2025/01/14 に Surge Protection 「サージ保護」のプレビューが発表されました。
Announcing Surge Protection (Preview) | Microsoft Fabric Blog | Microsoft Fabric
「サージ保護」登場の背景
以前こちらの記事で紹介したように、Premium/Fabric 容量はスムージングにより処理に要した CU が分割されて計上されます。処理負債が積みあがると Power BI レポートの閲覧などのインタラクティブ操作に影響を及ぼす=スロットリングが起こることがあります。
バックグラウンド操作は24時間にわたって分割されるがゆえに、容量の一時停止による一括返済ができない Premium 容量では、スロットリングからの回復に時間がかかってしまいます。スロットリングが起こる前に、指定した使用率に達したタイミングで通知することはできますが、根本的な回避方法ではありませんでした。
サージ保護は、バックグラウンド操作による過剰な CU 消費を制限するための容量の機能です。バックグラウンド操作に使用できる CU 使用率に制限を設定することで、レポート閲覧などのインタラクティブ操作に制限がかかる可能性を下げることができます。
(サージ保護はバックグラウンド操作を制限するので、インタラクティブな操作が集中してスロットリングが起こる可能性は残ります。)
サージ保護により、既に実行された操作がキャンセルされることはありません。サージ保護が発動すると、以降に実行されるバックグラウンド操作が制限されます。
Power BI 以外の多くの操作はバックグラウンド操作となり、Copilot もバックグラウンド操作に分類されます。
各操作の分類はこちらで確認できます。
https://learn.microsoft.com/ja-jp/fabric/enterprise/fabric-operations
サージ保護の設定方法
Fabric 管理ポータルの [容量の設定] にアクセスし、設定する容量を選択します。(Fabric 容量の場合、容量が停止していると選択できません。)
[サージ保護] を開いて「サージ保護を有効にする」のチェックを入れ、次の2つのしきい値を設定します。
-
バックグラウンド除去のしきい値
サージ保護がアクティブになるタイミングを決定します。 しきい値は、容量の "24 時間のバックグラウンド使用率" に適用されます。 バックグラウンド操作による CU 使用率がこの値に達するか超えるとサージ保護がアクティブになり、新しいバックグラウンド操作は拒否されます。 既に実行中の処理には影響しません。 -
バックグラウンド回復のしきい値
サージ保護が解除されるタイミングを決定します。 "24時間のバックグラウンド使用率" がこの値を下回るとサージ保護が解除され、新しいバックグラウンド操作の受け入れを開始します。
サージ保護状態の確認方法
Fabric Capacity Metrics アプリの Compute ページ右上の [System events] にて、容量の状態が変化したタイミングとともに表示されます。
以下の表はサージ保護に関連する Capacity State の説明です。
Capacity State | Capacity state change reason | 説明 |
---|---|---|
Active | NotOverloaded | 容量がすべてのスロットルおよびサージ保護のしきい値を下回っています |
Overloaded | SurgeProtectionActive | 容量が設定されたサージ保護しきい値を超えたことを示します。容量が設定されたリカバリしきい値を超えています。バックグラウンド操作が拒否されています |
Overloaded | InteractiveDelayAndSurgeProtectionActive | 容量が対話型遅延スロットリング制限と設定されたサージ保護しきい値を超えたことを示します。容量が設定されたリカバリしきい値を超えています。バックグラウンド操作が拒否されています。対話型操作で遅延が発生しています |
Overloaded | InteractiveRejectedAndSurgeProtectionActive | 容量が対話型拒否スロットル制限と設定されたサージ保護しきい値を超えたことを示します。容量が設定されたリカバリしきい値を超えています。バックグラウンド操作と対話型操作が拒否されている |
Overloaded | AllRejected | 容量がバックグラウンド拒否制限を超えたことを示します。バックグラウンド操作と対話型操作が拒否されている |
まとめ
スロットリングが始まると解消に時間がかかります。特に Power BI Premium per Capacity をお使いの場合は一時停止で負債を解消することができないので、なるべくスロットリングが起きないようにすることが重要です。自動スケーリングに加えてこの対策も有効ですので、ぜひお試しください。