Abstract
- 個体上に乗ったごく薄い液体の乾燥をMDシミュレーションによって解析した。
- 乾燥の特性は、単純なLJ液体の三相共存状態と分離圧に基づいたモデルを比較することで得た。
- MD解析の結果、高エネルギー個体表面に乗った液体薄膜はただの液体薄膜に比べ乾燥速度が小さかった。この原因は薄膜が個体表面のポテンシャルを受けたため。
- 気体の動力学に基づく平均場理論と分離圧の古典的ハマカー理論の比較から、液体厚さが界面領域程度の時、サイズの不一致が見られた。
- この不一致はMD計算によって分離圧を引き出すことで消滅する。
- この事実は液体薄膜の乾燥モデルとして分離圧の積分項が適格に表しているといえる。
introduction
- 背景説明(いかに世間にあふれているか、いかに社会に対して重要か)
- 薄い薄膜の乾燥は社会にあふれている。肌の汗が渇くこと、薄膜の蒸発潜熱を利用した冷却デバイスなど
- 現在の理解(今はどんな理論で、どんな問題があるか)
- 液体薄膜の蒸発はたいてい気体の動力学で説明されるが、それは古典的な熱力学にを用いている。しかし極々薄い薄膜は個体基盤の影響も受ける。これを説明するために分離圧が使える。この分離圧は、古典論をハマカー理論によって拡張した際に生まれたもの。
- 一般的に言われている手法の批評(この方法の弱点)
- しかしこの理論は薄膜をバルクのスラブと考えるため、その過程から外れるような表面付近の領域には弱い
-先行研究の紹介(主にMD) - 実験による検証はほぼない。
- MDシミュレーションによる研究はいろいろある。理解は進んでいるが平均場理論に立脚している。
- しかしこの理論は薄膜をバルクのスラブと考えるため、その過程から外れるような表面付近の領域には弱い
-
先行研究ができていないあらたな方法の提示
- この論文で何をするか
- この記事では固体基盤上の無極性液体薄膜のMDシミュレーションによる乾燥を解析する。
- 分子の直径と同等の厚さの駅膜から直接乾燥の性質を解析する。一方で、間接的に分離圧の計算から特性を解析する。
- 両者を実験と比較することで、液体薄膜のモデル化手法としてどちらが良いか議論する。
method
result
- 蒸発速度は液膜が薄くなるほど遅くなった。気体領域に存在する分子の速度分布はMaxwell-boltzman分布に従うことがわかった。
- 原子間相互作用のみから計算したハマカー定数から蒸発速度を求めると、MDシミュレーションの結果と比較して、液膜が薄くなるにしたがって結果を過大評価した。しかし、ハマカー定数をMDの結果で得られる分離圧から算出して用いると、MDと良い一致を示した。
conclusion
- MDの結果、液体薄膜は個体基盤からの相互作用によって乾燥しずらくなることがわ買った。これは古典的な理想気体の平均場理論からは得られず、MDシミュレーションによって算出された分離圧を考慮することで初めてMDの結果を再現する。
気になったこと
- 乾燥現象を考えるには、分離圧を理解する必要がありそう。
- 実験との比較がないので、データの活用の仕方が難しい。⇒実験からの検証あったりする?
- 分離圧を算出する化学使っている化学ポテンシャルはWidom Insertion Methodを使っているらしい⇒
- heltz-knudsenの式は気液界面での平衡乾燥に使えたが、これはより広い現象に使えるということかも