従来、SIerと言えば、
【基幹システム、データベースなどのソフトウエア資産を前提にして、要件定義やシステム開発を行なっている会社】
とざっくりした定義があったと思うが、最近では以下のようなジャンルまでSIerを名乗っている。
- ロボットシステムインテグレータ
- 組込みインテグレータ
- 画像処理システムインテグレータ
- IoTインテグレータ
正直、私は困る。
いろんな定義が氾濫されると、ユーザ企業と受託企業で用語の誤植や認識の違いが起きて、開発業務に支障が出るからだ。
それはアウトソーシングじゃないのか
今の会社は画像処理システムインテグレータを自称しているのだが、
とんでもない詐欺である。
彼らの仕事は次の通りなのだ。
- 照明、カメラの組み立て
- 工場用の配線盤の組み立て
- 既存ソフトウエアの組み立て
いや、組み立てなのだ。組み立てだからインテグレーションしてるから、彼らにとってそれはインテグレータなのだ、とのことらしい。
それはどう考えてもおかしい。
脳死の組み立て業務をやって、クライアントが喜ばないケースを何度も見てきた。
せいぜい、開発試作のアウトソーシングビジネスをやっている、と改めるべきではなかろうか。
「受託開発」で良いじゃねえか
日本語には、受託開発と言う素晴らしい単語がある。
「受託開発」とすれば、上記の単語の曖昧さを避けて、ユーザ企業と受託企業両者において、どう言う対応をすべきかが明確になる。
- ロボット制御の受託開発
- 組込みファームウエアの受託開発
- OCRパターン認識用 画像処理アルゴリズムの受託開発
- IoTサーバシステムの受託開発
「受託開発」と言う単語は、ユーザにとってあまり意味を持たないと思うので、強調するべきポイントじゃないんだ。
それより「〜の受託開発」の「〜」をどう練り込むか、
それがあなたの会社や部門の**Value(価値)**になるのだから、
それをどんどん売り込むべきでしょう。
「受託開発」だと、あなたの会社と契約すると言うことを連想しやすい!
受託開発の契約内容には注意が必要。日本の法律では委託契約には
- 請負委託 ・・・ 成果物が出来上がったら報酬を提供する
- 準委任契約 ・・・ 成果物が出来上がってなくても、スケジュールに対しての進捗を見て報酬を提供する
の2つのルールがあるので、契約の話を持ち出すときは、この単語を使おう。
- 私たちはSIerで、「準委任契約」で仕事を請負ます。と言われるよりも、
- 私たちは〜のサービスの受託開発を行なっていて、「準委任契約」で仕事を請負ます。
と言う方が、**「後ろに契約があること」**を伝えやすいと思う。
不用意にSIerを名乗らないで
SIerと名乗ることで、
ロボット開発、組込み開発、新機能の画像処理開発、作業自動化の推進
といった本当は売りにしたいポイントがぼやけてしまうのは本当にもったいない
少なくとも私はSIerと伝えられたら、
データベースやサーバインフラなどを、暗黙の了解で、しっかり整えた成果物
を想像してしまうし、もし「それはできないんです〜」なんて伝えられた日には
ああ・・・この会社、開発力がとても低いんやろなぁ
と私は思ってしまう。
新しいことを見つけて何かするのを目指すユーザにとっては、
2つ以上の物事に注目して話をするのはとても難しいことなのだ。
かっこいい単語、曖昧な単語に騙されず、
「あなたの会社はどんなことが得意なのか」
をしっかり伝えて欲しい。
そうすれば、ユーザ企業はあなたの価値を理解して、仕事を提供しようか誠意に考えてくれるはずだ。