はじめに
こんにちは、ドロッパ電源が欲しくてたまらんbockringです。個人でOWONのSPE6103という直流安定化電源を所有しているのですが、電圧の誤差はほとんどないのに電流計の誤差が数百mAくらいあるんですよね(3A表示時、出力が350mA低いとかw)。ということで校正(キャリブレーション)をしていきます。
この記事を読み校正を行おうと考えている方へ
校正については取扱説明書にも載っていないことです。当然ですが、校正は自己責任で行ってください。なお、くれぐれも校正作業中の事故には気を付けて行ってください。
また、この記事を参考に校正作業を行なったことによる不利益の責任は執筆者は負いかねます。
ちなみに、これが電源本体の見た目の模式図です。
2万円程度で買える電源としては高性能品の部類に入るとは思います。この価格帯で珍しく可能な機能は
・液晶画面搭載
・電圧流のグラフ表示
・OVP/OCP(過電圧/過電流保護)機能
・ロータリーエンコーダによるデジタル設定
・任意出力の保存
・シーケンス出力
・ユーザーキャリブレーション機能(今回の内容です)
・電源ON時の出力ON/OFF設定機能
・SCPIコマンドによる専用ソフトからの制御/電圧流データの書き出し
と盛りだくさんです。それだけにスイッチングのリプル電圧の大きさと平滑用キャパシタの電荷抜けの遅さが足を引っ張る様な感じです。
校正モードに入る
OWONのSPEシリーズ(SPMシリーズについてはできるのか不明です)のスイッチング電源には校正機能があります。このモードに入るためには
↑↑↓↓→←→←BA
みたい…いやこんなものではありませんが隠しコマンド的なものの入力が必要です。それは
[Display]
↓
[Memory]
↓
[ロータリエンコーダ押し込み]
↓
[V]
↓
[A]
の順番にボタンを押す必要があります。誰でも辿り着けそうなコマンドではありますが、これが一応隠し(?)コマンドです。
校正する
校正には校正された測定器(マルチメータ)が必要です。校正の有効期限は1年ですので、1年以内に購入したマルチメータを使用します。私の場合、
・KYORITSU KEWMATE 2012RA
・OWON OW18D
の2台が当てはまります。本当はお気に入りかつ購入も比較的最近の2012RAの方を使いたいのですが、OW18Dの方が確度も高いですし、桁数も5桁です。よって今回はOW18Dを用いて校正を行っていきます。(あと、2012RAは電流測定がクランプというのもある)
先に言っておきますが、操作はロータリーエンコーダ(回し/押し込み)と「Dsiplay」ボタンを用います。機能はそれぞれ
ロータリーエンコーダ回し:オプションの選択/数値の変更
ロータリーエンコーダ押込:オプション・数値の確定
「Display」ボタン押込:詳細設定画面から校正メニューへ戻る
です。
1 電圧の出力設定値と計測値の誤差の補正
校正メニューから「Man Volt」を選択します。まずエンコーダをクリックした後、計測器側が耐えられる範囲の電圧を指定し、エンコーダをもう1度クリックします。そして、設定した電圧と計測器側の電圧の誤差がない様にエンコーダを回して調整します。その後エンコーダをクリックし、ADCの入力値と計測器の表示値の誤差がない様に調整します。
計測器側が耐えられる(安全な)範囲で全ての電圧を校正してください。調整が完了したら「Display」ボタンを押して校正メニューに戻ります。
2 電流の出力設定値と計測器の誤差の補正
これを行う際にはマルチメーター、そして使用しているテストリード、場合によってはそのテストリードに繋いでいるアクセサリの許容電流に十分に気を付けてください。必ず確認してから行ってください。
例えば、
マルチメーター許容電流:20A(10A以上は10秒以下/それ未満は制限なし)
テストリード許容電流:20A
ワニ口クリップ変換アクセサリ許容電流:3A
の場合、最も許容電流の小さな3Aを優先します。また、校正作業中は誤差によって設定値より大きな電流が流れることもあります。この場合、許容値より1A程度小さな電流で設定し、校正作業を行いましょう。
最悪の場合ケーブルの発煙・発火、そしてそれに伴う火傷などの被害が発生する可能性があります。
なお、計測器側も「◯A以下/未満ではヒューズは永久的に溶断しません」などの記載がある場合があります。その時は溶断しない方の電流を優先しましょう。上記の例の場合10Aです。
私の場合、使用している自作のバナナ↔︎ワニ口のケーブルがが4A程までなので、3Aに設定して校正を行いました。電圧の誤差補正と操作はほとんど同じですから、省略します。また同じく、範囲内で全ての電流を校正しましょう。
2024.6/2追記
10A対応のケーブルを自作したので、テスターが耐えられる9Aまで(10Aで実行するとヒューズが飛ぶ可能性あり)校正しましたが、危険なのでやめた方がいいかもしれません。
また、遊んではいけません。調子に乗って遊ぶと火花が飛びます(飛びました)。
ただし、こちらは特に使用機器・アクセサリの電流制限に気を付けて行ってください。ヒューズが飛んで済めば良かったね、って感じです。あとは使っているケーブルの発熱にも注意が必要です。数秒程度なら耐えられますが、時間がかかるので過電流にも気を付けてください。
3 保存して終了
最後に校正したデータを保存します。校正メニューで「Save & Exit」を選択し、保存してから終了します。間違えても「Exitlは選択しないでくださいね。データが飛びます(多分)。
4 校正が成功しているか確認
校正を行なった範囲内でご使用の計測器との数値の差がほとんど無いことを確認しましょう。もしズレがあったら1からやり直しです…
これで校正作業は終了です。お疲れ様でした。
おわりに
最後読んでいただきありがとうございます。あまり情報がない(特に日本語の)ので記事にしてみました。電流の校正の際にはくれぐれも気を付けて行ってくださいね。
あと使う時は校正した範囲で使いましょう。校正した範囲で使えばテスターなどを繋ぐ必要はなくなりますしね。
それではまた次の記事で〜