きみ、どこの遺伝子領域を増やそうとしてるの?

遺伝子工学的な実験を行う時に、PCRをよく使います。筆者のようなバクテリアを取り扱う人なんかは、PCRがなければできないことは多いでしょう。
PCRをやり始めた時に最初に躓くのは、増幅領域とバンド長の計算です。どうやって測ればいいのか、わからない人は多いでしょうし、ネットを調べても簡単にはわかりません。研究室ごとに代々伝わるやり方があるとは思います。しかし、独学の方々は・・・、なかなか難しいものです。
そこで、本記事では筆者なりのPCR増幅領域の調べ方を紹介します。プログラムのインストールがないので、どのパソコンでもできるはずです。
目次
調べる際に必要な情報は以下の二つです。それぞれの取得方法を説明します。
- primer配列
- テンプレートDNAの配列
- Primer-BLAST
primer配列の取得
読者の方々で作成したprimerの配列情報があれば大丈夫です。
本記事では例として、緑膿菌の外膜タンパク質遺伝子oprDを増やすprimerを用います。今回は適当に作った仮プライマー(本当に適当です)を使って増幅場所を探します。
primer | sequence (5'->3') |
---|---|
F-primer | CGTTGCCGCCAAGAAGAAAA |
R-primer | GGCACTGTGATGGCAGAGAT |
テンプレートDNAの配列
まずは、ゲノムの取得できるページに移ります。NCBIにデータはあるので、それの取得方法を説明しましょう。今回使うのは緑膿菌PAO1のゲノムですので、NCBIのサイトに飛んで、タブをNucleotide
に変えてPAO1
か、もしくはアクセッション(AE004091.2)を入力します。アクセッションの方が早く飛べます。
以下の写真のページに飛べましたか。飛べたら、大きく太字で書かれた株名の下にGraphics
というタブがあります。そちらをクリックしてください。
こちらの画面に飛んだと思います。こちらは、ゲノム情報が視覚されたもので、どこにどの遺伝子があるかヴィジュアライズされたものです。写真の矢印にあるタブに、目的の遺伝子を入力します。今回はoprD
です。
ヒットすると以下のウインドウが出るので、遺伝子名をクリックしてください。
クリックすると、図が変わったと思います。クリックした遺伝子の領域が拡大されました。今回は遺伝子周辺にもprimerがつくか調べたいので、図を縮小(広域)します。ズームアイコンのマイナスボタンを一回押してもらえれば十分です。
最後に、表示された範囲の遺伝子情報をダウンロードします。
四角で囲まれた箇所をクリックすれば、FASTAファイルが取得できます。
以上によって、テンプレートDNAの情報がゲットできました。
Primer-BLAST
最後に増幅領域を調べます。Primer-BLAST
と検索してみてください。
こちらの画面が出たと思います。①にテンプレートDNAのファイルをアップロードして、②にprimerの配列を入力し、③のチェックを外してください。スクロールしてGet primers
をクリックすればOKです。
出てきた結果に増幅される領域が表示されます。テンプレートDNAと参照して、場所を決めましょう。また、増幅されるサイズ④も表示されます。こちらを電気泳動等の結果と照らし合わせればよろしいかと。
終わりに
PCRの増幅領域の調べ方は、意外にネットに載ってないものでした。プログラムのインストールの必要ないものを紹介しましたが、PCRを何回もする方は、プログラムを使ったやり方がいいかなと思います。そちらに関しては、または別記事で紹介します。
お疲れ様でした!