野及び富山-金沢あたりは割と安定していますが
群馬、長野、新潟あたりの山岳トンネル区間がダメダメです
この辺りは、東京-上野あたりで地下区間を走る関係上、通信が途切れてしまいます
それ以外の高崎あたりまでは、概ね5Mbps以上出ているので、安定していると言えます
これが群馬の山岳地帯に入ると急変します
安中榛名〜新潟県の区間は、厳しい状況が続きます
500Kbps以下の区間が続きます
線が途切れているところがありますが、そこはモバイル回線が切断され、iperfの計測すらできなかったところです
速度は遅いし、回線も切断されて、ネットワークを介した仕事はまともにできません
長野の平野区間で一時的に回復しますが、またすぐに山岳地帯に突入してしまい、速度が低下してしまいます。
しかしトンネル区間が全く通信できないと言うわけではなく、遅いながらも
通信はできる状況にあります。軽いメールくらいなら可能かと思われます
富山と石川を隔てる山のトンネル区間は500Kbps程度ですが
それ以外は平野なので安定した速度が出ています。
まとめ
北陸新幹線は山岳地帯を通るルートが多く、乗車中のモバイル回線の通信速度は、群馬県~新潟県の間で安定していません。
このことから、出張や旅行で北陸新幹線で北陸地方に来る方は、高崎を出たあたりから黒部宇奈月温泉あたりまでは
寝るか、本を読むことをオススメします
このように、常時ネットが繋がっていることが当たり前の時代で、北陸新幹線では大きな空白時間が生まれてしまっています。
回線事業者の方へ
トンネルの多い区間でも、低速ながら繋がっていることは良いことだと思います。
しかしこの速度では仕事はあまりできませんし、Youtubeも見られません。
もう通信状況を少し改善していただけると、北陸民や出張族の人は喜びます。
他の新幹線沿線沿いの人へ
北陸新幹線以外の新幹線の通信状況を知れたら、比較にもなりますし、その時代の通信速度の記録として公開していただけると、貴重な記録にもなります
下記のリポジトリに、計測方法とともにコードがあります。
出張の際などに、計測して、公開してもらえるととても嬉しいです。