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長文要約生成APIを利用する前に気をつけたいこと

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はじめに

朝日新聞社が長文要約生成APIを公開しました。

面白そうな技術なのでこれを使ってみようと思う方、
このAPIを利用する前に利用規約は読みましたか?

この記事では利用規約を読んで注意すべきことについて説明します。

免責事項

筆者は法律の専門家ではありません。以下の内容は筆者の解釈であり、その内容を鵜呑みにせず、実際に利用規約を読んで各自が判断してください。

要約と著作権

著作権なるほど質問箱によると一般に文章の要約を作成することは程度によっては翻案にあたるそうです。

ダイジェスト(要約)のようにそれを読めば作品のあらましが分かるというようなものは、著作権者の二次的著作物を創作する権利(翻案権、第27条)が働くので、要約の作成について著作権者の了解が必要です。(中略)一方、2~3行程度の極く短い内容紹介や「夭折の画家の美しくも哀しい愛の物語」などのキャッチコピー程度のものであれば、著作権が働く利用とは言えず、著作権者の了解の必要ありません。

利用規約では著作権について以下のように定めています。

第3条(知的財産権等)

  1. 本APIに関する知的財産権及びその他の権利は、すべて甲に帰属する。
  2. 入力データに著作物が含まれる場合、当該著作物にかかる著作権は、乙または当該著作物について権利を有する第三者に帰属する。乙は、第三者に権利が帰属する著作物を入力データ等に使用する場合、乙の費用と責任において当該第三者から使用許諾を得る等、一切の権利処理を行うものとする。
  3. 解析データ及び出力データ(以下、「出力データ等」とする)に関する知的財産権及びその他の権利は、すべて甲に帰属する。

つまり

  • 入力データの著作権はその著作物の作成者のもの
  • 出力データ(要約)の著作権は朝日新聞社のもの
  • 利用者の責任で朝日新聞社が要約を作成することの許諾を取得する

ということになります。したがって、出力データを公開せず、試しに使ってみる場合であっても、著作権者の許諾が必要です。

さらに入力データについて以下の記載があります。

第5条(許諾の条件)

(中略)
なお、乙は、甲が入力データまたは出力データを甲のサーバーに複製・保存し、今後甲が開発する機械学習やアルゴリズム等に利用、または解析データを得るために必要な処理または加工等を行うことを無償で全世界的に期限を定めず許諾するものとする。

つまり、「入力データがサーバに保存され、学習データとして利用されること」の許諾も利用者の責任で取得する必要があります。

以上を踏まえると、自身が著作権を有していない著作物を入力とすることは避けた方が無難でしょう。

記事の公開

さて要約APIを利用した技術記事を公開する際には以下の規約にも気をつける必要があります。

第10条(公表)

  1. 乙は、学術研究や本APIの評価の目的に限り、本APIを使用して得られた研究成果や知見を公表することができる。
  2. 乙は、公表にあたっては、本APIをもとにしていることを明記し、成果の公表の前にその概要を書面やメール等で甲に報告する。
  3. 乙は、論文発表の際も、本APIを利用した旨を明記し、提出先の学会、発表年月日とともに論文の別刷りまたはコピーを1部甲に提出するものとする。

すなわち、記事の公開前に朝日新聞社にメールで報告が必要ということです。

また、出力データの公開についても以下の規約に注意する必要があります。

第7条(禁止事項)

乙は、本APIや出力データ等の利用にあたり、以下に定める行為をしてはならない。
(中略)
(3)APIキー及び出力データ等を第三者に提供すること。

要約の一例を記事に載せることはおそらく大丈夫でしょうが、大量に変換したデータを公開することは許可されていません。

まとめ

  • 入力データは自身が著作権を持っているものに限るようにしましょう。
  • APIを利用した記事の公開前に朝日新聞社にメールで報告する必要があります。
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