はじめに
この文章について
10分ぐらいで読めるようにしています。
題材はエンタープライズ・V型モデルでのSI開発の標準化です。
寄稿(者)の背景
業務アプリやアプリ方式(アプリ共通)に従事してきました。
V型のウオーター・フォールモデルの開発しか経験しておらず、アジャイル開発は経験ないです。
その中で「何でも屋さん」的に動いた末、一番経験して痛い目みたのが「標準化とその考え方」だと思ってます。
以下のような方に届くといいなと思って書いてます。
- 経験のない中で「標準化やれ」と言われどう臨めばいいか分からない
- 標準化を進めているが周囲からの評判が悪い
・・・
なんやかんやで「標準化」って「テクニカルなこと」だけではなく、「精神論(心意気)」、「マネジメント」も大事なんだよな~
SI開発の標準化で大事なこと(本編)
精神論(心意気)
目線(目的意識)
「標準的なルールを規定する」のは仕事の一部でしかない。
現実的なワークロードで守れないルールは陳腐化するか開発チームの足かせとなり生産性を下げる。
「SI開発を成功させうる標準化」+「エンハンスに向けて開発チームの文化になりえる標準化」を目指すべき。
「納品時のシステム」の目線だけでなく「エンハンスに耐えうるチームも納品する」という目線(目的意識)が欲しい。
長大/厳格なガイドを極力書かない
長大なガイドは読む意欲、ひいては生産性を下げる。
例えばV型モデルの下流工程でプロジェクトがスケールアップすることが多い。
その時、新任開発者のガイド読了が開発のクリティカルパスの場合、下流工程立ち上げ直後の生産性が出ないし、遅延が発生する。
また厳格すぎるガイド(ルール)は開発者の意欲を削ぐ。
大事なところをだけを抑えて、ある程度開発者(各チーム)に自由な裁量を与える。
一部のルール崩し(≒個別最適化)の相談をされたら柔軟に対応すること。
ツール(自動化)を活用
例えば、ソースコードの静的チェックツールなどがある場合、コーディングルールを文書化しない。
ツールを利用することを標準ルールとして、低いワークロードでルールを守らせる。
そもそも守るのにワークロードのかかるルールは尊重されないため、文化として定着するのに苦しみが伴う。
教育計画をおざなりにしない
「ガイドの読み合わせ会」、「今更聞けないことも聞いてOKなQA会」など開催してリードする。
「”読みました”の星取表」、「ガイドとセットのサンプル作成」などを作成して提供する。
(例えば、先行開発に標準化担当もJOINして、その成果をサンプルとすればよい)
「ルール/ガイドを作ってオシマイ」ではなくて、あの手この手で「文化が根付くところまで」までナビゲートすること。
また、リードする側が苦しくならないように上記のようなことを「教育計画」としてスケジュールに織り込むこと。
マネジメント
言葉の定義(用語集/辞書)
プロジェクト内で頻出する言葉についてはきちんと「言葉の定義」をすべき。
文脈が曖昧だったり、相手(会話、読者、他)の基礎知識次第で解釈がブレてしまう。
最悪のケースだと、見積時の「単位」の認識齟齬にもつながり、予算ショートを招く。
作成するルールやガイド類だけでなくプロジェクト内のコミュニケーションに欠かせないことなので「言葉の定義」をリードする。
用語集や辞書などを整備するとよい。
数の関係(モノの単位)の規定
言葉の定義と並行して、言葉同士の「数の関係(モノの単位)」を定義すべき。
- 簡単な例(方式チームの領分かもしれない)
- ユーザから認識できる画面ごとに画面設計書を1Book
- 1画面:nコンテナ
- 1コンテナ:1war:nAPI(のインターフェース)
- 1API:1Controller:nUsecase:mRepository
数の関係(モノの単位)が曖昧だと、見積やスケジュール作成など「モノを作成する前」の段階で躓いてしまう。
ER図のような形で言葉の数の関係を図示するとよい。
「標準化チーム」の標準化
SI開発では「設計開発標準化チーム」が設置されることがある(以降「標準化チーム」)
各チームに先駆けて標準化を進めなければいけないチームが、以下の例だと、品質管理の文脈で後手を踏む。
(V字モデルでSI開発する場合、Vの字の左側の上部~中部で発生しやすい)
- 例)
- 「PMOチーム」はアプリケーションチームの設計に先駆けて、品質管理ルールを規定する。
- 「標準化チーム」はアプリケーションチームのために活動を行うので自チームのルール作成が後手になる。
→ レビュー記録の方法や集計方法のルールがない状態で「標準化チーム」は活動することになる。
これは各チームや影響する活動のクリティカルパスを読み、リカバリや合流するスケジュールをしておくことで対処する。
(踏襲できるか、輸入できるルールがあるならそれを積極活用でもよし。チケット管理ルールなど特に)
さいごに
少しでもご興味もってもらえる方がいるなら、今後もこの文脈で寄稿したいです。
ご質問などあればぜひ。