🧠ChatGPT × QA業務：観点出し・テストケース作成を自動化してみた話

はじめに

最近、「ChatGPTで観点出しできる？」という会話がQAチーム内で出たので、実際にやってみました。
この記事では、ChatGPT（GPT-4）を使って以下をどこまで自動化できるかを検証しています：

📌 仕様書からテスト観点の抽出
📌 テスト観点からテストケースの生成
📌 出力の精度と限界

想定読者

QA業務の効率化に興味のある方
LLMをQA業務で活用したいけど、どう始めたらいいか分からない方
実際に使ってみた例が知りたい方

背景：なぜChatGPTなのか？

テスト観点出しは属人化しやすく、特にプロジェクト初期は時間も取られがちです。

🧠 ドキュメントの理解力
🧠 抽象から具体への分解
🧠 柔軟な出力形式対応

こうした点で、ChatGPTの能力がかなりハマるのでは？と考えました。

今回やったこと（ざっくり）

架空の要件（ECサイトの商品購入機能）を用意
ChatGPTにプロンプトで観点出しさせる
さらにテストケースを作らせる
QAの目線でレビューして精度を評価する

準備：仕様書（例）

以下のような仕様を想定しました：

ECサイトにおいて、ユーザーは商品をカートに追加し、購入ボタンを押すとクレジットカードで決済できる。決済後は購入完了画面が表示され、登録メールアドレスに確認メールが送信される。商品は在庫がない場合はカートに入れることができない。

Step 1：観点出しプロンプト

以下の機能仕様からテスト観点を洗い出してください。
観点はカテゴリごとに分類し、「入力値」「画面表示」「エラーハンドリング」などの切り口で整理してください。

【仕様】
ECサイトにおいて、ユーザーは商品をカートに追加し、購入ボタンを押すとクレジットカードで決済できる。決済後は購入完了画面が表示され、登録メールアドレスに確認メールが送信される。商品は在庫がない場合はカートに入れることができない。

Step 2：ChatGPTの出力（観点）

📥 入力値

商品を選択してカートに追加できるか

クレジットカード番号が正しい形式で入力できるか

有効期限やセキュリティコードの形式チェック

🖥️ 画面表示

カート追加後に正しく商品が表示されるか

決済後に購入完了画面が表示されるか

在庫が0の商品は「在庫なし」と表示されているか

⚠️ エラーハンドリング

無効なカード番号を入力した場合にエラーメッセージが表示されるか

通信エラー時のリトライ表示

購入ボタンを連打した際の二重決済防止

📧 通知

購入完了時にメールが送信されるか

メール内容に購入情報が正しく記載されているか

Step 3：テストケース生成プロンプト

上記の観点を元に、1観点あたり1〜2件のテストケースを日本語で書いてください。
以下のようなフォーマットでお願いします：

【観点】
...
【テストケース】

〇〇な条件で、△△を行ったとき、□□が表示されること

Step 4：ChatGPTの出力（テストケース）

【観点】
商品を選択してカートに追加できるか

【テストケース】

任意の商品を選択し、「カートに追加」ボタンをクリックすると、カート内に商品が表示されること

【観点】
無効なカード番号を入力した場合にエラーメッセージが表示されるか

【テストケース】

クレジットカード番号に「1234」を入力して決済ボタンを押したとき、「カード番号が正しくありません」というエラーメッセージが表示されること

【観点】
購入完了時にメールが送信されるか

【テストケース】

正常に決済が完了した後、登録済みメールアドレス宛に購入確認メールが届くこと

評価：実際どうだった？

項目	評価	コメント
精度	★★★★☆	想定していた観点の8割は拾えていた
再現性	★★★★☆	プロンプトを整えると安定して出力される
カスタマイズ性	★★★★★	出力形式・粒度はプロンプト次第で柔軟に調整可能
注意点	★★★☆☆	ユーザー視点・ネガティブケースがやや弱い傾向あり

よかったこと／課題

👍 よかった点

観点の初期ドラフトを超高速で作成できる
チームで観点を共有する「たたき台」として超便利
教育用としても使える（「なぜこの観点があるのか？」を考える練習に）

👎 課題

QA経験が浅いと、生成内容をそのまま信じがち
ユーザーストーリーや業務フローを含んだ仕様になると精度が下がる
非機能観点（性能・セキュリティなど）の補完が必要

まとめ

ChatGPTを活用すれば、観点出しとテストケース作成の「初動作業」を大幅に効率化できます。
もちろん人間のレビューは必要ですが、手戻りを減らし、より思考的なQA活動に時間を使えるようになります。

今後は以下も試してみたいと考えています：

NotionやExcel連携での運用自動化
LLMに過去のバグ分析を学習させて“抜けやすい観点”を提案させる
負荷テスト観点やアクセシビリティの自動抽出

おわりに

この記事が、QA業務へのAI活用のヒントになれば嬉しいです！

「こういう仕様でもやってみてほしい」
「社内で導入したいけど、もっと事例が知りたい」

などあれば、ぜひコメント・LGTM・フォローお願いします！

補足：使ったモデル・環境

モデル：ChatGPT（GPT-4 Turbo）
ツール：ChatGPT Web（OpenAI公式）
プロンプト調整回数：約5回
所要時間：全体で約30分程度（精査含まず）