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株式会社Works Human IntelligenceAdvent Calendar 2021

Day 21

アジャイル初心者だけど、どうしてもインセプションデッキの素晴らしさを伝えたい話

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#はじめに

この記事は、株式会社Works Human Intelligence Advent Calendar 2021の12/21の担当記事です。

#みんな書こうぜ、インセプションデッキ

皆さんは、インセプションデッキを知っていますか?
めちゃめちゃ簡単に、また語弊の無いようになるべくシンプルに言うと、「アジャイル開発においてよく使われる、プロジェクトの全体像を明らかにするために作成するドキュメント(のフォーマット)」だと思っています。1

2021年12月現在、WHIの開発は「全社的に『アジャイル開発』もしくは『スクラム開発』で行われている」という状態ではありません。2 しかし、この1年で、私自身がいくつかのプロジェクトで、インセプションデッキを作成する機会があり、その重要性、有用性が大変な鳥肌モノだったんです。

そして、これは、「アジャイル開発」を取り入れていなくても、もっと言うと開発じゃなくても、あらゆるプロジェクトで使える重要な要素が詰め込まれていると、強く感じました。

なので、最近の自分の中での「工数管理にまつわる困りごと」を解決するプロジェクトのインセプションデッキを書く過程を使って、何故インセプションデッキが素晴らしいのか、超アジャイル初心者なりの自分の解釈を綴ってみたいと思います。

#インセプションデッキの10の質問
インセプションデッキは、基本的に、以下の10の質問への答えをプロジェクトメンバー全員で作っていって完成させるものです。

  1. 我々はなぜここにいるのか
  2. エレベーターピッチ
  3. パッケージデザイン
  4. やらないことリスト
  5. 「ご近所さん」を探せ
  6. 技術的な解決策を描く
  7. 夜も眠れない問題は何
  8. 期間を見極める
  9. トレードオフスライダー
  10. 何がどれだけ必要か

ただ、これは私の完全な独断と偏見ですが、下記の4つが重要だと思っています3

  1. 我々はなぜここにいるのか
  2. エレベーターピッチ
  3. やらないことリスト
  4. トレードオフスライダー

なので、今回はここに絞って書いてみたいと思います。

#我々はなぜここにいるのか

まず最初の質問がこの**「我々はなぜここにいるのか」**です。ここでは、わたし(達)がこのプロジェクトを行う「大事な理由」を複数でいいので書きます。

今回の「工数管理にまつわる困りごと」を解決するプロジェクトにおける質問の答えをまず考えてみました。

- とにかく毎日工数を入れるのがめんどくさいから
- でも見積もり精度を上げたいし
- どういうことがどれくらいできるのか可視化したい

でも、これだと、「なんで見積もりの精度上げたいんだっけ?」「可視化したいのなんでなんだっけ?」とか
「見積もり=神々への報告のため」みたいなイメージがあってときめかない、とかとか、
立ち返ったときにそういう議論が起きてしまうことが容易に想像できます。
なので、自分で「何故そう思うんだろう?」と自問しながら深堀していくと。

- 経験と勘、という名の、当てずっぽうの見積もりで自分で自分の首を絞めるのが嫌だから 
- 自分がどれくらい成長したかを定量的に図りたい
- でもだからって、ぽちぽち毎日細かく何かに工数を入れるのがめんどくさいから 

うん。いい感じ!つまり、ここで大事なことは下記2つだと思っています。

  • 方法論には絶対に言及しない

  • でも欲望を解像度は上げる。何かに詰まったときに立ち戻るための場所なので、自分(達)が「そうだそうだ、そうだった」と、どんなときも思える、なるべくシンプルで、まっすぐな欲望を書く

#エレベーターピッチ

エレベーターピッチとは、エレベーターに乗っているくらいの短い時間で自分自身や自社のビジネスなどについてプレゼンする手法のこと(参考:Google先生の検索で一番上に出てきたカオナビさんの説明サイト) です。

まず、エレベーターピッチのフォーマットはこちら。

[潜在的なニーズを満たしたり、潜在的な課題を解決]したい
[対象顧客]向けの、
[プロダクト名]というプロダクトは、
[プロダクトのカテゴリー]です。
これは[重要な利点、対価に見合う説得力のある理由]ができ、
[代替手段の最右翼]とは違って、
[差別化の決定的な特徴]が備わっている。

わたしはこのエレベーターピッチは、プロジェクトの外の人に、あなたたち何してるんですか?これは何のためにやってるんですか?を聞かれたときに、端的に明確にそれに答え、味方になってもらうためのもの
つまり一つ目の質問の答えは「自分たち向け」のものですが、これは「外向け」のものであるところがポイントだと思います。

そして、疑似的に強く第三者の目を取り入れることによって、早い段階でシビアに、「本当に必要なのか」「代替手段はないのか」を見直せるのが素晴らしいと思っています。
また、これ、[対象顧客]の部分を数パターン用意するのもいいと思っています。

例えば、

[工数を入れるのをとにかく楽に]したい
[エンジニア]向けの、
[XXX]というプロダクトは、
[タイムレコーダー]です。
これは[自分がどれくらい成長したかを定量的に示すこと]ができ、
[ただ報告や計画のために使われる今までの工数入力]とは違って、
[自分のためにもなる機能]が備わっている。
[なるべく正確な見積もりを知り]たい
[マネージャー]向けの、
[XXX]というプロダクトは、
[タイムレコーダー]です。
これは[何にどれだけかかったのか、を正確に知ること]ができ、
[とにかく一つ一つの作業にかかった時間を一人一人のメンバーにきっちり入れさせる方法]とは違って、
[工数を入れるための工数をかけないための機能]が備わっている。

物事は常に多面的であり、そんなにシンプルにはできません。でも、その中でも一つ一つの側面はなるべくシンプルに、誰もができる限り似た認識を持てるようにするのが大事だと思います。

#やらないことリスト

やることリストではなく、やらないことリスト、ですね。例えばこんな感じ。

・と例をここに書きたかったのですが、間に合いませんでした。。。。あとでエディットします。

ただし、どうしても夢は広がりますし、開発者としては夢を広げることができる力はすごく大事だと思っている4ので、
わたしは、やらないことリストだけではなく、ここで出てきたアイディアは、MVP(Minimum Viable Product)には入らない、あとで決めることリストを作って、ためておくことをおすすめしたいです。

#トレードオフスライダー

これは一般的には、以下の4項目と、追加で今回のプロジェクトにおける大切なポイントを4つあげ、合計8項目に関して優先順位を確定します。

  1. スコープ
  2. 納期(時間)≒スピード
  3. 予算
  4. 品質

しかし、まず、予算≒人を増やせばすればよいものができるのか、については、基本的には「NO」だと思っていて、ここについて「YES」になるものは、

  • ある種のルーチンワークに落とし込める作業
  • 自分(たち)の守備範囲ではないため、別のプロに頼むべき領域

のどちらかにあたるものであり、
何らかの形で外出しして、一つ前の「やらないことリスト」に入れるのがいいと思っています。

そして、残る3つのうちの、品質とスピードは、トレードオフではないと思っています。
(詳しくは、是非t_wadaさんの質とスピードをご覧ください)

そのため、トレードオフスライダーは、「スコープ」を決める際の軸を定めるために使うのがいいと思っています。
例えば

- UI/UX
- 速度
- (顧客の)管理/設定コスト
- 機密性・可用性・完全性
- 運用コスト

これらのどれを大切にするのか、の順番を決めておくことで、スコープの調整が必要になったときの判断のブレを最小限にすることができ、とても良いと思っています。

#さいごに

そして、最後の大事なポイントは、
このインセプションデッキですら、絶対不変の資料ではなく、適宜見直ししていくものである、ということです。
目まぐるしく変わり、進化するこの社会でアウトプットを出す。そしてそれで何かを解決する、しかも多種多様な人と一緒にという所業を行おうとしているわたしたちは、立ち返る場所であるこのインセプションデッキすら変わることを恐れてはいけないというのは、今のわたしたちの向き合っていることの難易度を的確に示し、意識させてくれる、とても素晴らしいものだと思っています。

何やらポエム通り越して、思想強い感じにすらなってきてしまいましたが、、、(笑)

これはあくまで、「インセプションデッキ」のアジャイル超初心者の私の解釈です。
「インセプションデッキ とは」で検索すると、たくさんの記事が出てきて、それぞれの解釈や書き方があって、とても面白いので、是非いろんなものを読んでみて、アジャイルの入り口であるインセプションデッキに、人類の叡智を感じ、日々の問題解決に取り入れてみようかな、と思っていただけたら幸いです。

  1. 詳しくはもちろん書籍「アジャイルサムライ」をご参照ください。あと、雛形もGitHubにあがってます。

  2. まったくのウォーターフォール開発である、というわけでもなく、スクラム開発を取り入れているチームもあります。

  3. こちらの記事で、mofmof社の方が、同じ厳選をしていて勝手に嬉しかったので、リンクをしておきます

  4. 元弊社出身の大先輩が「アジャイル開発が浸透し、ムダなものを作らない、できるだけ小さくスタートする、といったことが強調されるあまり、広げることが軽視されることがありますが、個人的にこのStep.2:できる限り解像度高い完成形を描く が非常に重要だと思っています。」と仰っており、わたしもすごく大事だと思っています。最近読んで感銘を受けたので、僭越ながら引用させていただきました。

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