#はじめに
サンノゼで開催されたOC5にて2019年春に発売予定と発表されたOculus Questですが、2018年12月にOculus Quest本体が、2019年2月に専用ハンドコントローラーがFCC(アメリカの連邦通信委員会)を通過し、Oculus Questの発売もいよいよ近づいて来たと感じます。
OC5でのKeynoteによると、Oculus Questのローンチタイトルは50本以上になるとのことです。世界中のデベロッパー達も、鼻息荒くタイトルのローンチを狙っていることでしょう。
そんな中、2/27にOculus公式ブログにて、Oculus Quest用コンテンツのアプリ申請の際の審査規定が発表されました。
そこで記述された内容がなかなか多くのヒントを含んだものだったので、一旦まとめようと思い、筆を執るに至りました。
と、その前に本記事の対象者と目的を一応確認しておきましょう
#この記事は誰のため?
- Oculus Questでのアプリ提出を考えているデベロッパー
- とその周辺にいる人たち
#この記事の目的
Oculus Questでのリリースを狙う日本人デベロッパーたちが、無事リリースにこぎつけられること
#ストア提出のプロセスについて
さて、記事によると、下記のように書いてあります。
全てのOculus Questデベロッパーは、ストア提出プロセスにアクセスしたり、非公開の開発リソースにアクセスできるようになるためにまず企画書(concept document)を提出し、レビューを受ける必要がある(これをearly reviewという)。
この企画書提出フォームは、Oculus Developer Centerにて、**3月頭(in early March)**より見れるようになる。
サイト内フォームより、3枚のスライドを提出できる。
提出された企画書への返事は10営業日以内に来る予定。
企画書がearly reviewに通ったら、次のステップへ行くことができ、Oculusからのもろもろのサポートを受けられる。
#企画書に求める内容
- コンテンツのクオリティの証明(evidence of quality)
- 市場で成功する見込み(probable market success)
- コンテンツガイドラインに沿っているかどうか(alignment to our Oculus Developer Content Guidelines)
- (コンテンツの魅力を伝えるだけでなく)Questユーザーの心にどのように響くか
- (Questで初めてVRをプレイする人も多くいるので)安全で、快適なコンテンツであること。また彼らがVRコンテンツに期待する要素をベストな状態で提供できること。すなわち、プレイの深さ(depth of play)、実物に忠実である/迫真に迫っていること(fidelity)、6DOF+移動を活用したプレゼンスがあること(a presence in VR that utilizes 6DOF + movement)
- 開発チームの経験
- 投資の状況(おそらくそのコンテンツが今、開発サイクルにおけるどの位置にあるかを知りたいのだと思います)
※Q&Aにて、「Quest用のガイドラインなどはあるのか?」に対する回答で、
「Questのコンテンツは、Oculus Developer Content Guidelineに沿っている。我々はクオリティが高く、洗練されたコンテンツを求めており、中でも特に、深く、驚きや喜びを提供するものであり、VRにおいて可能な移動を伴うコンテンツで、無線で動き回れるQuestのためにカスタムメイドされたものを求めている。」とあります。
(Our Quest publishing guidelines align with our Oculus Developer Content Guidelines. We are looking for high-quality, polished experiences, especially those that demonstrate the deep, surprising, delightful, and moving experiences possible in VR and are custom-made for the untethered immersion Quest offers.)
#その背後にある思想(要約)
Oculus Questは、**”クオリティファースト”**のアプローチで行く。
QuestのVRコンテンツのエコシステムを、デベロッパー・プレイヤー双方にとって成功させたいという思惑がある。
Riftのコンテンツに対するプレイヤーの反応を見るに、洗練されていて、本質的で、深みのあるコンテンツ(titles that have polish, substance, and depth)が売れており、それがAAAスタジオであるかインディーによるものかは関係がない。
我々はクオリティファーストなものを求めており、その基準はかつてないほど高い。また、そういったコンテンツは相応に開発費もかかる。我々が早期に、Questに適したコンテンツであるかの合否を判定することで、デベロッパーが大きな投資の決断をする前に伝えることができるので、双方にとってメリットがある。
つまり、開発サイクルにおいてなるべく早く企画書を提出することが大事である。
(ブログよりポイントだけを抽出)
逆に言うとこのearly reviewに落ちると、「Questは諦めろ」というメッセージと受け取るのがよいでしょう。。。
#さいごに
Oculusがこういった声明を出したのは、Oculus Quest発売に向けて世界中から問い合わせが殺到しているからだと推察されます。あまりにも多いので、このブログでいったん牽制!みたいな意味もあるのかな~とか思いました。
Oculus CTOのジョンカーマック氏はOC5でのKeynote day2の中で、Oculus Goの日本の成功は驚きに値すると唯一具体的な国名を挙げて述べています。Goに関しては日本のマーケットに対して大きな手を打っていたわけではないのに、これほど売れたことについて、注目に値すると考えているようです。
(その理由として、日本の人口密度の高さを挙げています。
狭い場所にぎゅうぎゅうになっている人たちを、VRは広い空間へ開放したとのことです。)
また、日本語の公式サイトも開設されており、日本という市場に対して、Questチームも注目しているのではないでしょうか。
日本発のコンテンツに対しても、ある程度期待度が高まっていると思われます。
うまく企画書のレビューに通れば、日本人デベロッパーとして大きなヤマを越えたということになるかもしれません。(もちろんコンテンツを完成させるのも大変ですが)
企画書を出すステップは何度も与えられるチャンスではなさそうなので、しっかりポイントを押さえて一発で決めたいところですね。
みんなで力を合わせて、日本発Oculus Questコンテンツをたくさんリリースしていきましょう!