とあるきっかけでPipedreamを使い始めたのですが、なかなか面白いサービスだったので愛用しています。
今回はPipedreamの紹介をしつつ、タイトルの通り「GitHubのアクティビティをカウント」して「Twitter上にツイートする」ということを解説してみます。
Pipedreamとは
こんなサービス
いわゆる「ワークフローPaaS」です。
サービスやPipedream本体で発生する何かしらのイベントを「トリガー」として起点と定め、他のサービスなどの処理を「アクション」として連携実行させていきます。
このアクションとトリガーのセットを「ワークフロー」として定義して、管理・実行させる基盤を提供しています。
「トリガー」「アクション」「ワークフロー」というような表現を見て想像つく方はいると思いますが、古くはIFTTTやZapier、さらにはMicrosoft Power Automateあたりと類似したサービスです。
例)「Pocketで特定のタグを付けたらSlackに投稿する」ワークフロー
画像は概要のみの表示になっていますが、Pocket側では「URLを保存した」時ではなく「特定のタグを付いた」 1 時をトリガーにしています。
また、Slack側では指定したチャンネルに対して、Saved for times by Pocket: <{{steps.trigger.event.given_url}}|URL>
というメッセージを投稿するアクションを定義しています。 2
このあたりを見ると、「Zapierに似ている?」と思うかもしれません。
少々ユニークな特徴
前述の通り類似サービスが色々とある中で、Pipedreamにはちょっと変わった特徴があります。
それは、「アクションを完全自作出来る」 という点です。
「完全自作」という表現をもうちょっと具体的に説明すると、Pipedreamにはサービス用の各種アクションに加えて、次のような自作を前提にしたアクションが存在します。
- Node.jsのプログラムを実行する(コードは自分で書く)
- Pythonのプログラムを実行する(コードは自分で書く)
- シェルスクリプトを実行する(コードは自分で書く)
これらの自作用アクションを定義してワークフローに組み込めるため、提供されているアクションではカバーできない範囲を自分の手で解決できるという、ノーコード系とFaaSの中間のようなサービスとなっています。
例)手元にある自作アクションをもとにした解説
下記のコードは、「PyPI上にあるオーナーがattakei
=自分であるパッケージのRSSフィードURLを全て取得する」というアクションです。
import httpx
from bs4 import BeautifulSoup
def handler(pd: "pipedream"):
resp = httpx.get("https://pypi.org/user/attakei/")
soup = BeautifulSoup(resp.content, "html.parser")
return {
"urls": [
f"https://pypi.org/rss{a['href']}releases.xml"
for a in soup.find("div", class_="package-list").find_all("a", class_="package-snippet")
]
}
このアクション上では、「このコードを実行する」とだけ定義されていますが、当然ながら正しく動作します。
これは、アクションの実行環境が次のことをしているためです。
- コードから
import
を検出 - 必要なサードパーティライブラリを判定
- ライブラリをインストール
- インストール後にアクションを実行
Pipedreamのワークフローを作る
ここからは記事タイトルにもあるような「GitHubのデイリーアクティビティをTwitterに報告する」ワークフローを作る流れを解説していきます。
トリガーとアクション
この手のサービスの考え方は基本的には他と変わらず、「いつ(どんな条件で)」「何を(どんな動作)」するかの設計・整理から始まります。
今回必要なことは、この1個のトリガーと2個のアクションです。
- いつ
- 毎日決まった時刻に
- 何を
- 前日のGitHubのアクティビティを集計して
- Twitter上にツイートする
トリガー: 毎日決まった時刻に処理する
「毎日ツイートする」ことが目的のため、Scheduleトリガーを利用しています。
書式に柔軟性があり、なおかつタイムゾーン指定も可能なため、特に困ること無く時間設定が出来ます。
アクション1: 対象アクティビティの取得
GitHubのアクティビティを取りたいのですが、GitHub用に提供されているアクションは「Issueを作る」「リポジトリの一覧を取得する」のようなものが中心でアクティビティを取得できません。
しかし、GitHubはGraphQL APIを提供しているため、事前にアカウント連携をした上で「GraphQLのクエリーでアクティビティを取得する」ことが可能です。
アクション内で定義しているコード全文
python_graphql_client
はサードパーティライブラリですが、当然のように自動でインストールして実行してくれます。
from datetime import date
from python_graphql_client import GraphqlClient
def get_client(token: str) -> GraphqlClient:
headers = {
"Authorization": f"Bearer {token}"
}
return GraphqlClient(endpoint="https://api.github.com/graphql", headers=headers)
def handler(pd: "pipedream"):
token = f"{pd.inputs['github']['$auth']['oauth_access_token']}"
client = get_client(token)
query = """
query($username: String!, $date: DateTime) {
user(login: $username) {
contributionsCollection(from: $date, to: $date) {
contributionCalendar {
totalContributions
weeks {
contributionDays {
contributionCount
weekday
date
}
}
}
}
}
}
"""
variables = {
"username": "attakei",
"date": date.today().strftime("%Y-%m-%dT00:00:00"),
}
result = client.execute(query=query, variables=variables)
print(result["data"])
return {
"date": date.today().strftime("%Y-%m-%d"),
"contributions": result["data"]["user"]["contributionsCollection"]["contributionCalendar"]["weeks"][0]["contributionDays"][0]["contributionCount"]
}
アクション2: ツイートする
こちらは、ありふれた処理なので最初から提供されている「Twitterにツイートする」アクションをそのまま使います。
前述のコードのhandler
関数がdate
,contributions
をキーにしているdict
を返しており、後続のアクションはそのを{{ }}
形式で利用できています。
実際に動いている記録
このワークフローは、日々安定して動作しています。
こちらは、上記画像の最下部にある11/27分のツイートです。
Twitterページの方では分かるのですが、Pipedream, Inc
経由での投稿になっています。
まとめ
IFTTTやZapierを利用したりする際にたまに発生する「この処理はLabmdaで」といったことが無く、Pipedreamで概ね完結出来る点は利用にあたってのメリットと言えるでしょう。
また、「無いなら作る」の障壁が低いため、ソフトウェアエンジニアとの親和性がより高いサービスかなというのが、使っていての感想です。