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KOTRA Expressはウム・ビョンチャンAI東北アジア総括・韓国支社長とのインタビューを通じて、韓国内の企業活動とともにAI産業に関する談論を紹介する。

ソウル大学材料工学部卒業後、LG-EDS、IBMやアクセンチュア(Accenture)などIT、技術、デジタルコンサルティング分野において約7年間キャリアを積んできたウム・ビョンチャン支社長は、ブーズ・アレン・ハミルトン(Booz Allen Hamilton)、モニターグループ(Monitor Group)などで9年間韓国を含めたアジア内のグローバル企業を対象にグローバル戦略コンサルティングサービスを提供した。該当業界で活動しながら製造、精油化学及びエネルギー分野の新事業開発、投資、M&A関連戦略及び運営専門家として経験を積む。

サムスンSDSのITコンサルティング事業部「オープンタイド(Open Tide Korea)」の常務理事を務めていた間、ウム支社長は「スタートアップ」という新しいタイプの企業の出現を目撃することになる。従来の産業とは全く異なる方式で企業を運営し急成長していたこの新種企業に魅了され、技術諮問を辞めてITスタートアップ世界に挑戦することになる。特に、これまでのキャリアと知識を発揮し、新たな産業生態のトレンドを把握するため、(株)カカオの企業開発総括職を受け入れた。

その後、カカオAI事業開発総括チームで人工知能の可能性を実感したウム支社長は2018年2月にカナダの代表AIスタートアップであるエレメントAIに合流し、北東アジア統括及び韓国支社の総責任者に就任する。「私のキャリアを振り返ってみると、新しい技術とビジネスを発掘する戦略家であり、事業開発の専門家としての道を歩んでいました。そしてこれからは私が歩んできたこれまでの足跡をもとに、新技術の無限の可能性に挑戦したいと思います」と説明した。

人工知能事業に関心を持つようになったきっかけは何ですか。

産業界全般にわたって、そして社会全般に多大な影響を及ぼす人工知能の可能性について興味を持つようになった3つのターニングポイントがあります。一つ目は、2012年に開かれたイメージネット(ImageNet)視覚知能大会です。1950年代に人工知能という概念が初めて誕生した以降に約70年間何回の技術的成功と失敗が繰り返されました。そして2012年、人間の脳の構造を模倣した人工神経網モデルの「螺旋形神経網(Convolutional Neural Network、CNN)」のアレックス・ネット(AlexNet)が視覚情報認知技術の正確度を画期的に引き上げることになります。これまでは75%未満だったイメージ認識率が85%まで精巧に引き上げることになったのです。この事件で私たちの日常生活に取り入れられた人工知能ディープラーニング技術に魅了されました。

特に、私は人間の領域として見なされていた視覚情報処理をこれから機械がより著しく処理できる可能性に注目しました。つまり、私たちの産業や生活に根付いていた以前の技術とは明らかに異なるディープラーニング技術だけの圧倒的な波及力を考えざるを得ませんでした。

二つ目のきっかけは、有名なグーグルのディープマインドチャレンジマッチ(Google Deep Mind Challenge Match)です。世界トップクラス囲碁棋士であるイ・セドル九段とグーグルのディープマインド(DeepMind)が開発した人工知能囲碁ロボットであるアルファ碁(AlphaGo)が2016年ソウルで5回の対局を行ったんです。結局、4勝1敗を記録し、アルファ碁は人間を制覇しました。この世紀の対局はまさにこの1997年に開発されたIBMのスーパーコンピューター「ディープブルー(Deep Blue)」と世界チェスマスター「ガルリ・カスパロフ(Garry Kasparov)」の対決のような対局でした。

しかし、私が驚いたのは単にゲームの勝敗だけではありませんでした。「今回の経験を通じて個人的に成長した。私が学んだ教訓を生かしてさらに発展したい。アルファ碁との対決を通じて貴重な経験をしたと思う」と明らかにしたイ・セドルさんの発言は新鮮な衝撃でした。いよいよ機械が人間を通じて学習するだけでなく、人間が機械から学ぶ、それまでの技術とは次元の違う人工知能技術と向き合った瞬間だと考えたからです。

最後のきっかけは2017年カカオグループAIチームに合流し、人工知能技術にもっと深く接近するようになったことだど申し上げたいです。カカオチームのAI戦略と事業開発計画を構想しながら、音声認識、自然言語処理(Natural Language Processing、NLP)、視覚情報処理及び時系列データ(Time Series Data)など、より専門的な技術を体験しながら人工知能のビジネスインパクトがとてつもないことを悟りました。単なるAI製品やサービスではなく、AI産業あるいは生態レベルでのその規模は想像を絶するものです。今まで活用してきた伝統的な技術が業務をより速く容易にサポートする補助的役割を果たしてきた半面、人工知能技術は全く違う脈絡で業務を支援することになる見込みです。それは「予測」ですね。

エレメントAIの沿革やビジネスについて具体的に教えてください。

エレメントAIは、カナダ・ケベック州モントリオールに本社を置く人工知能開発会社です。世界有数の人材や研究施設が密集するモントリオールは、AI技術のハブと言えます。エレメントAIは、ジャン・フランソア・カニェ(Jean-Francois Gagne)、二コラ・シャパド(Nicolas Chapados)、ジェフリー・ヒントン(Geoffrey Hinton)、ヤン・ルカン(Yann LeCunn)と共に2018年チューリング賞(Turing Award)の受賞者のヨシュア・ベンジオ(Yoshua Bengio)が共同で設立した企業です。

私たちのビジョンは人工知能関連問題を解決する製品やサービスを提供することで、全世界の企業が直面している懸案を解決できるよう支援することです。そのため、先端技術の専門家、科学者、産業専門家や各分野のリーダーが集まり、「AI-First」戦略を図り、各関係者がAI戦略を開発できるように可能性を打診します。

2016年10月創立以来、急成長したエレメントAIは世界に5つの支社を置いているほど拡大しました。カナダ・モントリオールに本社を置き、トロント、イギリス・ロンドン、シンガポールとソウルに支社を設立しました。5人の設立者を皮切りに、創立3周年で全世界500人以上の従業員と共にしています。特に、当社は100人以上のトップクラス研究員とマシンラーニングやディープラーニング分野のエンジニアを保有しています。設立以来、2017年の投資資金の約1億ドル(CAD)を含め、今まで3億4千万ドル(CAD)の収益を上げています。

エレメントAIが韓国に支社を設立した理由は何ですか。

ダイナミックな文化や革新精神、グローバル製造業のハブとして構築された産業背景などが魅力的な要素ではないかと思います。 実際に韓国支社の設立を決定するまで多くの要因がありました。まず、韓国大手企業のハンファグループは2017年エレメントAIに投資資金を提供し、系列会社の関係者らとのミーティングを行いしました。当社はハンファグループを通じ、韓国の主要企業の核心経営陣とコンタクトし、韓国市場のポテンシャルについて知るようになりました。エレメントAIは、2017年11月にハンファ資産運用、SKテレコム、現代自動車が人工知能やスマートモビリティスタートアップへの投資をリードするために設立した「AIアライアンスファンド(AI Alliance Fund)」に参加し、技術コンサルタントの役割を果たすことになりました。

2つ目の理由は、韓国は世界最強のICTインフラを基にダイナミックな革新生態が造成された国です。2014-2019ブルームバーググローバル・イノベーション・ インデックス(Global Innovation Index、「GII」)で韓国は1位を記録しており、2020年にはドイツに続いて2位を記録しました。ほとんどの項目で相当なレベルに達したということは、一国が人工知能技術を受け入れる十分な準備ができたということを意味するため、エレメントAIは韓国を選ぶことになりました。

最後に、より主観的な理由かもしれませんが、韓国固有の文化的性質についてお話したいと思います。個人的に韓国人は外国企業と協業する場合、非常に協力的で開放的だと思います。そのため、韓国企業は過去数十年間、多くのグローバル企業の信頼できるパートナーとして協力してきました。信頼、開放的な文化はエレメントAIが韓国を選んだ背景だと思います。

韓国で企業活動を展開するメリットはあるとしたら何でしょうか。

前述の通り、韓国は革新の主体として、新技術を活用した専門製造業分野でも着実に頭角を現しています。また、多くの企業はハイレベルの革新や技術をりーどし、市場で競争優位を占めることができるようにディープラーニングを含む人工知能技術を受け入れなければならないという事実を実感しています。

しかし、このような考えを実現できる資源、例えば熟練したマシンラーニング/ディープラーニングエンジニア技術者、そしてエンジニアは非常に不足しているのが現状であり、だからといって今すぐ韓国企業が自主的に該当分野の能力を育て、需要を満たすことはほぼ不可能に近いです。そのため、エレメントAIのようなグローバル企業が韓国企業とともに事業の機会を提供し、協業することこそウィンウィン戦略だと思います。

また、企業領域での人工知能の開発とは、単にAI科学者やエンジニアを確保しただけで完成するものではありません。ある面では人工知能の可能性を実現するハイレベルの技術的能力がより重要だと思います。韓国はこのような高級エンジニアリング技術力と熟練した人的資源を保有する数少ない国の一つだと思います。

韓国でビジネス機会を模索しているカナダ企業にアドバイスをお願いします。

私が韓国とカナダの外交専門家ではないので慎重ですが、それでも強調したいことは文化です。単に異なる両国の普遍的文化を理解することにとどまらず、ビジネス活動における文化的違いを尊重し理解することが相互信頼関係を構築するために重要だと思います。信頼がなければ長期的にビジネスパートナーシップを構築することは難しいでしょう。

もちろん、個人的な考えを一般化するのではありません。しかし、コミュニケーションや問題処理過程の速度など、韓国とカナダの企業環境には明らかに異なる点が存在します。したがって、外資系企業や投資家は、両国の文化的な差に起因する様々な問題をうまく乗り越えるできるよう、違いを頭で理解し胸で受け止める必要があります。

韓国がエレメントAIのような海外企業により理想的なビジネス環境を提供するために必要なものは何だと思いますか。

これは個人的な意見ですが、政府の市場規制政策やガイドラインは、ビジネス運営や企業環境全般に大きな影響を与えます。規制の枠に閉じ込められている一つが情報アクセス権です。ご存知のように、情報アクセシビリティは、他のAI企業にもデータそのものだけでなく、人工知能技術の活用のための資源として必要不可欠なものだと言えます。しかし、このような市場規制のため、エレメントAIのような海外企業は、顧客のビジネス情報から海外サービス提供クラウドプラットフォームに至るまで、情報共有の過程が容易ではありません。

世界各国が経済、産業、社会の全ての領域で人工知能技術を適切に活用するために現実を考慮すれば、より安全で拡張的な持続可能な方法で人工知能技術を導入できる韓国独自の司法的、文化的、そしてビジネスインフラ及びシステムを造成することが何よりも重要だと思います。そのため、情報アクセシビリティ及び共有システムが可能な未来志向的戦略策定や司法体系を構築することこそ、エレメントAIのようなグローバル人工知能企業の投資やビジネス誘致に重要な要素と思います。

エレメントAIのビジネスパートナーシップを強化するため、協業中の韓国企業/公共機関を紹介してください。

2018年12月に韓国支社を設立した以降、製造業や金融サービスのような民間分野を主要ターゲットに多数の関連機関と協力関係を構築してきています。また、韓国の能力を考慮し、今や民間だけでなく公共機関とのパートナーシップ強化に向けて重要だと考えています。ちょうど韓国政府も2019年末に人工知能戦略を公式に発表したしたものことを知っています。

顧客情報を公開することはできませんが、AIアライアンスファンド、キャロット損害保険(ハンファ損害保険、SKTなどが合弁設立したオンライン損害保険会社)、新韓金融グループ、LG電子などエレメントAIの戦略的事業パートナーとのビジネス関連ニュースにマスコミを通じてご存知だと思います。また、2020年からは韓国内の人工知能関連の多数の組織と連合して活動しながら、韓国企業とグローバル企業のマッチングを支援し究極的に人工知能基盤革新の土台を構築する計画です。

エレメントAIの韓国及びアジア市場のにおける今後のビジネス計画を教えてください。

現在、エレメントAIはアジア太平洋地域にシンガポール、そして韓国に支社を設立・運営しています。シンガポール支社はアジア地域本社の役割を、そしてソウル支社は韓国、日本など北東アジア地域の業務を担当しています。エレメントAIの投資家や運営チームは、アジア太平洋地域が今後の企業成長のための中心地であると信じており、事業開発、営業から技術開発に至るまで、地域の能力強化のための計画を策定しています。

今後、韓国と北東アジアは人工知能の可能性を世界に披露する重要な拠点になるでしょう。そのため、政府機関、大手企業とのパートナーシップを拡大し、官・民・学、そしてスタートアップまでの各組織が協業する産業生態が造成できるよう、持続的に支援する予定です。また、エレメントAIは世界有数の研究人材やサービス、そしてプラットフォームを提供する人工知能ソリューションのリーダーとして産業をリードしたいと思います。

By Grace Park
ExecutiveConsultant
InvestmentPublicRelationsTeam
KoreaTrade-InvestmentPromotionAgency(KOTRA)
gracepark@kotra.or.kr

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