物理の公式(電磁気学)
単位まとめ
静電気
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クーロンの法則: $q1 [C]$ の荷電粒子と $q2 [C]$ の荷電粒子が、距離 $r [m]$ のときに働く力(静電気力=クーロン力) $F [N]$
$$F = k \cdot \frac{q1 \cdot q2}{r^2}$$ -
電場: $1 C$ の電荷をその地点に置いたときの静電気力
$$\vec{F} = q \vec{E} \vec{E} = \frac{\vec{F}}{q}$$- 点電荷のまわりの電場
$$E = \frac{F}{q_0} = \frac{k \cdot \frac{q_0 \cdot q}{r^2}}{q_0} = k \cdot \frac{q}{r^2} $$
- 点電荷のまわりの電場
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電気力線: 電場の強さが $E [N/C]$ の場所は、$1m^2$ 当たり $E$ 本の電気力線を書く
$$E [N/C] の電場には、E [本/m^2] の電気力線$$ -
ガウスの法則: 総量 $Q [C]$ の電荷から出る電気力線の総数は $4 \pi kQ$ 本
$$+Q[C] から r[m] にある電場は E = k \cdot \frac{Q}{r^2}
電場は半径 r [m] の球状に広がっているから全電気力線の数は 4 \pi r^2 \cdot E = 4 \pi kQ [本]$$ -
一様な電場での位置エネルギー: 基準の位置から電荷を動かすときの仕事の量 = 受けた力x移動した距離
$一様な電場 E [N/C] に置かれた +q [C] の電荷(qEの力を受ける)が d [m] 進むと、そのときの仕事 W = qE \cdot d [J]$
$$U = qEd [J]$$- 重力による位置エネルギーとの対比: $q \Leftrightarrow m, E \Leftrightarrow g, d \Leftrightarrow h$
$U = qEd$
$U = mgh$
- 重力による位置エネルギーとの対比: $q \Leftrightarrow m, E \Leftrightarrow g, d \Leftrightarrow h$
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電位:一様な電場での位置エネルギーで、重力による位置エネルギーの $g(重力加速度)$ とは違って $E$ が変位する。そのため $Ed$ を目安とする。=> $+1 C$ の電荷の位置エネルギー
$$V = Ed [V] = [N/C \cdot m]$$- 単位の整理
$U = qEd V = Ed U = qV$
$E = \frac{V}{d} [N/C] = [V/m]$
$V = \frac{U}{q} [V] = [J/C]$
- 単位の整理
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点電荷による電位
$点電荷 +q [C] が r [m] 離れたところに働く力は F = k \cdot \frac{q}{r^2} これが r [m] までする仕事はrでの積分となり$
$$位置エネルギー(U) = k \cdot \frac{q}{r} => これは +1C の位置エネルギーなので V = k \cdot \frac{q}{r}$$ -
コンデンサ
- 極板に $Q[C]$ の電荷が蓄えられているときの電気力線数は、 $4 \pi k Q[本]$ ※1枚の極板からは上下に電気力線が出て半分になるが、2枚の間と考えるともう一方の極板からの電気力線があるので。
- 極板間の電場の強さを $E [V/m]$、極板の面積を $S[m^2]$ とすると、極板間の電気力線数は、$ES[本]$
$$4 \pi kQ = ES$$ - 極板間の電場は一様なので、極板間の距離を $d [m]$ とすると、$V = Ed => E = V/d$
- $4 \pi kQ = ES = \frac{S}{d}V => Q = \frac{1}{4 \pi k}\frac{S}{d}V$
- 電気容量: $C = \frac{1}{4 \pi k}\frac{S}{d} [F]$ とすると
$$Q = CV$$ - 誘電率: $\epsilon = \frac{1}{4 \pi k} [F/m]$ とすると
$$C = \epsilon \frac{S}{d}$$ - コンデンサの静電エネルギー
$$U = \frac{1}{2}QV = \frac{1}{2}CV^2 = \frac{1}{2}\frac{Q^2}{C}$$ - 合成容量
- 並列:$C = C_1 + C_2$
- 直列:$\frac{1}{C} = \frac{1}{C_1} + \frac{1}{C_2}$
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電流: 1 秒間に $1C$ の電荷が流れるときの電流の大きさ。$t [s]$ の間に $q [C]$ の電荷が流れるときの電流の大きさ $I [A]$
$$I = \frac{q}{t} [A] = [C/s]$$ -
電流: 自由電子は1個当たり $-e [C]$、断面積 $S [m^2]$、自由電子の平均速度 $v [m/s]$、自由電子の数密度 $n [個/m^3]$ のときの電流 $I [A]$
$$I = envS [A]$$ -
電気抵抗: 断面積 $S [m^2]$、長さ $l [m]$、自由電子の数密度 $n [個/m^3]$ の導線の両端に、$V [V]$ の電圧を掛けたとする
- 1個の自由電子に掛かる力 $F_e [N]$ は、電場を $E [N/C]$ とすると $F_e = eE$
- $V = Ed$ より $V = El => E = \frac{V}{l} => F_e = e \frac{V}{l}$
- 抵抗力は自由電子の平均の速さ $v$ に比例し、比例定数を $k$ とすると抵抗力は $kv [N]$ ※ここがいまいちわからん
- $e \frac{V}{l} = kv => v = \frac{eV}{kl}$
- $I = envS = en(\frac{eV}{kl})S = (\frac{e^2nS}{kl})V => 電流は電圧に比例する$
- $\frac{1}{R} = \frac{e^2nS}{kl} => R = \frac{kl}{e^2nS}$ Rが大きくなると電流が流れにくくなる=>抵抗
- $R = \frac{kl}{e^2nS} = \frac{k}{e^2n}\frac{l}{S} = \rho \frac{l}{S} [\Omega]$ => 抵抗率 $\rho = \frac{k}{e^2n} [\Omega \cdot m^2/m => \Omega \cdot m]$ とする
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ジュールの法則: 抵抗 $R [Ω]$ の導線を電圧 $V [V]$ の電源につなぎ、$I [A]$ の電流を $t [s]$ 間流した
- $I = \frac{q}{t} => q = It$
- $電場が電荷を運ぶ仕事 W [J] は W = qEd = qV = ItV = IVt$
$$Q = IVt = I^2Rt = \frac{V^2}{R}t [J]$$ - 断面積 $S [m^2]$、長さ $l [m]$、自由電子の平均の速さ $v [m/s]$、自由電子の数密度 $n [個/m^3]$ の導線の両端に、$V [V]$ の電圧を掛けたとする。
自由電子は電場の力を受けて加速し、そして陽イオンにぶつかって減速し、トータルで一定のスピードで進んでいくわけです。一定のスピードということは自由電子の運動エネルギーは増えていません。自由電子は電場からエネルギーをもらってそれを全部、陽イオンにあげるのです。陽イオンの振動、つまり熱になるのです。これがジュール熱です。(今は導線について考えているので、自由電子のエネルギーは全部ジュール熱になる、とみなしますが、もしモーターであれば回転エネルギーに変わるし、電球だったら光エネルギーに変わります。)
個々の自由電子が受ける力は $F_e = e\frac{V}{l}$ です。$t$ 秒間に進む距離は $vt$ です。
エネルギーは力×距離なので、$e\frac{V}{l} \times vt$ がエネルギー
自由電子の総数は $nlS$ 個です。
$熱エネルギーの総量 Q = e\frac{V}{l} \times vt \times nlS = envS \times Vt = IVt [J]$
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電力量: 電気のエネルギーがする仕事(=電荷の位置エネルギーの減少分=電流のする仕事)のこと
$$W = Q = IVt [J]$$ -
電力: 電流が単位時間当たりにする仕事のこと
$$P = \frac{W}{t} = IV = I^2R = \frac{V^2}{R} [W]$$ -
単位のまとめ
- $P = \frac{W}{t} = IV = I^2R = \frac{V^2}{R} [W] = [J/s] = [A \cdot V] = [A^2 \Omega] = [V^2/ \Omega]$
- $W = Wt = IVt = I^2Rt = \frac{V^2}{R}t [J] = [Ws] = [AVs] = [A^2 \Omega s] = [V^2 s/ \Omega]$
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直列と並列での合成
- 抵抗
- 直列: $R = R_1 + R_2$
- 並列: $\frac{1}{R} = \frac{1}{R_1} + \frac{1}{R_2}$
- コンデンサ
- 直列: $\frac{1}{C} = \frac{1}{C_1} + \frac{1}{C_2}$
- 並列: $C = C_1 + C_2$
- ばね
- 直列: $\frac{1}{K} = \frac{1}{K_1} + \frac{1}{K_2}$
- 並列: $K = K_1 + K_2$
- 抵抗
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分流器: 元の電流計の内部抵抗を $r_A [Ω]$、分流器の抵抗を $R_A [Ω]$、拡大する倍率を $n$ ※電流計には電流を流したくないので抵抗を高くする => $r_A > R_A$
$$r_A = (n - 1)R_A$$ -
倍率器: 元の電圧計の内部抵抗を $r_V [Ω]$、倍率器の抵抗を $R_V [Ω]$、拡大する倍率を $n$ ※電圧計には電圧を高くしたくないので抵抗を低くする => $r_V < R_V$
$$R_V = (n - 1)r_V$$
磁気
- 磁気量(Wb)
- 静電気との比較
電場 | 磁場 | |
---|---|---|
起点 | 電荷 | 磁極 |
種類 | 正電荷、負電荷 | N極、S極 |
量 | 電気量[C] | 磁気量[Wb] |
はたらく力 | 静電気力 | 磁気力 |
クーロン力 | $F = k \frac{q_1q_2}{r^2} = \frac{1}{4 \pi \varepsilon_0}\frac{q_1q_2}{r^2}$ | $F = k_m \frac{m_1m_2}{r^2} = \frac{1}{4 \pi \mu_0}\frac{q_1q_2}{r^2}$ |
通しやすさ | 誘電率 $\varepsilon = \frac{1}{4 \pi k} [F/m]$ | 透磁率 $\mu = \frac{1}{4 \pi k_m} [N/A^2]$ |
単位の出処 | $C [F]= \varepsilon \frac{S[m^2]}{d[m]}$ | $F [N]= \mu I[A] H[A/m] l[m]$ |
場の大きさ | $\vec{F} = q\vec{E} \vec{E} = \vec{F}/q [N/C]$ | $\vec{F} = m\vec{H} \vec{H} = \vec{F}/m [N/Wb]$ |
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磁気力: 磁気量 m1 [Wb] 、m2 [Wb] 間の距離 r [m] にはたらく力
$$F = k_m \frac{m_1m_2}{r^2}$$ -
磁場: $1Wb$ の N極を置いたときに受ける力とその向き。磁場 $\vec{H}$ に $m [Wb]$ おいたときの力
$$\vec{F} = m \vec{H} \vec{H} = \vec{F}/m [N/Wb]$$- 直線電流が作る磁場
$$H = \frac{I}{2 \pi r} [N/Wb] = [A/m]$$ - 円形電流が作る磁場
$$H = \frac{I}{2r} [N/Wb] = [A/m]$$ - ソレノイドが作る磁場:1m 当たりの巻数 n [回/m]
$$H = nI [N/Wb] = [A/m]$$
- 直線電流が作る磁場
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電流が磁場から受ける力: 導線に流れる電流の大きさを $I [A]$、磁場の強さを $H [A/m]$、導線の長さを $l [m]$、磁場と導線との角度が $\theta$ とすると、導線を流れる電流が受ける力の大きさ $F [N]$
$$F = \mu IHl \sin \theta = IBl \sin \theta $$ -
磁束密度: 磁場の強さ $H [A/m]$ に透磁率 $μ [N/A^2]$
$$\vec{B} = \mu \vec{H} [T]=[N/A \cdot m]=[Wb/m^2]$$ -
磁束: 磁束密度が $B [Wb/m^2]$ の一様な磁場において、それに垂直な面積 $S [m^2]$ の部分の磁束
$$\phi = BS [Wb]$$ -
ローレンツ力: 磁束密度 $B [T]$ の磁場の中を電気量 $q [C]$ の荷電粒子が速度 $v [m/s]$ で進んでいて、磁場の方向と速度の方向のなす角が $\theta$
$$f = qvB\sin \theta$$ -
ファラデーの電磁誘導の法則: $N$ 巻きのコイルを貫く磁束が、$\Delta t [s]$ 間に $\Delta \phi [Wb]$ だけ変化するとき、コイルに発生する誘導起電力 $V [V]$
$$V = -N\frac{\Delta \phi}{\Delta t}$$ -
磁場を横切る導線に生じる誘導起電力: 磁束密度 $B [T]$ の一様な磁場の中に、長さは $l [m]$ の導体棒が、速さ $v [m/s]$ の等速で動いたときの誘導起電力
$$V = vBl$$ -
自己インダクタンス
$$V = -L\frac{\Delta I}{\Delta t} $$- 長さ $l [m]$、断面積 $S [m^2]$、単位長さ当たりの巻き数 $n [回/m]$、巻き数 $N (=nl)$ のコイルがあり、内部に透磁率 $μ [N/A^2]$ の鉄心が挿入されているものとし、流れる電流の大きさを $I [A]$ とします。
ソレノイドが作る磁束密度: $B = \mu nI$
磁束: $\phi = BS = \mu nIS$
発生する誘導起電力: $V = -N \frac{\Delta \phi}{\Delta t} = -N \frac{\mu nS \Delta I}{\Delta t}$ ※変化するのはIのみ
まとめて: $V = -N \frac{\mu nS \Delta I}{\Delta t} = -N \frac{\mu NS \Delta I}{l \Delta t} = -\frac{\mu N^2S}{l}\frac{\Delta I }{\Delta t} => L = \frac{\mu N^2S}{l}$
- 長さ $l [m]$、断面積 $S [m^2]$、単位長さ当たりの巻き数 $n [回/m]$、巻き数 $N (=nl)$ のコイルがあり、内部に透磁率 $μ [N/A^2]$ の鉄心が挿入されているものとし、流れる電流の大きさを $I [A]$ とします。
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コイルに蓄えられるエネルギー
$$U = \frac{1}{2}LI^2$$ -
相互インダクタンス:1次コイルを L1 、2次コイルを L2 とし、それぞれの単位長さ当たりの巻き数を n1 [回/m] 、n2 [回/m] 、2つのコイルの断面積を共に S [m2] 、2つのコイル内部の鉄心の透磁率を共に μ [N/A2] 、1次コイル L1 に流れる電流を I1 [A]
$$V_2 = -M\frac{\Delta I_1}{\Delta t} $$- 環状鉄心の場合磁束がもれない: 1次コイル、2次コイルの巻き数を N1、N2 とし、鉄心の透磁率を μ、鉄心の中心部の円周の長さを l、鉄心の断面積を S、1次コイルに流れる電流を I1 とする
- $B = \frac{\mu N_1I_1}{l}$
$\phi = BS = \frac{\mu N_1I_1}{l}S$
$V_2 = -N_2\frac{\Delta \phi}{\Delta t} = -N_2\frac{\mu N_1 S \Delta I_1}{l \Delta t} = -\frac{\mu N_1 N_2 S}{l} \cdot \frac{\Delta I_1}{\Delta t} => M = \frac{\mu N_1 N_2 S}{l}$
- $B = \frac{\mu N_1I_1}{l}$
- 環状鉄心の場合磁束がもれない: 1次コイル、2次コイルの巻き数を N1、N2 とし、鉄心の透磁率を μ、鉄心の中心部の円周の長さを l、鉄心の断面積を S、1次コイルに流れる電流を I1 とする