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株式会社ネオシステムAdvent Calendar 2023

Day 7

ブロックBLOBについて理解しよう

Last updated at Posted at 2023-12-05

概要

Azure Storage AccountのBlob StorageではブロックBlob追加BlobページBlobの3つを取り扱う事ができる。
今回はそのうちのブロックBlobについて、どのような仕組みでBlobを操作しているのかを調査していく。

Step1. ブロックBLOBについて知る

そもそもBLOBとは

wikipedia - バイナリ・ラージ・オブジェクト

バイナリ・ラージ・オブジェクト(英: Binary Large Object、別名:BLOB)とは、データベース管理システム(DBMS)においてバイナリデータを格納する場合のデータ型である。画像や音声、その他のマルチメディアオブジェクトがBLOBとして格納される。

要するに、ファイル等を保存するためのデータ型である。
Azure Storage AccountではこのBlob専用のBlob Storageがある。

ブロックBLOBとは

Microsoft Learn - ブロック BLOB について

ブロックBLOBは、大量のデータを効率的にアップロードするために最適化されています。
ブロックBLOBはブロックで構成され、それぞれがブロックIDで識別されます。
ブロックBLOBには、最大50,000個のブロックを含めることができます。
ブロックBLOB内の各ブロックは、使用中のサービスバージョンで許可される最大サイズまで、異なるサイズにすることができます。
ブロックBLOBを作成または変更するには、Put Block操作を使用してブロックのセットを書き込み、Put Block List操作を使用してブロックをBLOBにコミットします。

BLOBデータをブロックとして分割し、ブロック群を並列でアップロードすることで
巨大なBLOBデータでも効率よくアップロードできるようにしたものである。

image.png

現行バージョンでの1ブロックあたりの容量と1データあたりのブロック数は以下の様になっている。

最大ブロックサイズ 最大ブロック数 最大BLOBサイズ
4,000 MiB 50,000 ブロック 約 190.7 TiB

Step2. ブロックBLOBに触れてみる

今回はPython向けのライブラリとして提供されている、Azure Blob Storage クライアント ライブラリを使用して操作する。

インストール

pip install azure-storage-blob

実際のコード例

シンプルにアップロードとダウンロードを行う処理。
ブロックを意識することなく、単一のデータとして取り扱える。

from azure.storage.blob import BlobClient

# 接続文字列
connection_str = 'DefaultEndpointsProtocol=https;AccountName=storagesample;AccountKey=<account-key>'

# コンテナー名
container_name = 'test'

# ファイル名
blob_name = 'hello.txt'

client = BlobClient.from_connection_string(connection_str, container_name, blob_name)

# アップロード
upload_data = 'hello world.'
client.upload_blob(upload_data, overwrite=True)

# ダウンロード
download_data = client.download_blob().readall()

Step3. ブロックBLOBを解剖してみる

続いて、ブロックを意識してブロックBlobを取り扱ってみる。

ブロックBlobの主な要素

要素 説明
ブロックリスト ブロックIDのリスト。UNCOMMITTED,COMMITEDの2つがある。
ブロックID ブロックごとに割り振られたID
ブロックサイズ ブロックが持つデータのサイズ。バイト長が入っている。

実際のコード例

import base64
import datetime

# アップロード
upload_data = 'hello world.'
## 1. ブロックIDの作成、Base64で一意のIDを指定する
id = base64.b64encode(str(datetime.datetime.now()).encode())

## 2. ブロックの登録
client.stage_block(id, upload_data)

## 3. ブロックの反映
client.commit_block_list([id])

# ブロックリスト
## ここで取得するブロックにはデータは付属していない
blocks = client.get_block_list()
print(blocks)
"""出力結果
([{'id': "b'MjAyMy0xMi0wNSAxNzo1MTo1NC42NjAzMTk='", 'state': <BlockState.LATEST: 'Latest'>, 'size': 12}], [])
1つ目のリストがCommitted、2つ目がUnCommitted
"""

# ダウンロード
## ダウンロードは特に変化なし
download_data = client.download_blob().readall()

ここで注目したいのがアップロードの2と3である。
ブロックを直接保存するのではなく、一旦ID付きで登録してから反映する。
この仕組みのおかげで順番をバラバラにしたブロックをアップロードしても最後の反映の際にIDの順があっていれば正常に保存される。

image.png

Step4. ブロックBLOBを組み替えてみる

最後に、応用編としてブロックの組み換えを行ってみる。
追記過多でブロック数が上限の50000を超えた際に、細かいブロックをマージすることでブロック数を減らす処理を行う

ブロックのマージ処理

# ブロックIDリスト
ids = []

# 仮想ブロック
data_pool = bytes()

# ストリームの現在地
index = 0

# 1ブロックあたりのサイズ上限
block_size = 1000000000

# 対象ファイルのブロックリスト
blocks = client.get_block_list('committed').pop()

for block in blocks:
    # 指定したサイズ上限まで仮想ブロックにデータを溜め込む
    # サイズ上限に達した場合は仮想ブロックをアップロードし、再度溜め込む
    if block.size != block_size:
        if len(data_pool) > block_size:
            data = data_pool[:block_size]
            data_pool = data_pool[block_size:]
            id = base64.b64encode(str(datetime.datetime.now()))
            client.stage_block(id, data)
            ids.append[id]

        # 仮想ブロックに移した分だけ次のデータ範囲を読み込む
        data = client.download_blob(index, block.size)
        data_pool += data.content_as_bytes()
    else:
        ids.append(block.id)
    index += block.size

# 余剰分のデータをアップロードする
id = base64.b64encode(str(datetime.datetime.now()))
client.stage_block(id, data_pool)
ids.append(id)

# アップロードしたデータを反映する
client.commit_block_list(ids)

終わりに

ログをBlob Storageに出力したい・ログファイルは分割せずに1つのファイルに全て出力したい、という要望に応えるためにStep4のブロックマージ処理は作成された。
当初は追加Blobを使用して逐一追記していく予定だったが、最大50000回までしか書き込めない事、内容の変更が出来ない事が分かり、急遽ブロックBlobを用いての対応となった。
今考えると要望に対し考え無しにイエスを返すのではなく、分けた方が使いやすいですよ、といった方向で提案するべきだったかもしれない。

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