はじめに
「#100日チャレンジ 毎日連続100本アプリを作ったら人生が変わった」という本を読みました。技術的なハウツー本ではありませんが、一人の開発者の成長過程を描いたストーリーとして非常に示唆に富む内容でした。
本記事では、印象に残ったエピソードや、自分自身の開発観にも影響を与えた気づきについてまとめます。
書籍の概要
著者は、経済学部に通う一人の大学生。授業中に出会ったChatGPTに触発され、Pythonでオセロゲームを制作したことをきっかけに、「100日間で毎日1本アプリを作る」というチャレンジをスタートさせます。
1日10時間以上、ChatGPTを活用しながら開発に没頭する日々。やがてその姿勢が大学教授の目に留まり、学内発表から国際学会(スペイン)での研究発表へとつながっていきます。
“授業をサボっていた学生が、ChatGPTを武器に国際舞台に立つ”というストーリーは、読み物としても強い引力がありました。
読んで得た気づき
✅ 完璧主義を捨て、「まず動く」を優先する
著者は、最初はコードの中身を理解できていなかったと言います。それでも、アプリを毎日作り続けるうちに、自然と内部構造の理解にたどり着いた。
この姿勢は、『世界一流エンジニアの思考法』(牛尾剛氏)で語られる「まず理解から始める」アプローチとは対照的です。ただし、最終的にはどちらも「理解」に到達しているのが興味深い点です。
- 初心者は「理解」よりも「体験」を先に
- 経験者になると「理解→実装」の方が効率的
というように、ステージに応じて最適な学び方は異なるのだと感じました。
✅ 「目標を公言する」ことで、やり抜く力が生まれる
著者は、授業の単位をいかに効率よく取るかを考えるタイプで、決して優等生ではなかったと語ります。
そんな彼女が100日チャレンジを達成できた要因の一つは、「目標を公言したこと」だと感じました。
- SNSで毎日成果を発信する
- 教授に目標を共有する
- 自分の進捗を隠さない
これらの “開けっぴろげな姿勢” が、周囲からの応援や期待を生み、結果的に行動の原動力になったのではないでしょうか。
✅ 成長には「問いをくれる他者」の存在が不可欠
本書で描かれる教授との出会いは、著者にとって大きな転機でした。
「自分のプログラムなのに、どのように動いているのか分からないのか?」
この問いによって、著者はただ作るだけではなく、「理解すること」への意識を深めていきます。
人が成長するときには、必ずといっていいほど “視点をくれる誰か” がいる。壁打ち相手やメンターの存在の重要性を再認識させられました。
✅ AIの性能は「使い手の理解」に比例する
印象的だった言葉がこちら:
「ChatGPTは使い手の能力以上のことはできない」
AIは万能ではなく、使い手が対象を深く理解してこそ、的確なプロンプトや評価が可能になります。
- より良い指示を出すための設計力
- 出力の妥当性を見極める洞察力
これらは、AI時代のエンジニアが持つべき「新しいリテラシー」だと感じました。
✅ 「メモ」は成長を言語化し、知識を蓄積するための土台
著者は、日々のアプリ開発において Zettelkasten(ツェッテルカステン) というノート術を活用していたといいます。Zettelkastenとは、短く独立したメモをカードのように蓄積し、相互にリンクしていくことで、知識のネットワークを構築する手法です。
このメモ術によって、
- アプリ開発の気づき
- ChatGPTとのやりとり
- 学びの変遷や失敗例
などを継続的に蓄積していった結果、それが研究の素材として昇華され、最終的に国際学会での発表にまでつながったというのです。
エンジニアにとっても、「書くこと」は振り返りや再利用の鍵になります。
まとめ
本書は、めんどくさがり屋でゲーム好きだった大学生が、ChatGPTをきっかけに爆発的な成長を遂げた実録です。
- ✅ とにかく 手を動かして作り続けたこと(行動)
- ✅ SNSや教授への目標の公言(発信)
- ✅ 内省を促してくれるメンターの問いかけ(対話)
- ✅ 気づきを積み上げるZettelkastenという記録術(メモ)
- ✅ AIを使いこなすために必要な理解力の成長(応用)
これらの要素が絶妙に重なり合い、結果として「人生が変わった」わけです。
個人的にも、自分の学び方やアウトプットの姿勢を見直すきっかけになりました。