1. 概要
良い音を聞きたい!でも良いオーディオ機器って高いですよね?
しかし、自作するといいパーツを使いつつそこそこお安くデジタル音源を作ることができるのです。
例えば、ES9038Pro のバランス出力のヘッドフォンアンプが欲しい!なんて思っても、まともなメーカーで機器を揃えると軽く10万オーバーですが、自作すれば5万ほどで作れたりします。しかも、自作しただけでにプラシーボ効果で音質がよく感じることもでき、工作する楽しさはプライスレスです!
本記事では”電子工作経験者”が音源を自作する際に
- 音源を作るにはどのような部品が必要か?
- どう組み合わせればいいのか?
- どこで買えばいいのか?
がわかるようにすることを目的とした記事となります。
2. 説明の流れ
- 3.1 音源の構成
- 3.2 DDC
- 3.3 DAC
- 3.4 AMP
- 3.5 電源
- 4 自作した組み合わせ例
3. 音源の構成とそのパーツ
3.1 音源の構成
音源は大きく4つのモジュールに分けられます。
大抵の場合、この4つそれぞれにあたる部分の部品を組み合わせることで、音源を作ることが出来ます。
3.2 DDC : デジタルデジタルコンバータ
音データを DAC入力信号(I2S)に変換するもの、大抵の場合はDACのサンプリングに合わせて選べば良い。本来ならば、ジッタ(信号の揺らぎ)が少な方を選びたいのですが、メーカーが公称値を出していることはないので、実測するしかありません。
市販されているDDC モジュール
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Amanero COMBO384 : 385KHz 32bit
性能は最高とは言えないが、金額的にお手頃。どこかの記事でジッタが少ないというのを見た。 -
XMOS 768KHz DDC : 768KHz 32bit
知っている中では最高スペック。 -
Raspberry Pi : 192KHz / 24bit 程度(Raspberry Piのモデルによる)
これは小型PCだが、DDCのように使うことができる。これをDDCとして使用した場合は、AirPlay対応させたりすることができる。リモートプレイヤーを構築したい場合はこちらを使う良い。
リモートプレイヤー構築例はこちら記事を参照
3.3 DAC : デジタルアナログコンバータ
I2S信号を受け取り、音に応じた電圧(電流)を出力する。音源の"色"を決定する中心的なモジュール。こちらもDDC同様、一般により高い周波数・量子化に対応しているものがよりスペックが高いものとなります。
無論、同じカタログスペックでもメーカーや型式で音が変わります。フラグシップ級のDACになると、音の"良い/悪い"ではなく好みの世界だと思います。
市販されているDAC モジュール
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ES9018K2M : 385kHz / 32bit
モバイル向けのDACらしい、そこそこの性能でお値段で買える。これでも、市販製品(ピンキリだけどね)だと2万円ぐらいのモデルに搭載されるようなチップです。 -
ES9038Pro: 768kHz / 32bit
ESSのフラグシップDAC。上記のモジュールはバランス出力を備えているので、そのまま平衡アンプで増幅すれば、完全にバランス分離して出力することが出来ます。大抵10万オーバーの機器に使われる。 -
AK4497EQ: 768kHz / 32bit
旭化成エレクトロニクスの プレミアムDACとのこと、ちなみにこれを買うならば、DDCもセットのものを買った方が面倒がありません(後述)。
I2S について
I2Sの通信には(LRCLK,BCLK,SDATA,MCLK)の4つの信号線を扱う必要があるが、ES9018, ES9038など一部のDACは(LRCLK,BCLK,SDATA)の3つだけで済む。このようなDACは比較的DDCとの接続が簡単なので、初めての場合におすすめ。
MCLK が必要となるDACを使いたい場合はできるだけ DACに合わせたMCLKの生成ができるキットと合わせて購入することをおすすめします。
3.4 AMP : アンプ(増幅器)
音声信号をデバイスに合わせて増幅する。本当にピンキリだが、大抵はアンプICを使用することになると思う。
DDC,DACとは異なりAMPモジュールは正負の電源が必要になる場合が多く、それを用意するのが少し面倒。
市販されているAMP モジュール
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平衡-平衡反転アンプキット
平衡-平衡反転アンプキットとあるが、早い話バランスアンプ。ヘッドフォン出力ならば、これで事足りました。ただ、デフォルトだと倍率が1倍なので、インピーダンスが高いヘッドフォンを繋ぎたいのならば倍率を5倍程度にする必要がある。
反転増幅回路のゲイン計算はこちらのリンクなどを参考にしてください。 -
ステレオヘッドホンアンプキット
アンバランスのヘッドホンアンプならこれで、十分かと思います。 -
40Wステレオパワーアンプ
パワーアンプを組み込むならば、このキットがお手軽かと思います。
しかし、パワーアンプならば市販品を繋いで使用する方が楽だと思います。
3.5 電源
DDC, DAC, AMP それぞれに適切な電源を提供する部分。
電源はノイズがなく、安定した電流電圧を供給することが求められます。よく『電源のノイズが…』と言われるように、ここにノイズが入ると全てのパーツでノイズが発生してしまう。
市販されている電源 モジュール
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スイッチング電源+ノイズフィルター
一般にスイッチング電源はオーディオには向きませんが、秋月電子の『超ローノイズ・プログラマブル可変電源キット』を使用してあげることで、オーディオ電源として十分な低ノイズ電源になります。さらにこの製品は出力電圧を切り替えることができるので便利です。 -
トランス電源
オーディオ電源として理想的なのは、このようなトランス電源です。ただ、大きくなりやすく、手間もかかるため初心者向きではありません。
4 自分が作った音源の紹介
4.1 AirPlay対応 Raspberry Piプレイヤー
AliExpressで見つけた怪しいDAC・AMPを使って作った Raspberry Pi リモートプレイヤー
構成部品
DDC : Raspberry Pi Zero W
DAC, AMP: ES9028 DAC/AMPボード
電源: スイッチング電源15V, 超ローノイズプログラマブル可変電源キット
所感
AliExpressのボードが安いので、5000円程度で組めました。
主観ですが、そこらへんの2万程度のUSB-DACより良い音です。
アンプ周りにはしっかりとコンデンサが実装されているので『超ローノイズプログラマブル可変電源キット』はなくても良いかもしれません。
4.2 ES9038Pro バランス ヘッドフォン音源
ES9038Proを使ったバランスヘッドフォンDACが欲しかったので自作した。俺の考える最強のヘッドフォンアンプ。ただしケースは100円ショップで買ったので、すごくしょぼい。
*ヘッドフォンとのバランス接続は、GNDを繋がないバランス接続です。 DAC・AMP間のバランス接続は、GNDありの一般的なバランス接続です。
DDC : COMBO384 Amanero
DAC : ES9038Pro DAC
APM : 平衡-平衡反転アンプキット
電源: スイッチング電源5V, 超ローノイズプログラマブル可変電源キット, トランス電源
所感
総額5万ほどかかったが、とても良い音で感動した(語彙消滅)。
自分ビンボーでハイエンドオーディオを聞いたことはありませんが、おそらく5万では聞けないような音だと思います(小並感)。
リッチにトランス電源使いましたが、ぶっちゃけ『超ローノイズプログラマブル可変電源キット』でアンプ電源組んでも違いがわかりませんでした。
5 終わりに
概論だけで、具体的な話がないためふわふわとした記事ですが、自作オーディをを組むときに必要なメイン部品の解説をしました。
次は以上を踏まえて、少し具体的な記事を書きたいと思います。
質問・間違えなどありましたらコメントください!