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ChatGPTと会話可能なTeams ChatBotを作る Functions編

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概要

この記事には以下の要素が含まれます。

  • Azure OpenAI、openaiライブラリの解説
  • Azure Functionsの構築
  • Azure FunctionsとAzure KeyVaultの統合

この記事では、Azure OpenAI内のGPTモデルを使用したTeams ChatBotの作成方法について解説します。
Teamsアプリケーションとして追加することで、Teams上で対話形式でAIを使用できます。

完成図
2023-09-20_10h34_09.png

アプリケーション構成

本アプリケーションは、Microsoft Teams上で動作するチャットボットです。
Azure Functions, Azure OpenAI, CosmosDB, KeyVaultなどのサービスを組み合わせて実現します。以下が主な構成です。

  • Microsoft Teams: チャットインターフェイス
  • Azure Functions: バックエンド処理
  • Azure OpenAI: モデルデプロイ
  • CosmosDB: 会話履歴管理
  • KeyVault: シークレット管理
    image.png

チャット関数の構築

今回はこの範囲に絞って解説します。
image.png

Azure OpenAI

Azure OpenAIは、Microsoft Azure上で動作するOpenAIのプラットフォームです。
Portalでリソース作成後、OpenAI Studioからモデルをデプロイしておきます。

image.png

openaiライブラリについて

openaiライブラリはPython向けに提供されているOpenAI APIクライアントです。
本家OpenAIへの呼び出しも可能ですが、今回はAzure OpenAIの呼び出しに使用します。
以下にAPIの一つであるChat Completionについて軽く使用例と解説を示します。

使用例
import openai

# 変数設定
openai.api_type = "azure"
openai.api_base = "your_api_endpoint"
openai.api_key = "your_api_key"
openai.api_version = "api_version"

# API通信部分
response = openai.ChatCompletion.create(
    engine="gpt35-sample",
    messages = [
        {"role":"system","content":"You are an AI assistant that helps people find information."}, 
        {"role":"user","content":"コミュニケーションとは何か、50文字以内で"}, 
        {"role":"assistant","content":"コミュニケーションとは、情報や意見を相手に伝えることであり、双方向のやり取りが含まれる。"},
        {"role":"user","content":"英語に訳して"}
    ],
    max_tokens=500,
    temperature=0.7
)

print(response.choices[0].message)
# {"role": "assistant", "content": "Communication is the act of conveying information or opinions to someone, and it involves a two-way exchange."}

messagesについて

Chat Completionでは以下の要素を持つメッセージオブジェクトのリストを使用します。
会話履歴をリストとして送信することで、履歴をもとにした対話が可能となります。

キー 説明
role system user assistant メッセージの発信者。systemはシステムメッセージ、userはユーザー、assistantはモデル。
content 会話内容 ユーザーの入力、モデルからの応答の内容。

その他のパラメータ

また、Chat Completionの実行時は以下の様なパラメータを使用することで出力結果を調整することが可能です。

パラメータ 入力値 説明
max_tokens 1~ モデルの応答の長さ。文字長ではなくトークン数
temperature 0.0 ~ 0.1 ランダム性の増加。数値が高い程回答に一貫性が無くなる。
top_p 0.0 ~ 0.1 ランダム性の増加その2。数値が高い程回答に一貫性が無くなる。temperatureとは二者択一。
frequency_penalty -2.0 ~ 2.0 同一行繰り返しの抑制。数値が高い程一度出た行が出にくくなる。
presence_penalty -2.0 ~ 2.0 同一トピック繰り返しの抑制。数値が高い程新しいトピックについて話しやすくなる。
stop 停止シーケンスのリスト 応答を停止させるトークンの設定。最大4つまで指定でき、指定のトークンが出力されるとモデルが応答を停止する。

Azure Functions

Azure OpenAIと直接対話を行う部分です。
今回はFunctionsにHttpトリガーの関数を実装しAPI的に使用できるようにしました。
また、クラスは以下の様にチャット関数チャットクライアントの2つで構成しています。

image.png

チャットクライアントの作成

始めにチャット関数から呼び出すChatClientクラスを作成します。
openaiライブラリについてで解説した通り、変数設定後にopenai.ChatCompletion.createでモデルと対話を行っています。

ChatClient.py
import os

import openai


class ChatClient:
    openai.api_type: str = 'azure'
    openai.api_base: str = os.environ['OPENAI_ENDPOINT']
    openai.api_key: str = os.environ['OPENAI_API_KEY']
    openai.api_version: str = os.environ['OPENAI_VERSION']

    model: str = os.environ['OPENAI_MODEL']
    temperature: str = os.environ['OPENAI_TEMPERATURE']
    max_tokens: = os.environ['OPENAI_MAX_TOKENS']

    def chat(self, message: dict) -> dict:
        messages: list = []
        messages.append(message)

        response = openai.ChatCompletion.create(
            engine=self.model,
            messages = messages,
            temperature=self.temperature,
            max_tokens=self.max_tokens
            )

        if response.choices[0].finish_reason == 'stop':
            return response.choices[0].message
        else :
            raise Exception(response.choice[0])

チャット関数の作成

チャット関数側はシンプルにHTTPトリガーで作成し、チャットクライアントを呼び出すだけとしました。

Chat/__init__.py
import azure.functions as func

from ChatClient import ChatClient


def main(req: func.HttpRequest) -> func.HttpResponse:
    response: func.HttpResponse = None

    if req.get_body():
        message = json.loads(req.get_json())

        client = ChatClient()
        chat_response = json.dumps(client.chat(message))

        response = func.HttpResponse(
            chat_response,
            status_code=200
        )
    else:
        response = func.HttpResponse(
            "request is not exist",
            status_code=400
        )

    return response

アプリケーション設定

こちらのコードで使用している環境変数(os.environ[~])については、Azure Functionsの「アプリケーション設定」に設定することで使用可能です。

image.png

Azure KeyVault

Azure Key Vaultはセキュリティ情報(APIキー等)管理用サービスです。
先程はアプリケーション設定にAPIキーを直接保存していましたが、KeyVaultにシークレットとしてAPIキーを保存することでより安全にAPIを使用できるようになります。

シークレットの作成

リソース作成後、シークレット>生成/インポートからシークレットを新規作成できます。

image.png

作成後、シークレット識別子が発行されるのでコピーしておきます。

FunctionsとKeyVaultの統合

作成したシークレットをFunctions側から読み込めるようにします。

アクセスポリシー設定

FunctionsのIDからオブジェクトIDを発行します。

image.png

その後、KeyVaultのアクセスポリシーにFunctionsを登録します。
今回は権限をシークレットの取得のみに絞っています。

image.png

アプリケーション設定変更

最後に、先程まで平文で入力していたアプリケーション設定を変更します。
基本は以下のSecretUriに参照先のシークレット識別子をコピーするだけです。

@Microsoft.KeyVault(SecretUri=https://myvault.vault.azure.net/secrets/mysecret/)

無事参照ができるようになれば、アプリケーション設定の「ソース」にチェックマークが付きます。

image.png

テスト

Functionsの概要>関数から今回作成したチャット関数を開き、メニューのコードとテストを開きます。
その後、テストと実行からjsonを送信し、モデルからの応答が確認できれば成功です。

image.png

終わりに

今回はFunctions ~ OpenAIの部分について解説しました。
次回はFunctionsからCosmosDBにアクセスし、会話履歴を保持・使用できるように改造していきます。

あとがき

Azure初心者の方でも作成できるように、ガイド的な意味合いも込めて記事を作成しました。

また、今回は記事作成の依頼があり作成してみましたが、慣れていないこともありかなり苦戦しました。
もう何本か書いて慣れる必要がありますね…。

参考

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