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[ゲノム解析] IGVで視覚的にゲノム解析を行おう

Last updated at Posted at 2023-11-30

ゲノム比較してえなあ、そんなあなたにIGV

Integrative Genomics Viewer (IGV) は視覚的なゲノムビューアです。ゲノムビューアってなんぞやって話ですが、ゲノムを比較して遺伝子変異を視覚的に解析できるツールです。IGVを使いこなせれば、サンプル間の遺伝子変異(挿入・欠失・増幅などなど)を効率的に探すことができます。
image.png

よくある用途として、一塩基多型(SNP)の探索があげられます。遺伝子を比較したいサンプルAとBがあるとすると、AのFASTAファイルにBのシーケンスデータをマッピングし、そのマッピング結果を以下の写真のように表示させます。遺伝子の位置と(青い帯)SNPの場所を見ながら、変異を探せるわけです。マッピングのやり方は別記事で話すとして、今回はその結果の表示方法を説明したいと思います。
スクリーンショット 2023-11-30 20.56.48.png

流れ

  • レファレンスの登録
  • マッピングの表示

レファレンスの登録

レファレンスの用意

まずは、レファレンスゲノムを用意しましょう。必要な形式は、FASTAとGenbank(GFF形式)になります。NCBIからダウンロードするか、もしくはローカルでアノテーションしましょう。今回は、緑膿菌PAO1のゲノムファイルを用います。

レファレンスFASTAをindex化しよう

レファレンスのFASTAはそのままの形式ではIGVで読めません。まずは、SNP解析に用いたリファレンスのFASTAファイルをindex化します。index化によって、FASTAはIGVに対応した形式に変換され、きちんと読み込まれるようになります。
index化にはsamtoolsを使います。samtoolsのインストール方法はこちらです。ちなみに筆者はcondaで使ってます。
samtoolsのコマンドは以下のとおりです。。

# samtoolsによるindex化
samtools faidx PAO1.fasta

index化すると、reference.fasta.faiというファイルが生成されます。正しく生成されれば成功です。

Genbankの編集

Genbankファイルも編集が必要です。やることはgffファイルのFASTA部分を切り取ることです。
gffは遺伝子情報(塩基番号や転写方向、遺伝子名など)が行で記載されている形式ですが、遺伝子情報の下に、FASTAが書かれていることがあります。このFASTAはgffをIGVで読む時には必要ないので、削除しましょう。
スクリーンショット 2023-11-30 20.50.16.png

筆者はVimで開いて、コマンド/FASTAを入力してFASTAを検索後、キーボードでVGddで削除しました。

JSONファイルの作成

ここが少し山場です。ここまで編集したFASTAやGenbankをIGVに読み込ませて表示させるためには、JSON形式のファイルを作成します。フォーマットに則って作ればOKです。注意点として、contigの名前と数をFASTAとgffで一致させることがあります。一致していない場合、JSONをIGVで読み込んでも遺伝子情報(青い帯)が出てくれません。

以下のテキストは筆者が書いたJSONファイルです。参考になれば幸いです。

PAO1.json
{
  "id": "PAO1",
  "name": "Pseudomonas aeruginosa PAO1",
  "fastaURL": "/YOUR/DIRECTORY/PAO1.fna",
  "indexURL": "/YOUR/DIRECTORY/PAO1.fna.fai",
  "chromosomeOrder": [
  "NC_002516.2"
  ],
  "tracks": [
    {
      "name": "PAO1 genes",
      "format": "gff",
      "url": "/YOUR/DIRECTORY/PAO1.gff"
    }
  ]
}

JSONファイルをIGVに読み込み

最後に、JSONファイルをLoadします。Loadはメニューバー[Genomes -> Load Genome from File...]をクリックし、jsonファイルを選択します。画面が遷移して、左上のタブにJSONファイルで書いたnameが出てきて、下部に遺伝子の青い帯が出てくれば成功です。
スクリーンショット 2023-11-30 21.04.40.png

JSON読ませてもうまくいかない時

筆者の経験ですが、原因は以下の可能性があります。

  • gff内に書かれてるFASTAを消してない
  • JSONに書いたFASTAやGenbankのパスがおかしい
  • JSONに書いたchromosomeOrderのコンティグ名や数がFASTA及びgffと一致してない

失敗した時は見てみてください。

マッピングの表示

リファレンスの登録が済んだら、マッピング結果を表示させます。
マッピング結果なバイナリファイル(BAMファイル)をindex化します。
index化はsamtoolsで行います。

samtools index mapping_result.bam

これによって、mapping_result.bam.baiができます。

index化できたら、IGVで読み込みます。メニューバー[File -> Load from File]をクリックし、mapping_result.bamを選択します。bam.baiではないです。

スクリーンショット 2023-11-30 21.13.04.png

すると、マッピング結果が出てきます。あとはみたい箇所をズームして、変異をみていくだけです。
スクリーンショット 2023-11-30 20.56.48.png

終わりに

今回はIGVによるSNP解析を紹介しました。今回は、表示させるまでを解説しましたが、IGVにはマッピングを信頼値によってフィルタリングしたり、マッピングされたリードを見やすくしたりといった、解析面及び視覚面で有用な機能があります。今後も紹介していきたいと思います!

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