概要
ソフトウェアが正しく動くためには健全なハードウェアが必要である。
時に、電源ノイズにより誤作動を引き起こすこともあるため、ソフトウェアデバッグの知識として必要になる場合もある。
ここでは、有名は絶縁DCDCコンバータ MINMAX MAU103 でのノイズ対策対処の実測を載せてみる。
出展元:
計測条件
※回路図は全パーツを載せた状態で書いています。実験では、インダクタ(L1)やコモンモードフィルタ(FL1, FL2)は0Ω抵抗でバイパス、他パーツは未実装の状態からパーツを追加実装していき特性変化を計測します。
使用するパーツ
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絶縁DCDC コンバータ MINMAX MAU103
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100uF 電解コンデンサ
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10uF 積層セラミックコンデンサ
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コモンモードノイズフィルタ
問題波形の拡大図
約120MHz となっている模様。
対策結果
(1) 何もなし(負荷のみ接続) : 238.00 mV
(2) 100uF のみ : 82.40 mV
(3-a) 100uF + 10uF x4 : 87.20 mV
(3-b) 100uF + C3に1000pF : 15.20 mV
C3~C6 それぞれの位置での効果は以下の通り。
MAU103ではC3の位置がベストという結果に。
実装位置 | スパイクノイズ |
---|---|
C3 | 17.80 mV |
C4 | 32.60 mV |
C5 | 21.40 mV |
C6 | 24.20 mV |
(3-c) 100uF + コモンモードフィルタ : 10.80 mV
(4-ab) 100uF + 10uF x4 + C3に1000pF : 8.72 mV
(4-ac) 100uF + 10uF x4 + コモンモードフィルタ : 10.40 mV
(4-bc) 100uF + C3に1000pF + コモンモードフィルタ : 5.24 mV
(5) 100uF + 10uF x4 + C3に1000pF + コモンモードフィルタ : 観測限界以下
※中央のスパイクは環境ノイズ
まとめ
- スペースが許すなら、コモンモードフィルタは入れて設計するべき。スペースがない場合は、C3 を最優先に入力/出力側にMLCC を入れる。当然、今回のヤツを全部入れられるなら入れると良い。
- コモンモードフィルタは、かなり効いた。
- C3, C4, C5, C6 は、C3 での効果が大きかった。最適な箇所は、使用する絶縁DCDCコンバータにより変わるらしい。
- L1のフェライトビーズを入れてみたが、今回の周波数では優位に作用しなかった。