Excelで未来を予測しよう
ビジネスの世界では、将来の不確実性に備えることが重要です。そこで役立つのが、ExcelのWhat-If分析とシナリオマネージャーです。これらの機能を使いこなすことで、様々な状況下での財務予測や意思決定をサポートすることができます。
What-If分析とは?
What-If分析は、「もし〜だったら」という仮定のシナリオを分析するツールです。例えば、「もし売上が10%増加したら利益はどうなるか」といった質問に答えることができます。
主な機能には以下があります:
- シナリオマネージャー
- ゴールシーク
- データテーブル
今回は、特にシナリオマネージャーに焦点を当てて解説します。
What-If分析を実行するために必要な情報
What-If分析を効果的に実行するためには、以下の情報を準備する必要があります:
- 基本モデル:現在の状況を反映した財務モデルやスプレッドシート
- 変動要素:分析したい変数(例:価格、販売数量、コストなど)
- 計算式:変数の変更が結果にどのように影響するかを示す数式
- 目標値:分析の結果として見たい指標(例:利益、売上高など)
- シナリオ:検討したい異なる状況や条件のセット
シナリオマネージャーの使い方
シナリオマネージャーを使うと、複数の仮定シナリオを作成し、比較することができます。
手順:
- 「データ」タブから「What-If分析」を選択し、「シナリオマネージャー」をクリックします。
- 「追加」ボタンをクリックし、新しいシナリオを作成します。
- シナリオ名を入力し、変更したいセルを指定します。
- 各シナリオの値を入力します。
- 「概要」ボタンをクリックして、全シナリオの比較表を作成します。
活用例:販売戦略の検討
例えば、ある商品の価格と販売数量を変えた場合の利益を比較したいとします。以下のテーブルは、基本シナリオと2つのシナリオの比較を示しています。
シナリオ名 | 商品価格 (円) | 販売数量 | 売上 (円) | コスト (円) | 利益 (円) |
---|---|---|---|---|---|
基本シナリオ | 1,000 | 100 | 100,000 | 70,000 | 30,000 |
シナリオA | 1,100 | 90 | 99,000 | 70,000 | 29,000 |
シナリオB | 1,000 | 120 | 120,000 | 84,000 | 36,000 |
シナリオの説明:
- 基本シナリオ: 現在の価格と販売数量での利益を示します。
- シナリオA: 商品価格を10%上げた場合の利益を示しますが、販売数量が減少しています。
- シナリオB: 商品価格をそのままにして販売数量を20%増やした場合の利益を示します。
このテーブルを使用することで、どの戦略が最も利益を生み出すかを視覚的に確認できます。
What-If分析の実行手順
- 基本モデルを作成:上記のテーブルをExcelで作成します。
- 変動要素を特定:この例では、商品価格と販売数量が変動要素です。
- 計算式を設定:売上 = 商品価格 × 販売数量、利益 = 売上 - コスト
- 目標値を決定:この例では、利益が目標値です。
- シナリオを作成:基本シナリオ、シナリオA、シナリオBを設定します。
- シナリオマネージャーを使用:各シナリオの値を入力し、結果を比較します。
まとめ
What-If分析とシナリオマネージャーは、ビジネスの意思決定を支援する強力なツールです。不確実な未来に対して、様々な可能性を検討し、最適な戦略を立てるのに役立ちます。