参考書
『信頼性問題集』(日科技連)
1章 信頼性の基礎
ディペンダビリティ
以下の1〜3を包括した概念。
- 信頼性性能(壊れない)
- 保全性性能(壊れてもすぐ直せる)
- 保全支援能力(直すためのパーツがすぐ手に入る)を包括した概念
信頼性特性値
信頼性を数値で表現したもの
確率
信頼度$R(t)$
時刻$t$までに故障してない確率
不信頼度$F(t)$
$1-R(t)$のこと。故障の累積分布関数に対応している。
保全度$M(t)$
時刻0で発生した故障の修理が時刻tまでに完了する確率
故障率$λ(t)$
時刻$t$において故障する確率。累積したものは累積ハザード関数Hという
実験で求める平均故障率は(期間中の故障数)/(期間中の総動作時間)
修復率$μ(t)$
時刻0で発生した故障の修理が時刻tにおいて完了する確率
保全係数$\rho$
$\lambda/\mu$
時間
MTBF(mean time between failure:平均故障間隔)
耐久性と対応
MTTR(mean time to repair:平均修復時間)
保全性と対応
MUT(mean up time:動作可能時間)
対象アイテムが正常に動作し、要求機能を果たすことができる状態にある時間
MDT(mean down time:動作不能時間)
対象アイテムが故障、保全(修理、点検など)、交換品の待ち、管理などのために要求機能を果たすことのできない時間
アベイラビリティ(稼働率、Availability)
修理可能なシステムが所要の時点で機能を発揮しうる確率
瞬間アベイラビリティ
ある時刻におけるアベイラビリティ
平均アベイラビリティ
ある時刻幅におけるアベイラビリティ
固有アベイラビリティ
$\frac{MTBF}{MTBF+MTTR}$
運用に影響しない、システムに"固有"な値
運用アベイラビリティ
$\frac{MUT}{MUT+MDT}$
2章 信頼性管理
パス
3章 故障の確率モデル
ちょっとした計算
信頼度$R(t)$の定義は
$$R(t)=\frac{N_s(t)}{N},\quad (N_s(t):時刻tで故障してない数, N:総数)$$
故障率は
$$
\begin{align}
\lambda(t)&=-\frac{dN_s(t)}{dt}\times\frac{1}{N_s(t)}\
&=-\frac{dR(t)}{dt}\times\frac{1}{R(t)}
\end{align}
$$
よって、
$$
\int\lambda(t)dt=-\log R(t)\
\therefore R(t)=e^{-\int\lambda(t)dt}(=e^{-H(t)})
$$
故障率が$\lambda$で一定であれば、
$$R(t)=e^{-\lambda t}$$
となる。
偶発事象の故障数はポアソン分布
$$f(x)=\frac{\lambda^x e^{-\lambda}}{x!},\quad\lambdaは期待値かつ分散$$
偶発事象のMTTFは指数分布
$$f(x)=\lambda e^{-\lambda x},\quad $$
指数分布の期待値は$1/\lambda$なので、故障率が一定の時は
$$\mathrm{MTTF}=\frac{1}{\lambda}$$
MTTFは一般的には、
$$
\begin{align}
\mathrm{MTTF}&=\int_0^\infty tf(t)dt\
&=\int_0^\infty t\left(-\frac{dR(t)}{dt}\right)dt\
&=[-tR(t)]_0^\infty +\int_0^\infty R(t)dt\
&=\int_0^\infty R(t)dt,\quad\left(\lim_{t\rightarrow\infty}tR(t)=0と仮定\right)
\end{align}
$$
故障の分類
- 初期故障...故障率が徐々に減少する
- 偶発故障...故障率がほぼ一定
- 摩耗故障...故障率が徐々に増加する
故障率$\lambda-t$グラフの典型がバスタブ曲線。
ワイブル分布
最弱リンクモデルをもとにした確率分布。以下のように表される:
$$
\begin{align}
R(t)
&=\exp\left\{-\left(\frac{t-\gamma}{\eta}\right)^m\right\}\
f(t)
&=\frac{dF(t)}{dt}=\frac{d}{dt}(1-R(t))\
&=\frac{m}{\eta}\left(\frac{t-\gamma}{\eta}\right)^{m-1}\exp\left\{-\left(\frac{t-\gamma}{\eta}\right)^m\right\}
\end{align}
$$
- $m$は形状パラメータ
- $m<1$なら初期故障型
- $m=1$なら偶発故障型
- $m>1$なら摩耗故障型
- $\eta$は尺度パラメータ
- $\gamma=0$のとき、$R(\eta)=e^{-1}$となる。$\eta$を特性寿命とも呼ぶ。
- $\gamma$は位置パラメータ
- $\gamma>0$であれば時刻$\gamma$までは故障は起こらない
4章 信頼性設計
ディレーティング(負荷軽減)
加わるストレスに対し充分に余裕を持った製品を使用する、または加えるストレスを低減して使用すること。
###S-N曲線
材料の試験片に応力$S$を与え、破壊に足るまでの繰り返し回数を$N$とする。このとき、$S$と$N$の両対数グラフをS-N曲線という。
#####マイナー則
応力$S_1$で$N_1$回の寿命の場合、$n_1$回試験すると$n_1/N_1$だけ劣化する。ただし、疲労限度以下の応力はカウントされない。
###ストレス・強度モデル
材料の強度<ストレスとなった時に故障が起きる。
- 信頼性指標
- 断面力$S$、耐力$R$としたとき、$Z=R-S$を安全余裕、$b=\mu_z/\sigma_z$を安全性指標という。
- 変動係数
- $\sigma/\mu$で表される。信頼性指標と逆数の関係にある
正規分布について(よく出てくるので)
$\mathcal{N}(\mu,\sigma^2)$は定数倍や和に対して再生性を持つ。
$$
\mathcal{N}(\mu_1,\sigma_1^2)+\mathcal{N}(\mu_2,\sigma_2^2)=\mathcal{N}(\mu_1+\mu_2,\sigma_1^2+\sigma_2^2)\
a\mathcal{N}(\mu,\sigma^2)=\mathcal{N}(a\mu,a^2\sigma^2)
$$
###FTA(fault tree analysis:故障の木解析)
木の根はTE(top event:上位事象)
各サブシステムと論理記号を組み合わせて木を構成する
###信頼性ブロック図
FTAと同様にシステムの信頼性を俯瞰できる
5章 システムの信頼性と保全性
直列システム
偶発故障に従うユニットの直列システムは、
$$
\begin{align}
R_s(t)&=R_1(t)R_2(t)\cdots R_1(t)\
&=\exp{\{-(\lambda_1+\cdots+\lambda_n)t\}}
\end{align}
$$
となる。故障率は$\lambda_1+\cdots+\lambda_n$.
###並列システム
偶発故障だとして、
$$
\begin{align}
R_s(t)&=1-F^n(s)\
dF(s)&=\lambda\exp\{-\lambda t\}dt=\lambda(1-F(s))dt\
\mathrm{MTTF}_s&=\int_0^\infty R_s(t)dt\
&= \int_0^\infty \frac{1-F^n(s)}{\lambda(1-F(s))}dF(t)\
&= \int_0^\infty \frac{1}{\lambda}(1+F_s(t)+...+F_s^{n-1}(t)) dF(t)\
&= \mathrm{MTTF}\left(1+\frac{1}{2}+\cdots+\frac{1}{n} \right)
\end{align}
$$
###冗長システム
####k/n多数決冗長システム
$n$ユニット中$k$ユニットが動作すればシステムが機能する
####待機冗長システム
ユニットが故障したら待機していたユニットが代わりに稼働する
####多様性冗長システム
各ユニットの故障の主要因を多様にする
6章 信頼性試験と故障物理
###信頼性試験
- 信頼性決定試験
- 信頼性特性値を決定するための試験
- 信頼性適合試験
- アイテムの信頼性特性値が規定の信頼性要求に合致しているかどうかを判定する試験
- 加速寿命試験
- 時間と数の壁を克服するために加速試験を行う
####OC曲線
合格確率と故障率をグラフとしてプロット
7章 信頼性データ解析法
- 定数/定時打ち切り方式