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『限りある時間の使い方』を読んだ感想

Last updated at Posted at 2022-11-24

限りある時間の使い方

『限りある時間の使い方』を読んで、
各章で印象に残った内容と感想を残しておく。

イントロダクション

「長い目で見れば、僕たちはみんな死んでいる」という衝撃的なタイトルで始まるこの本。

80歳~100歳まで生きても、私たちが生きる時間はたった4000~5000週間程度だという。

この限られた時間を有効に活用することができず、「もっと充実した時間の使い方があるのではないか、この道は本当に正しいのか」と不安になり、タイムマネジメント本やライフハックに関する本を読み漁る日々。また、学生の頃は本の虫だったのに、仕事や子育てに追われなかなか手が付けられない。ようやく時間が出来て、読み始めてもひと段落を終える前にスマホに手が伸びて貴重な時間をつぶし自己嫌悪に陥る。

これらの悩みはすべて時間が有限であるからだ。時間が無限にあるのならば、ゆっくりと全部やっていけばいい。では、これらの問題を解決するために、仕事やタスクの生産性を上げるといいのではないか?と考える。しかしこの本では、「生産性は罠だ」と言っており、生産性を上げて爆速で仕事をこなしても、ベルトコンベアーのように次から次へとタスクが舞い込んでくる。

すべてをやり終えて、完璧に効率化された自分が、本当にやりたいことをやり始める。そんな日は来ないという。また、それはとてもいい知らせだという。

1章 現実を直視する

  • 中世では、時間の概念がなかった。時間の概念がなかったため、その時々を体験し、時間に追われることはなかった。
  • 時計が発明されてからは、時間が資源となり、時間という物差しで様々なものを図るようになった。人々は時間を「使う」ようになり、時間をどう効率的に使うか考えるようになった。

2章 効率化ツールが逆効果になる理由

  • どうでも良い些細なタスクを片付けていってるうちに一日が終わり、重要なタスクは山のように積みあがっていく。
  • すべてを片付けた後に、ようやく自分の時間を使えると思っても、一生自分の時間は来ない。
  • どんなに効率化して作業を速めても、今まで以上のタスクが舞い込んでくるだけであり、時間は決して余らない。これが効率化の罠である。

3章 「時間がある」という概念を疑う

  • 楽しいことをすべて体験したいという衝動に打ち勝ち、すべてを体験するのは不可能だという現実を受け入れる。
  • 何かを選択できるということ自体が、すでに奇跡的なことである。
  • 本当はなかったかもしれない貴重な時間の過ごし方を、自分自身で選び取った結果
  • 決められた時間の中で「あれ」でなく「これ」をする、という前向きなコミットメント

4章 可能性を狭めると自由になれる

  • タスクを上手に減らす3つの原則
  1. まず自分の取り分を取っておく
     自分のやりたいことができる作業時間を予定に入れておく。

  2. 「進行中」の仕事を制限する
     進行中の仕事を3つまでに制限する

  3. 優先度「中」を捨てる。
     作業を洗い出し、優先度をつける。4位以下を捨てる。

  • 選択肢を減らして可能性を狭める方が自由になれる。
  • 多数の選択肢を捨てて、思い切って一つを選ぶ

5章 注意力を自分の手に取り戻す

  • 何に注目するかによって、その人の現実が決まる。
  • 意味のある体験をするには、その体験に注意を向けなければならない。

  注意を向けていないことは、起こっていないのと同じことだから。

  →読書で内容が入ってこない。

6章 本当の敵は自分の内側にいる

  • 僕たちの邪魔をするのは、気晴らしの対象ではなく、嫌な現実から逃れたいという、僕たち自身の欲求である。
  • 自分は万能ではなく、無力な人間であることを受け入れたとき、苦しみは軽くなり、地に足ついた開放感が得られる。

  →難しいタスクをやり遂げるには、完璧に没頭できる状態を夢見るよりも、嫌な気持ちをそのまま認めるべきである。

7章 時間と戦っても勝ち目はない

  • 『ホフスタッターの法則』とは、「人は最初に計画した通りに物事は進まない」

例として、シドニーオペラハウスの建設は余裕を持って4年計画したが、実際のところ14年かかった。

  • 未来を確実なものにしたい(コントロールしたい)という願いから、先のことを心配するが、その態度こそ、自分の限界を認めない悪いくせである。どんなに未来を心配しても時間との戦いには勝てない。
  • 計画を立てるのは悪いことではない。問題は、今この時点で確実に知りたいと考える心理が、不安を生む。
  • 未来をコントロールしたいという執着を手放して、「何が起ころうと気にしない」生き方をする。それは未来が自分の思い通りになることを求めず、物事が期待通りに進むかどうかに一喜一憂しない生き方。そうすることで、不安から解放され、今を生きることができる。

8章 人生には「今」しか存在しない

  • 「時間をうまく使おう」という考えは、今を理想的な未来に辿り付くための単なる通過点になってしまう。(そんな未来は実際には永遠にはこない)
  • 大英博物館でロゼッタストーンを目の前にして、スマホばかりみる行為は、今まさに生きている人生をSNSにアップするための準備に使っている例である。

  →このような未来思考の態度は、「いつか何かをしたら」という考えにつながりやすい。

   例:「いつか仕事が落ち着いたら」「いつか素敵な人に出会ったら」等

  • 「いつか何かをしたら」というマインドの人は、まだ大事なことが達成されていないせいで現在の自分が満たされないのだと考える。この考えは現在を永遠に先延ばしにする考え方である。
  • 子供の将来のために役立つことしか考えない人がほとんど。(どうすれば将来幸せになるか、できる子になるか、稼ぐ大人になるか)
  • 小話:

  メキシコの漁師が一日に2〜3時間しか働かず、太陽の下でワインを飲んだり、友達と楽器を演奏したりして過ごしている。

それを見て愕然としたアメリカ人のビジネスマンはこんなアドバイスをする。「もっとたくさん働きなさい、そうすれば利益で大きな漁船をたくさん買って、他人を雇って漁をさせ、何百万ドルも稼いでさっさと引退することができる」

それを聞いた漁師は「引退して何をするっていうんだ?」と尋ねる

ビジネスマンはそれに答えていう。「太陽の下でワインを飲んだり、友達と楽器を演奏したりできるじゃないか」

9章 失われた余暇を取り戻す

  • 休日を増やそう、労働時間を短縮しようという考えや要求が増えてきた。でもその要求を裏付ける理屈は、「充分に休息をとった方が生産的に働ける」というもの。なぜ余暇に「仕事のため」という言い訳が必要なのか?
  • 私たちは休みを「有意義に使う」とか「無駄にする」という考えをする。将来に向けて何らかの価値を生み出さないものは、全て単なる怠惰でしかないと。でも本当は、余暇を「無駄に」過ごすことこそ、余暇を無駄にしないための唯一の方法なのではないか。

10章 忙しさへの依存を手放す

  • 世界はどんどん加速し、私たちは超人的なスピードで動くことを期待されている。その速度に追いつけなければ、幸せもお金を手に入らない気がする。自分が置いていかれないかと怖くなり、安心感が欲しくてもっと速く動こうとする。
  • 自分の無力さを認めて、不可能を可能にする無駄な取り組みと放棄したとき、人は実際に可能なことに取り組むことができる。まず現実を直視し、それからゆっくりと生産的で充実した生き方に向けて歩き出す。

11章 留まることで見えてくるもの

  • 「わからないという不快感にさえ耐えれば、解決策が見えてくる」

  例:37歳まで自分のことを機械おんちだと思っていたペック。ある日隣人が芝刈り機を修理しているところに出くわした。「すごいですね。そんなものを修理するなんて私には絶対無理ですよ。」すると隣人はこう答えた。「そりゃ、あんたが時間をかけてないからでしょう。」

  • 忍耐を身につける3つのルール
  1. 「問題がある」状態を楽しむ  
      いつか「何も問題のない状態」に到達できるのではないかという幻想を捨てる。

  2. 小さな行動を着実に繰り返す
      コツコツ毎日続けること。途中で思い切って止めること。

  3. オリジナルは模倣から生まれる
      平凡な道が平凡に終わるだけでなく、到達地点には豊で独創的な境地が待っている。

12章 時間をシェアすると豊かになれる

  • 自分のスケジュールを緩めて、ルーティーンを崩して、家族や友人、地域の人たちと一緒に行動してみよう。すると、時間のコントロールを独占するのが最前の策ではないことに気づくかもしれない。

13章 ちっぽけな自分を受け入れる

  • 「本当に大事なことだけをする」という考え方には落とし穴がある。あまり大きな理想を抱くと、人は動けなくなってしまう。こんなことをしている場合じゃない、もっと有意義な時間の使い方を見つけなければと。

14章 暗闇の中で一歩を踏み出す

  • 時間を支配しようとする態度こそ、僕たちが時間に苦しめられる原因である。
  • 人生を生きはじめるための5つの質問
  1. 生活や仕事の中で、ちょっとした不快に耐えるのが嫌で、楽な方に逃げている部分はないか?
      「この選択は自分を小さくするか、大きくするか」の基準で判断する

  2. 達成不可能なほどの高い基準で自分の生産性やパフォーマンスを判断していないか?
      誰も達成できないような基準を自分に課すのは暴力的な行為。重要なタスクだけ拾い上げる

  3. ありのままの自分ではなく「あるべき自分」に縛られているのはどんな部分だろうか?
      「こうあるべき」というプレッシャーから自由になれば、今いる自分と向きあることができる

  4. まだ自信がないからと、尻込みしている分野は何か?
      今はまだ経験を積む段階だ。そう思っているうちに大事な時間は少なくなる。何においてもずっと手探りだ。

  5. もしも行動の結果を気にしなくてよかったら、どんなふうに日々を過ごしたいか?
      「結果を知りようがない」という事実を受け入れたなら、今日できる重要なことは、一体なんだろう。

感想

自分の価値観が変わる本だった。今までの自分は常に未来志向で、将来どうなりたいから今辛くても頑張るという考えを持っていた。

ただ、子供が0歳の期間は一年しかないし、今現在は常に一瞬しかない。今を無駄にすると二度とその時間は帰ってこない。

将来の「何か」のために「今」を犠牲にする考えや生き方はやめよう。「できるようになったら」や「経験を積んだら」やろうと考えていたことが結構あったが、これからは、ちっぽけな自分を認め、手探りでもやってみることを意識していきたい。

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