はじめに
この記事は 、SAP Advent Calendar 2019 の12月22日分の記事として執筆しています。
はじめまして。SAP導入後の運用保守PMに約7年従事しております。番長と申します。
日頃ちょこっと馴染みの薄い SAP Solution Manager ですが、2020年1月のサポートバックボーンのセキュリティ強化対応をきっかけに、CQCサービスの前提であるSAP Solution Manager 7.2 SPS08 以上にバージョンアップされたユーザ様もたくさんいらっしゃるかと思います。
そこで今日は、SAP Solution ManagerのCQCサービスの中から、番長一押しのビジネスプロセス運用(BPO)をご紹介したいと思います。
お客様環境といただきものの資料しか手元にないため、文字だけの紹介となります。ご了承ください。
SAP Solution Manager とは?
SAP Solution Manager (以下、Solman) は、開発機・検証機・本番機などの全ランドスケープを統合的に管理するためのシステムです。
時々、「Solmanって必要なんですか?」と聞かれることがあるのですが、現時点でSAPシステムを使用するにあたり、Solmanの導入は必須となっています。
パフォーマンス分析や監視をする機能も備えており、システムのパフォーマンス評価を週1ペースでレポートとして発行するEarly Watch Alert(EWA)を利用されているユーザ様は多いのではないでしょうか。
Solman7.2からUXがFiori launchpadとなり、直観的な操作が可能になりました。
一方、Webでの提供ということで、Web用ポートが開けられないSAProuter経由でアクセスしている場合は、毎度RDPでログインしてから操作しなければならず、Solmanを頻繁に使用するBASISから若干不評ではあります(笑)
他にも、変更管理・文書管理・テスト自動化など非常に多機能なSolmanですが、類似のSaaS製品と比較し設定が複雑などの理由からあまり使用されていない印象があります。
そんな中でも、比較的チャレンジしやすいのがCQC(継続的品質チェックおよび改善)サービスです。
※CQCサービスの利用にあたっては、前提となる保守契約(Enterprise Support)が必要ですのでご注意ください
CQC(継続的品質チェックおよび改善)サービス とは?
CQCはSAPのサポートコンサルタントがユーザ環境に入り、申し込みのあったサービスに即した分析を行い、改善策等をレポートしてくれるサービスです。
大まかな流れは以下の通りです。
まずは、利用したいサービスをOSSにインシデント登録し、note適用などサービスに必要な環境を整えます。
サポートコンサルタントが環境をチェックし、実施可能になっていれば実施日が提案されます。
回線OPENなどの準備を整え、あとはレポートが返却されるのを待ちます。
環境にもよると思いますが、note適用はOSSとのやり取りも含め結構手間がかかりました。
代表的なサービスを少しご紹介します。
・Business Process Performance Optimization(BPPO)
ざっくり言いますと、パフォーマンスチューニングの提案です。
特定のトランザクションやプログラム(カスタマアドオン含む)に課題がある場合に有効です。
一度カスタマアドオンのチューニング提案レポートを拝見したことがあります。
非常にマニアックかつ効果的でABAPerの血が騒ぎました(笑)
・Early Watch Check (EWC)
Early Watch Alertのもうちょっと詳しいバージョンです。
BASIS的なパラメータ設定が理想的か?アドミユーザとパスワードの設定がセキュアであるか?
実行しておくべきSolmanJOBが設定されているか?など、改善点を具体的に指摘してくれます。
パラメータ設定は一応基準値がありますが、普通のBASISでは環境に相応しいかどうかまでは判断し難く、アカデミーでも教わらない部分だそうです。
SAPのサポートコンサルタントに評価してもらえると安心できますね。
以上は私が実際に使用したことのあるorレポートを見たことがあるサービスについてのご紹介でした。
他にもモディフィケーション回避のアドバイス等、気になるサービスがいくつかありますので、ユーザ様のお困りごとに応じてアレンジしてみてはいかがでしょうか。
続いて、特におすすめしたいCQCのサービス「ビジネスプロセス運用」のご紹介です。
このサービスは応答型の複数のステップになっており、まだ途中のステップまでしか進めていませんが、分かる範囲でご紹介します。
#ビジネスプロセス運用(BPO) とは?
ビジネスプロセス多角的にチェックし、プロセス上のボトルネックを早期に検知・改善することを目的としたサービスです。
例えば受注プロセスの場合、1.受注伝票の登録件数 2.出荷遅延の納入日程 3.一括出荷時のエラー 4.出庫から請求までのLT 5.請求登録の自動化率
など、各プロセスで事前にKPIを定義しておき、ダッシュボード上で監視することができます。
それにより、以下の効果が考えられます。
・遅延やエラーなどがプッシュ型で通知され、即時にダッシュボード上から目的のデータにたどり着き、アクションを促すことができる。
・滞留の多い得意先の債権を洗い出し、担当営業マンに知らせることで遅延売掛を減らすことにつながる。
・明細の変更回数が多い営業所・担当者を分析し、プロセスの見直しやユーザ教育などの対策がとれる。
このように、BPOは日々のプロセス改善に向いている機能です。
BPOを始める前に、まずはビジネスプロセス分析(BPA)を受けます。
OSSにサービスを申し込み、ビジネスプロセス分析レポートを受け取ります。
1週間のビジネスプロセスが、標準のKPIに従って赤・黄・青信号で評価されます。
また、簡単なアクションプランについても提案があります。
例えば、「70%の販売伝票の納入日程が2日以上変更されている。販売伝票タイプxxが〇%,xxが〇%…」といった具合でグラフや対象の伝票番号(直近10件)と共に指摘されます。
データに基づく事実のみのレポートとなっており、例えば販売伝票の納入日程が変更されることにより、経営的にどのような影響があるのか、等は書かれていませんので、そこはベンダーのコンサルが補足する必要があります。
レポートを確認したら、サポートコンサルと電話でセッションを持ち、今後の具体的な対策について話し合い、監視するKPIなどを決めたらダッシュボードの設定やアラートメールの送信等の実装に入っていきます。
ちなみに、標準で用意されているKPIはこちらから確認できます。(要S-ID)
バックログ(処理遅延)系のKPIは特に沢山用意されています。
「S/4HANA 準備状況」というKPIも発見。
ECCからS/4HANAへシステムコンバージョンする前に処理しておかなければいけない仮伝票等を洗い出すことができるのでは?と期待しています。
現在はBPAレポートを受け取った段階ですので、今後お客様のご迷惑にならない範囲で情報更新していきたいと思います。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!