はじめに
システム構成技術の信頼設計は似たような言葉が多く,覚えにくい印象があります.逆に,考え方さえ覚えてしまえば似たような言葉なので覚える手間が省けるということに気づきました!!!
ここで,わたしなりの覚え方と紹介しようと思います.
もっとわかりやすい覚え方があれば教えてください🙏
信頼設計の用語
フォールトトレランス
意味:障害が発生しても機能を維持する能力,主要な構成要素を多重化することで実現できる.
目的:システムの可用性と信頼性を高める
動作:障害発生時に冗長コンポーネントが機能を引き継ぐ
特徴:システム全体の耐障害性が向上する
例:RAID構成のハードディスク、冗長電源
覚え方
fault(障害)をtolerate(許容する)、つまり障害があっても耐えられる
フォールトアボイダンス
意味:障害の発生を事前に防ぐ設計手法
目的:障害の発生そのものを防ぐ
動作:高品質な部品の使用、厳格な品質管理、定期的な保守点検を実施
特徴:予防的アプローチによりシステムの信頼性を向上させる
例:航空機の定期点検、ソフトウェアの静的解析ツールの使用
覚え方
fault(障害)をavoid(避ける)だから,そもそも障害が起きないようにする
フェールオーバー
意味:障害時に予備システムに自動切り替えする機能
目的:システムの可用性を維持する
動作:主システムの障害を検知し、自動的に予備システムに切り替える
特徴:ユーザーへのサービス中断を最小限に抑える
例:クラスタ構成のWebサーバー、冗長化されたデータベースサーバー
覚え方
fail(障害)が起きたらover(乗り越えて)別のシステムに移る
フェールバック
意味:フェールオーバーにより切り替えられた要素(障害が起きた要素)を障害復旧後に元の状態にもどすこと
目的:システムを通常の運用状態に戻す
動作:障害が解決された後、予備システムから主システムへ処理を戻す
特徴:システムの負荷分散や運用効率を元の状態に戻す
例:修理が完了したメインサーバーへの処理の移行
覚え方
元々の状態にバックする
フェールソフト
意味:障害時に最小限の機能を維持する仕組み
目的:障害時にもシステムの基本機能を維持する
動作:障害発生時に非重要な機能を停止し、核心的な機能のみを継続する
特徴:システムの完全停止を避け、部分的な機能提供を続ける
例:航空機の一部システム故障時の縮小運転モード
覚え方
障害の影響をsoft(柔らかく・弱く)にする
フォールバック(縮退運転)
意味:障害時に、機能を縮小した不完全な状態も処理や稼動を継続させること
目的:障害時にも可能な限りサービスを継続する
動作:主要な機能や方法が使用できない場合、代替手段や簡易版の機能を提供する
特徴:完全な機能ではないが、ユーザーに最低限のサービスを提供し続ける
例:高速なデータベース検索が不可能な場合に、簡易検索機能を提供する
覚え方
fall(落ちる・失敗する)時にback(後退・戻る)して別の方法を使う
フェールセーフ
意味:障害時,あらかじめ指定された安全な状態に誘導すること
目的:障害発生時にシステムと周囲の安全を確保する
動作:障害を検知すると、事前に定義された安全な状態にシステムを移行させる
特徴:安全性を最優先し、必要に応じて機能を停止する
例:エレベーターの停電時自動ブレーキシステム、原子炉の緊急停止システム
覚え方
fail(障害)が起きてもsafe(安全)な状態を保つ
まとめ
障害が起きても機能を維持する:フォールトトレランス
障害が起きないようにする:フォールトアボイダンス
正常運転 → 障害発生 → フェールオーバー(予備システムに切り替え) → 障害復旧 → フェールバック(主システムに戻す)
障害発生時の対応の流れ:
フェールセーフ(安全な状態に移行)→ フェールソフト(最小限の機能を維持)→ フォールバック(縮退運転で代替手段を提供)→ 完全復旧
※状況に応じて、これらの対応を適切に選択・組み合わせる
IT用語は結局英語ゲー...
覚え方まとめ
フォールトトレランス
fault(障害)をtolerate(許容する)、つまり障害があっても耐えられる
フォールトアボイダンス
fault(障害)をavoid(避ける)だから,そもそも障害が起きないようにする
フェールオーバー
fail(障害)が起きたらover(乗り越えて)別のシステムに移る
フェールバック
fail(障害)前の状態にバックする
フェールソフト
fail(障害)の影響をsoft(柔らかく・弱く)にする
フォールオーバー
fall(落ちる・失敗する)時にback(後退・戻る)して別の方法を使う
フェールセーフ
fail(障害)が起きてもsafe(安全)な状態を保つ
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