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Visual Studio 2019でSDL2を静的リンクさせる覚書

Last updated at Posted at 2018-04-05

概要

Visual C++とSDL2を静的リンクさせることができたので、手順を書き残しておきます。
個人的によくお世話になるSDL2+OpenGL2の環境でやってみます。

動作環境と前提条件

  • Microsoft Visual Studio 2019
    • Visual C++の開発環境が必要です。
  • SDL2(v2.0.10)
  • 今回は32bitの実行ファイルを作成します。

前準備

Visual Studio 2019のインストール

Visual Studio 2019 Communityをインストールします。手順は割愛。
既定ではVC++の開発環境は入らないので、インストール時にVisual C++コンポーネントを含めるようにします。

CMakeのインストール

ここからWindows用のCMakeをダウンロードします。
私はWindows win64-x64 ZIPを選択しました。
ZIP版の場合は(CMakeをインストールしたディレクトリ)\binを環境変数のPathに追記する必要があります。

SDL2のインストール

ここから入手します。
今回はSDL2をソースコードからビルドするため、SDL2-2.0.10.zipをダウンロードします。
ファイルを展開して任意のディレクトリに保存してください。
今回は以下の場所に格納しました。
C:\dev\SDL2-2.0.10

SDL2のビルド

上記のSDL2を配置したディレクトリ上でコマンドプロンプトを立ち上げます。
ここで、SDL2をVisual Studio 2019でビルドするソリューションを作成するため、CMakeコマンドを実行します。

md build
cd build
cmake -G "Visual Studio 16 2019" -A Win32 ..

(SDL2をインストールしたディレクトリ)\build\の中に作成されたSDL2.slnをVisual Studioで開きます。
ソリューション構成の中にいくつかありますが、DebugReleaseに対してそれぞれビルドします。
(SDL2をインストールしたディレクトリ)\build\(DebugまたはRelease)の中の以下のファイルを使用します。

  • Debug
    • SDL2maind.lib
    • SDL2-staticd.lib
  • Release
    • SDL2main.lib
    • SDL2-static.lib

Visual C++プロジェクトの作成と設定

プロジェクトの作成

Visual Studio 2019で新しいプロジェクトを作成します。
Windows デスクトップ ウィザードで作成します。
途中表示されるオプションで、

  • アプリケーションの種類: デスクトップ アプリケーション (.exe)
  • 追加のオプション: 空のプロジェクトだけにチェック
    として完了します。

SDL2のファイルを配置

(SDL2をインストールしたディレクトリ)/includeの中のファイルを(プロジェクトのディレクトリ)/include/SDL2にコピーします。
(SDL2をインストールしたディレクトリ)/build/includeの中のファイルを(プロジェクトのディレクトリ)/include/SDL2に上書きコピーします。
(プロジェクトのディレクトリ)/libの中にDebugとReleaseでディレクトリを切って、それぞれの中に対応するSDL2のlibファイルを配置します。

プロジェクトの設定

すべての構成

全般

  • 構成の種類: アプリケーション (.exe)
  • 文字セット: マルチバイト文字セットを使用する
  • 出力ディレクトリ: $(SolutionDir)bin\$(Configuration)\
  • 中間ディレクトリ: $(SolutionDir)obj\$(Configuration)\

VC++ ディレクトリ

  • インクルードディレクトリ:
    $(ProjectDir)include
    $(ProjectDir)include\SDL2
  • ライブラリディレクトリ:
    $(ProjectDir)lib\$(Configuration)

リンカー

  • システム
    • サブシステム: Windows (/SUBSYSTEM:WINDOWS)

Debug

リンカー

  • 入力
    • 追加の依存ファイル:
      SDL2maind.lib
      SDL2-staticd.lib
      opengl32.lib
      version.lib
      winmm.lib
      imm32.lib
      setupapi.lib

Release

C/C++

  • 全般
    • デバッグ情報の形式: なし

リンカー

  • 入力
    • 追加の依存ファイル:
      SDL2main.lib
      SDL2-static.lib
      opengl32.lib
      version.lib
      winmm.lib
      imm32.lib
      setupapi.lib
  • マニフェストファイル
    • マニフェストの生成: いいえ (/MANIFEST:NO)
  • デバッグ
    • デバッグ情報の生成: いいえ
  • 最適化
    • リンク時のコード生成: 既定

ビルドしてみる

cppファイルを作成し、以下のコードを記述します。

main.cpp
#include "SDL.h"
#include "SDL_opengl.h"

int main(int argc, char** argv) {
    SDL_Init(SDL_INIT_VIDEO);

    SDL_GL_SetAttribute(SDL_GL_DOUBLEBUFFER, 1);
    SDL_GL_SetAttribute(SDL_GL_DEPTH_SIZE, 24);
    SDL_GL_SetAttribute(SDL_GL_STENCIL_SIZE, 8);
    SDL_GL_SetAttribute(SDL_GL_CONTEXT_MAJOR_VERSION, 2);
    SDL_GL_SetAttribute(SDL_GL_CONTEXT_MINOR_VERSION, 2);
    SDL_DisplayMode current;
    SDL_GetCurrentDisplayMode(0, &current);
    SDL_Window* window = SDL_CreateWindow("SDL2 static linking with VC++",
        SDL_WINDOWPOS_CENTERED, SDL_WINDOWPOS_CENTERED,
        640, 480,
        SDL_WINDOW_OPENGL);
    SDL_GLContext glContext = SDL_GL_CreateContext(window);

    SDL_Event ev;
    bool running = true;
    while (running) {
        while (SDL_PollEvent(&ev)) {
            if (ev.type == SDL_QUIT)
                running = false;
        }

        glViewport(0, 0, 640, 480);
        glClearColor(0.0, 0.0, 0.0, 1.0);
        glClear(GL_COLOR_BUFFER_BIT);
        SDL_GL_SwapWindow(window);
    }

    SDL_GL_DeleteContext(glContext);
    SDL_DestroyWindow(window);
    SDL_Quit();
    return 0;
}

ビルドして実行すると、真っ黒な中身のウィンドウが立ち上がります。
また、Debugで実行した場合、ブレークポイントを設定して止めることもできます。

SDL2のアプリケーションをDLLなしで動かせるようになりました。

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