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ビジネスエンジニアリング株式会社Advent Calendar 2024

Day 1

元エンジニアがマネージャーになって得た学びと悩みをまとめてみる

Last updated at Posted at 2024-11-30

はじめに

私は入社以来、基幹業務システムのパッケージソフトウェア開発に携わっています。
長年エンジニアとして、設計・開発・保守・ヘルプデスクなどの業務を担当してきました。

現在は、4つのチームを束ねるプロジェクトマネージャーとして製品開発に従事しつつ、その製品のプロダクトマネジメントも行っています。マネージャーとなって数年たちますが、(少しずつですが)エンジニア時代とは異なる視点・視野・視座で物事を捉えられるようになってきたかな、と感じています。

元エンジニアがマネージャーを経験してみて得られた学びや悩みの中には、現役エンジニアの方にも有益な情報があるかと思い、今回記事としてまとめてみることにしました。

学び

早く片付けるべきタスクを溜めない

エンジニア時代と比較すると細かいタスク(課題の方針を決めて対応を依頼したり、相談のったり、質問に答えたり…)をこなすことが増えました。マネージャーになると、自分のところで滞留してしまうと全体に影響が出るようなタスクも多くなります。

「判断材料がすぐに整理できるならその場で決める」「ぱっと回答の方針が思いつくものは、その場で回答する」など、すぐにできることは後回しにせず片付けることを心がけています。自分のタスク管理の手間も軽減できますし、待っている人がそわそわしなくて済んだり、リマインドをする手間も省けるメリットがあります。発生した際に「すぐに片付けられそう」と直感的に思ったタスクは、その日のうちにこなしてしまうのが一番です。

また、考えすぎて重要なタスクをずるずると伸ばさないように、「すべてを救うことはできないと割り切って、影響度の大きい重要なタスクに集中する」ように気を付けています。


依頼する際には背景もセットで伝える

マネージャーになると仕事を依頼するシーンが増えてきます。仕事を依頼する際には、その仕事が必要とされている背景もセットで伝えることがとても重要です。背景を伝えることで、自分とは異なる視点で提案をしてもらえる場合もありますし、依頼された側も納得感を持って仕事に取り組めます。

身近な例で言うと、質問をするという行為も「誰かに回答を依頼している」と言えます。自分が聞きたいことだけでなく、「なぜ自分はこの質問をしているのか?」「今、こういった状況に置かれているから緊急で(あるいは時間があるときに)回答が欲しい」ということを5分程度の手間をかけて伝えるだけで、生産性高く、気持ちよく仕事ができると思います。相手に行間を読ませるような質問をしてしまうと、相手だけでなく自分も損をしてしまう場合があります。例えば、しばらく待って回答として提案が返ってきたとしても、既に自分が検討済みであきらめた案だったりすると、お互いにもったいないですよね。


情報は極力共有する

とある人に指摘を受けてから、相手と直接的な関係がないと思われる情報でも、できる限り共有するようにしています。具体的には、「今、あそこのチームの人と新しいことに取り組もうとしている」「次のリリースに向けて、こういった調整している」「製品に対するフィードバックをもらったので、ロードマップにどのように組み込むべきか検討している」「とある人からこんな良い評価をしてもらった」といったような情報です。

なぜ共有が大事かというと、私が相手にとって伝えたほうが良いと思う情報と、相手が実際に知りたいと思う情報は異なる場合があるからです。私が思いもよらないところでモチベーションをあげてくれたり、「こんなことをしたほうがよいのでは?」といった提案をもらえたりすることがあります。
あとは、根が小心者なので周りの人から「あの人は何をやっている人なんだろう」と思われたくないという理由もあったりします(マネージャーになると直接成果物を作る機会が減ってくるので)。


質問されるのはありがたいこと

エンジニア時代にも、製品のヘルプデスクなどで多くの質問に答えてきました。人間なので質問の内容が分かりづらいと、もやっとすることもあります。ただ、マネージャーになってからは少し視座が高くなり、「質問をしてくるということは、成果を出そう、ビジネスに貢献しようと思ってくれているからなので、ありがたいことだ」と思えるようになりました。こういった発想になると、もやっとする質問に対する耐性も強くなってきます。
もちろん、すべての質問をそのまま受け入れないといけないわけではありません。「ここまでは自分で調べてほしい」と伝えることや、「その心は?」と問いかけることは、質問してきた人の成長にもつながるので積極的に行うべきだと思います。


厳しい指摘を否定と捉えない

長年、製品開発に携わってきましたが、製品の機能不足などについて厳しい指摘をいただくことがあります。また、エンジニア時代にも自分の成果物をレビューしてくれる人から、色々と指摘をされることもありました。

製品への愛着や成果物に対する思い入れが強い人は、自分が否定されているような気持になるかもしれません(昔の自分はそうでした)。こういった指摘を受けたときに対決姿勢をとってしまうと、お互いにとって不幸ですし成果物の品質にも良い影響はありません。「あの人に指摘しても、反論されるだけで受け入れてくれないから、あまり指摘しないでおこう」と思われてしまうと、問題が大きくなるまで気づけなくなってしまうかもしれません。

マネージャーになって視野が広がってくると、「当初決めた成果物を納期通りに作り上げること」ではなく「後工程の人に評価されること」「製品を販売・導入してくれる人やユーザに活用してもらうこと」「ビジネスの成果をあげること」などがゴールであると意識できるようになってきました。そうすると、ステークホルダーからの厳しい指摘に対しても「今気づけて良かった」と思えるようになります。こういった考え方になることで、少しずつですが冷静に、重要度や緊急度を加味したアクションを検討できるようになりました。


相手を知り、自分を知ってもらう

マネージャーになってからはステークホルダーの数が増え、さまざまな役割の人とコミュニケーションする機会も増えました。時には、相手に対して「そんな言い方しなくてもいいじゃん…」と思ってしまうこともあります。逆に、自分の言い方について後から反省することもあります。

こういったときには、相手の立場や責任に目を向けてみると「まぁそういう状況ならしょうがないよね」と思えることもあります。他人の考え方を変えることは難しいですが、自分の考え方を変えることは可能です。

また、「相手の発言によるモヤモヤ」「自分の発言への反省によるモヤモヤ」が中々解消しないときは、直接会話をしてみるのが一番です。一人で考え込むと、勝手に想像してしまいネガティブな方向に考えが偏ってしまうことがあります。モヤモヤを抱えた状態で直接会話してみるのは勇気がいるかもしれませんが、私の経験では、直接話したことが状況を悪化させるようなことはほとんどありませんでした。直接話すことで、お互いの考えに対する理解がより深まるからだと思います(私の周りにいる人が良い人ばかりだから、という理由もあるかもしれません)。


失敗をいつまでも引きずらない

マネージャーになると、重要な決断をすることが増えてきます。当然その中には後になって失敗だったと思うようなこともあります。失敗から学びを得て次に活かすことはとても重要なのですが、いつまでも失敗を引きずってしまうと精神衛生上よくないです。

こういうときには、「その決断をしたときに、失敗の原因に気づけなかったのはしょうがないことなのか?ちょっとした行動や情報収集をしておけば回避できた可能性はなかったのか?」ということを考えます。当時の自分では気づきようがなかったのであれば、「しょうがない。この学びを次に活かそう」と思えます。残念ながら回避できる可能性はあった場合であっても、(反省した上で)終わったことは変えられないため、これからのアクションに注力します。

ここ数年の中で大きな失敗だったと思う決断は今でもすぐに思い出せます。なので、完全に引きずらないというのは難しいのですが、極力、今後にフォーカスするように意識しています。

悩み

ここから先は「悩み」のパートです。

自己開示しているつもりが、過去の自慢話になりがち

この記事自体がそうなのかもしれないです。

自分の弱みを開示する場合は、自慢話にはなることはありません。
ただ、周りの人に「仕事をする上で自分が大事に思っていること」や「それは何故なのか?」といったことを話そうとすると、どうしても過去の自分の体験をベースに話しがちです。自分がやってよかったと思った体験、成長できたと思った体験を話していると、途中から「あぁ、これは自慢話に聞こえてしまうなぁ...」と気づくことがあります。

この記事を読んでくれている人の中に、おじさんの自慢話にうんざりしている人がいたら、「この人はもしかしたら自己開示が下手なだけなのかも...」と思っていただくと、許せることが増えるかもしれないです。


短期的な生産性と成長のバランス

会社の研修をうけたときに、「仕事の完遂」と「人の成長」のバランスをとることがマネジメントの重要な要素だと教えてもらいました。ただ、いざ実行に移そうとするとこれは非常に難しいです。

例えば、トラブル対応は人を大きく成長させます。ですが、トラブルが起きている最中にさらに失敗してしまうと収拾がつかなくなるため、実績のある人がいればその人に任せたいという誘惑にかられます。また、製品やサービスの立ち上げ期などで仕事のプロセスが未成熟な状態だと、どうしても経験豊富な人材に頼りがちです。

ですが「育成を計画して実行に移す」ことと「短期的な生産性」とのバランスは、ビジネスをスケールさせるためにも必要なことなので、私の重点課題として今後取り組んでいこうと思っています。


どこを任せて、どこを手助けすべきか

一つ上の「短期的な生産性と成長のバランス」と似ているようで少し違います。

会社のとある研修で「リーダーシップとは周囲への影響力」という解釈もあると習いました。また、リーダーシップはマネージャーに欠かせないものとのことでした。
ググってみましたが、影響力とは「働きかけによって人の心を動かし、行動を喚起したり、考えを変容させたりする力」のことらしいです。

私個人としては、仕事を丸投げするようなスタイルだとリーダーシップ(影響力)を発揮しているとは言えないと思っています(もちろん、違う考え方もあるとは思います)。一方であまり意思を入れすぎると、メンバーの成長を阻害したりやる気を奪ったりすることにつながります。では、メンバーに意向を聞いてみれば良いかというと、慎重な性格の人は自分からチャレンジしたいとは言い出せないかもしれません。

この辺りのバランスがとても難しく思います。私は周囲から「意思を入れすぎ」「仕事を拾いすぎ」と言われることが多いです。今後、よりよいスタイルを見つけていきたいと思っています。

番外編

「我慢できないほど辛くなったら猫を飼おう」と心に決める

辛くなったら猫が飼えるんだと思うと、辛いことと嬉しいことが同時に来るので辛いことが辛くなくなるという凄いロジックです。ポルナレフみたいなことを言ってますが、ぜひ真似してみて欲しいです。マネージャーになると責任も重くなりがちですが、効果抜群です。

幸いまだ猫は飼ってませんが、どうしても我慢できなくなった時には家族に猫を飼うことを許してもらおうと思っています。

最後に

うまく一般化することができず、とりとめのない文章になってしまい失礼いたしました。

私のことを知っている方は「できてないことも書いてるじゃん」と思う人もいるかもしれません。そう思った人向けに「できてないかもしれないけど、心がけてはいるんですよ...」と言い訳して終わろうと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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