エンジニアの生産性を上げろ!と言われるたびに、むず痒くて。
言語化するにはーって考えていたんですが、週7日ラーメンでも構わないくらい
好きなので、ラーメン屋で、モヤモヤしたこの想いを表現したいと思います。
行列のできるラーメン屋とは?
行列のできるラーメン屋は、以下の特徴を持っています。(※持論)
1)とにかく美味しいラーメンである(大衆に受け入れられている)
2)このラーメンを食べるためなら、コストは厭わない(Q > C)
3)このラーメンを食べるためなら、この待ち時間に不満はない(Q > D)
このラーメンを食べた事実が大切(味とか関係ない。自己満足が満たされれば良い)
テレビで見た。芸能人がオススメしたとか。インスタ取りたいとか、もいますが、
ただ、これも、「このラーメンを食べるためなら」に広義では含まれるかと。
要するに、クオリティがコストを上回り、デリバリーに不満を持たないお店です。
ラーメン屋さんのQCD(※持論)
Q: ラーメンの味、店員のサービス等、お客が「五感で感じる」もの全て。
C: ラーメンの原価とか、地代とか
D: 客がお店に到着してから、お金を払い外に出るまでの時間
さぁ、生産性をあげようじゃないか
ラーメン屋さんの生産ラインは、以下のようになっています。
1. お客様の注文を聞く
2. ラーメンを作る
3. ラーメンをお届けする
4. (お客が食べる)
5. (後精算の場合)お代を払う
6. 後片付けする
当然ですが、最大席数を超えるお客様の流入があるので、行列ができてます。
生産性を上げるためには、どうしたらいいでしょうか?
生産性を上げる
行列ができるお店が考えることは、
たくさんのお客様がお待ちなので、回転数をあげればもっと利益が出るし、喜んでもらえる!
なので、従業員に生産性を上げろ!と、店長は指示を出します。
もっと回転数を上げろ!お客様をお待たせするな!!
すると、従業員たちは、とにかく自分たちの作業スピードを上げるようになります。
さぁ、生産性が高まっていきますよ!
だがしかし
ラーメンは、一定の手順を踏んで作られます。
ですので、スピードを上げるには、
1)熟練する
2)省く
しかありません。
しかし、熟練するには時間がかかりますし、全てのシフトに熟練した
人が入れるとも限りませんね。
では、省きましょう。
1)湯切りを通常の1回減らす
2)調味料の計測を省く
etc...
恐らく、美味しく無くなりますよね。。。
他の生産タスクでも、、、
■ ラーメンをお届けするスピードを上げる
ラーメンを走ってお届けしましょう!
語るまでもないですね。。。
■ 客が席を立つスピードを上げる
ゆっくり食べさせてよ。。。
■ 精算をスピードアップ
レジ打つ速度、お釣りを出す速度を向上しよう?
■ 後片付けのスピードを上げる
まぁ、このくらいはなんとかなりそうかな?
のように、生産性を上げようと、個々の側面でがんばるあまり、
全体的な品質が落ちやすい状況が生まれます。
最後に、
余裕が無い状況での作業が品質を下げる
これは、もう自明の理というか。
生産性を上げることの闇
生産性を上げることを考え、とにかくお客様を回すことに取り憑かれたラーメン屋は、
どんどん品質が下がっていきます。
たくさんのお客様を回せるかもしれませんが、リピーターが来ないので、
段々と売り上げが落ちていきます。
ふと気づくと、回すことに特化した従業員しかおらず、
品質にこだわる従業員は、いなくなっています。
どうやって品質を上げて良いかもわからなくなり、最後は閉店することになります。
なぜか
大前提として、
このラーメンを食べるためなら
という「素晴らしい品質」ありきで、このお店は流行っていたということ。
決して、「待たないから」ではなかったのですよね
この店長みたいなバカはいないだろ?
本当にそうでしょうか?
もっと回転数を上げろ!お客様をお待たせするな!!
このセリフ。エンジニア界隈でよく聞きませんか?
もっと早く作れ!納期に間に合わないぞ!!
なんでテストにこんなにかかるんだ!さっさとリリースしろ!!
もっと工数を減らせないのか!無駄を削減しろ!!
モノづくりにとっての生産性とは
生産性という額面だけ受け取って、作業を速く、無駄を省くことに囚われていませんか?
エンジニアの会社への貢献は、
素晴らしい資本を作り、提供すること
に、その本質はあります。そして、素晴らしい会社ほど、
モノづくりに携わる人たちへの「投資」を忘れません。
コストとして人を見るのではなく、将来性として投資するものです。
これは、投資したいと思わせる人が多いから。というのもあります。
ですので、個人が生産性をあげるというのは、
投資に対する見返りを最大化する
その一言に尽きます。
そのためには、どの工程に問題があり、何を強くするか
- 注意深く観察し
- ボトルネックを発見し
- ボトルネックを最大限活用する or 改善する
を繰り返す必要があります。
決して、個々の作業スピードを上げることが、生産性向上ではありません。
自分の作業を短縮するよりも、
全体を一つの流れとして見て、滞っている箇所を解消すること
の方が、ものづくり全体の生産性は、
格段に向上しますし、投資対効果にも大きな影響を出すことができます。
モノづくりの上げるべき生産性は、全体最適化こそ全て。
そこに、組織や会社の違いなんて、大したことではありません。
みんなで、素晴らしい製品を、効率よく作っていきましょう。
本題からは外れますが、、、
投資対効果は、ビジネス全体で測るのが普通です。
あまりに品質にこだわるあまり、スピードを殺すことにより、
効果が低くなることも忘れずに。
ビジネスの求めるタイミングに、しっかりとリリースする
ことが、大前提なのも、頭の片隅に置いておく必要があります。