GitとSVNの違いとは?基本構造、ブランチ管理、マージの仕方まで詳しく解説
こんにちは!今回は多くの開発者にとって重要なテーマである「GitとSVNの違い」について詳しく解説していきます。バージョン管理システムの選択は開発プロジェクトの効率性や柔軟性に大きく影響します。この記事を読むことで、あなたのプロジェクトに最適なバージョン管理システムを選ぶ手助けになるでしょう。
更新日: 2025年5月1日
目次
- GitとSVNの違いとは?基本構造、ブランチ管理、マージの仕方まで詳しく解説
- GitとSVNの違い。
- GitとSVNの違い② ブランチ
- 開発における Gitの役割
- SVNを捨ててGitを使うべき5つの理由
- Gitのデメリット(あるいは導入コストについて)
- SVNのメリット
- git-svnを使ってSVNをGitで扱う方法
- SVNからGitへの移行方法
- 結論:どちらを選ぶべきか?
- よくある質問
GitとSVNの違い
バージョン管理システムを選ぶ際に最も重要な点は、その基本的な構造を理解することです。GitとSVNは根本的に異なるアプローチを持っており、それぞれのツールの特性やワークフローに大きく影響しています。
GitとSVNの違い① 構造的な面
GitとSVNの最も基本的な違いは、そのアーキテクチャにあります。SVNは「集中型バージョン管理システム(Centralized Version Control System: CVCS)」であるのに対し、Gitは「分散型バージョン管理システム(Distributed Version Control System: DVCS)」です。この違いは単なる技術的な差異を超えて、開発フローや協業方法に大きな影響を与えています。
SVNは集中型バージョン管理であるのに対し、Gitは分散型バージョン管理
SVN(集中型バージョン管理)の特徴
SVNでは、すべてのバージョン履歴が中央サーバー上の単一のリポジトリに保存されています。開発者がファイルを編集する際には以下の方法をとります。
- サーバーから最新のファイルを取得(checkout/update)
- ローカルで変更を加える
- 変更をサーバーに送信(commit)
このモデルの最大の特徴は以下の通りです。
- 常にサーバー接続が必要: コミットやバージョン履歴の閲覧にはサーバーへの接続が必須です
- 単一の信頼できる情報源: 中央リポジトリが唯一の「正解」となります
- シンプルな概念: 理解しやすく、直感的な操作が特徴です
- アクセス制御が容易: 中央サーバーで一元的に管理できます
[開発者A] [開発者B] [開発者C]
│ │ │
▼ ▼ ▼
│ │ │
└───────┬───────┘───────┬───────┘
│ │
▼ ▼
[中央SVNサーバー]
Git(分散型バージョン管理)の特徴
Gitでは、各開発者のマシンにリポジトリの完全なコピー(クローン)が存在します。開発者がファイルを編集する際には以下の方法をとります。
- オフラインでも作業可能(コミット、ブランチ切り替えなど)
- 各開発者が完全な履歴を持つ
- 変更の同期は「プッシュ/プル」操作で行う
このモデルの最大の特徴は:
- オフライン作業が可能: サーバー接続なしでコミットや履歴の閲覧ができます
- 分散された信頼性: サーバーダウンしても各開発者のリポジトリから復元可能です
- 複雑ながら柔軟: より高度な操作が可能です
- 高速な操作: ほとんどの操作がローカルで完結するため速いです
[開発者A] [開発者B] [開発者C]
│ │ │
▼ ▼ ▼
[Gitリポジトリ] ⟷ [Gitリポジトリ] ⟷ [Gitリポジトリ]
▲ ▲ ▲
│ │ │
└────────┬─────────┘────────┬─────────┘
│ │
▼ ▼
[共有リモートリポジトリ]
(GitHub, GitLab等)
この構造の違いにより、Gitでは:
- コミットやブランチ操作がSVNより一般的で、日常的に使用されます
- 個々の開発者に大きな自由度と責任が与えられます
- より複雑なワークフローが可能になります
- オフライン環境での作業効率が圧倒的に高くなります
次のセクションでは、この構造の違いがブランチの扱いにどのように影響するかを見ていきましょう。
GitとSVNの違い② ブランチ
ブランチ機能は現代の開発ワークフローにおいて非常に重要な要素です。GitとSVNではブランチの概念と実装方法が根本的に異なります。
GitとSVNのブランチ作成の違い
SVNのブランチ
SVNでは、ブランチはリポジトリの別のディレクトリとして作成されます。具体的には:
- ブランチは実質的にファイルのコピーです
- 通常、
/branches/
ディレクトリ内に作成されます - 作成時にサーバーへの接続が必要です
- サーバー側でスペースを消費します
SVNでブランチを作成するコマンド例:
svn copy http://svn.example.com/repos/trunk http://svn.example.com/repos/branches/my-branch -m "Creating a new branch"
Gitのブランチ
対照的に、Gitのブランチはとても軽量であり:
- ブランチは単なる「コミットを指すポインタ」です
- ローカルで即座に作成可能です
- サーバー接続は不要です
- 作成コストがほぼゼロであるため、頻繁に使用できます
Gitでブランチを作成するコマンド例:
git branch my-branch
git checkout my-branch
# または一行で
git checkout -b my-branch
この違いは単なる技術的な実装の差ではなく、ブランチの使い方そのものに大きな影響を与えています。
GitとSVNの違い③ ブランチ運用
SVNにおけるブランチ運用
SVNでは、ブランチ作成にコストがかかるため:
- 長期的なブランチが一般的です(リリースブランチなど)
- ブランチの数は比較的少なく保たれます
- 機能単位の小さなブランチはあまり使われません
- マージが複雑で時間のかかる場合があります
Gitにおけるブランチ運用
Gitでは、ブランチが極めて軽量であるため:
- 「機能ブランチ」という概念が一般的です
- 各機能や修正ごとに独立したブランチを作成
- 完了後にメインブランチへマージ
- トピックブランチ(短期間の実験的な変更)も容易に作成可能
- プルリクエスト/マージリクエストによるコードレビュープロセスと相性が良い
- ブランチのマージも比較的簡単(自動マージ機能が強力)
これにより、Gitでは「Git Flow」や「GitHub Flow」などの洗練されたブランチ戦略が発展しました。これらの戦略は、多人数での協業や複雑なプロジェクトの管理を効率化します。
例えば、典型的なGitワークフローでは:
- 機能開発用のブランチを作成
- ローカルで変更を複数回コミット
- リモートにプッシュ
- プルリクエストを通じてコードレビュー
- メインブランチにマージ
このプロセスが、ブランチの作成とマージのコストが低いGitではかなりスムーズに行えます。
開発における Gitの役割
現代のソフトウェア開発において、Gitはもはや単なるバージョン管理ツールを超えた存在になっています。特に以下の点で開発プロセス全体に大きく貢献しています:
継続的インテグレーション/継続的デリバリー(CI/CD)との統合
Gitは現代のCI/CDパイプラインと密接に連携します:
- GitHubやGitLabなどのプラットフォームは組み込みのCI/CD機能を提供
- コミットやブランチへの変更をトリガーにして自動テストやデプロイが実行可能
- ブランチ戦略とデプロイ戦略を統合しやすい
チーム協業の促進
Gitは複数の開発者が並行して効率的に作業するための仕組みを提供します:
- プルリクエスト/マージリクエストによるコードレビュー文化
- ブランチを活用した並行開発
- コンフリクト解決のためのツールが充実
変更の追跡と品質管理
Gitは変更履歴の管理に優れており:
-
git blame
や各種ログ表示機能による変更の追跡 - コミットメッセージによる変更理由の記録
- 問題発生時の原因特定と修正が容易
これらの特性から、Gitは単なるコード保存ツールではなく、開発プロセス全体を形作る重要な要素となっています。
SVNを捨ててGitを使うべき5つの理由
SVNからGitへの移行を検討している方のために、明確な理由を5つご紹介します。
1.ローカルコミットができる
SVNの最大の制限の一つは、コミットするたびにサーバー接続が必要な点です。これは以下のような状況で問題になります:
- インターネット接続が不安定または存在しない環境での作業
- サーバーメンテナンス中の作業
- 小さな変更を繰り返し保存したい場合
Gitでは、すべてのコミットがまずローカルリポジトリに保存されるため:
- オフラインでも複数の変更を個別に記録可能
- 「作業の区切り」ごとにコミットできる
- 後でまとめてサーバーに同期できる
これにより、より細かい単位での作業管理と、中間段階の記録が可能になります。例えば、ある機能の実装中に複数のコミットを作成し、後でリモートリポジトリにプッシュするといった使い方ができます。
2.ブランチが簡単に切れる
先述のブランチの違いは、実際の開発作業に大きな影響を与えます:
なぜブランチが必要なのか?
ブランチは以下のようなシナリオで不可欠です:
- 複数の機能を並行して開発する場合
- 本番環境に影響を与えずに実験的な変更を試す場合
- リリース準備中に新機能の開発を続ける場合
SVNでもブランチは可能ですが、Gitでは圧倒的に容易であり、「ブランチを作るコスト」がほぼゼロです。これにより:
- 小さな変更でもブランチを気軽に作成できる
- 個人の作業用ブランチ、機能ごとのブランチなど、多様なブランチ戦略が採用しやすい
- 不要になったブランチの削除も簡単
実際、Gitでは「ブランチを作らない理由がない」ほど、ブランチの作成と管理が容易になっています。
3.機能が充実し、操作体系も洗練されている
Gitは長年の進化を経て、開発者のニーズに応える多くの機能を備えています:
-
git stash
: 作業中の変更を一時的に退避 -
git cherry-pick
: 特定のコミットだけを取り込む -
git rebase
: コミット履歴の整理と再構成 -
git bisect
: バグの原因となったコミットの特定 - インタラクティブな操作(
git add -i
,git rebase -i
など)
また、サードパーティのGUIツールも豊富に存在し、コマンドラインが苦手な開発者でも直感的に操作できます。
4.GitHubやBitbucketが利用できる
GitとGitHubやBitbucketなどのWebホスティングサービスの組み合わせは、SVNにはない価値を提供します:
- プルリクエスト/マージリクエストによるコードレビュー
- イシュートラッキングとの統合
- CI/CDパイプラインとの連携
- コードの可視性とドキュメント(Wiki、README等)
- チーム間のコラボレーションツール
これらのプラットフォームはGitを基盤としており、SVNでは利用できないか、利用しにくい機能が多数あります。
5.世界の標準はGit
現在、ソフトウェア開発の世界ではGitが事実上の標準となっています:
- 主要なオープンソースプロジェクトのほとんどがGitを使用
- 新しい開発ツールやプラットフォームはGitとの統合を前提に設計されている
- 就職・転職市場ではGitのスキルが求められることが多い
- 技術文書やチュートリアルもGit前提のものが多い
この「エコシステム」の一部になることで、多くのツールやリソースを活用できます。また、将来の開発者の採用や外部との協業もスムーズになるでしょう。
Gitのデメリット(あるいは導入コストについて)
Gitの多くのメリットがある一方で、SVNからの移行を検討する際には以下のデメリットやコストも考慮する必要があります。
1. Gitの学習コストが発生する
Gitは非常にパワフルな反面、特に初学者にとっては学習曲線が急な場合があります:
- 概念モデルがSVNと大きく異なる(特に分散型の概念)
- コマンドの数が多く、オプションも豊富
- 同じ機能を実現するための方法が複数存在する場合がある
- エラーメッセージが時に分かりにくい
チーム全体でGitに移行する場合、トレーニングやサポート体制の整備が必要になります。特に:
- 基本的な操作に関するハンズオントレーニング
- よくあるトラブルとその解決方法のドキュメント化
- 初期段階でのサポート担当者の配置
また、Gitの学習には実際にトラブルに直面し、それを解決する経験も重要です。初期段階では以下のような問題に直面することがあります:
- マージコンフリクトの解決
- 誤ったコミットの修正
- リモートリポジトリとの同期問題
これらの問題は、適切なガイダンスがあれば乗り越えられますが、導入初期のチームの生産性低下を予想しておく必要があります。
2. 既存のSVNリポジトリとの連携
多くの組織では、すべてのプロジェクトを一度にGitに移行することは現実的ではありません。そのため、過渡期には以下のような課題が生じます:
- SVNとGitの両方を並行して使用する必要がある
- レガシーなSVNリポジトリとの連携方法を確立する必要がある
- 開発者が両方のシステムを使い分ける負担
この問題に対しては、後述する「git-svn」のようなツールが役立ちますが、完全な解決策とはならない場合もあります。移行計画では以下の点を考慮すべきです:
- 段階的な移行スケジュール
- 連携ツールの導入と使い方の教育
- 最終的な移行完了の目標設定
3. 費用あるいは導入コストが発生する可能性
Gitリポジトリをホストするためのインフラやサービスには、以下のようなコストがかかる場合があります:
- GitHubやGitLabなどの商用サービスのサブスクリプション料金(特にプライベートリポジトリやエンタープライズ機能を使用する場合)
- 社内にGitサーバーを構築・維持するためのコスト
- 既存のCI/CDパイプラインやデプロイメントフローの再構築
また、間接的なコストとしては:
- 移行作業に伴う開発リソースの割り当て
- トレーニングや教育のためのコスト
- 移行期間中の生産性の一時的な低下
これらのコストは長期的なメリットと比較して評価する必要があります。多くの場合、これらの初期投資は、Gitがもたらす効率化や機能強化によって相殺されると考えられます。
SVNのメリット
ここまでGitのメリットについて多く触れてきましたが、SVNにも以下のような独自のメリットがあります:
シンプルな概念と操作
SVNは集中型のモデルを採用しており、その概念がシンプルであるため:
- 初心者にとって学習ハードルが低い
- 基本的な操作(checkout, update, commit)が直感的
- 余計な複雑さがなく、必要最小限の機能に集中している
これは特に、バージョン管理の経験が少ないチームメンバーがいる場合や、非開発者(デザイナーなど)もリポジトリを利用する必要がある場合に重要です。
大規模バイナリファイルの扱いが容易
SVNは特に以下のような場合に強みを発揮します:
- 大きなバイナリファイル(デザインアセットなど)を扱うプロジェクト
- 特定のファイルだけを部分的にチェックアウトしたい場合
- 大規模なリポジトリの一部だけを操作したい場合
Gitは基本的にリポジトリ全体のクローンを前提としているため、巨大なバイナリファイルを含むリポジトリの管理は難しい場合があります(ただしGit LFSなどの拡張機能で対応可能です)。
アクセス制御の細かな管理
SVNでは、中央サーバーでのアクセス制御が直接的であり:
- リポジトリの特定のディレクトリごとに権限設定が可能
- 読み取り/書き込みアクセスをきめ細かく制御できる
- 既存の認証システムとの統合が比較的容易
対してGitでは、分散型の性質上、このような細かなアクセス制御は複雑になります(主にGitHubやGitLabなどのホスティングサービスのレベルで実装される機能となります)。
既存のワークフローとの統合
長年SVNを使用してきた組織では、以下のような既存のシステムがSVNに最適化されている場合があります:
- ビルドシステムやCI/CDパイプライン
- チケット管理システムとの連携
- 自動化スクリプトやデプロイメントプロセス
これらのシステムをGitに対応させるには追加の作業が必要になり、その移行コストが高い場合はSVNを継続使用する理由になり得ます。
git-svnを使ってSVNをGitで扱う方法
完全な移行が難しい場合や、SVNリポジトリを使い続ける必要がある環境でも、Gitの利点を活かす方法があります。それがgit-svn
です。
git-svnの基本的な使い方
git-svn
は、GitとSVNの橋渡しをするツールです。これにより、SVNリポジトリをローカルではGitとして扱い、リモートではSVNサーバーと通信することができます。
準備
通常のGitインストールにはgit-svnが含まれていますが、追加の依存関係があります:
# Ubuntuの場合
sudo apt-get install git-svn
# MacOSの場合
brew install git-svn
# Windowsの場合(Git for Windowsに含まれています)
SVNリポジトリのクローン
SVNリポジトリをGitリポジトリとしてクローンするには:
# 標準的なSVNレイアウト(trunk, branches, tags)の場合
git svn clone http://svn.example.com/project -s
# 標準的でないレイアウトの場合
git svn clone http://svn.example.com/project/trunk project
これにより、SVNの履歴を含むGitリポジトリが作成されます。各SVNコミットはGitコミットに変換されます。
標準的なSVNレイアウトでは、-s
オプションによって:
-
trunk
がmaster
ブランチに -
branches/X
がX
ブランチに -
tags/X
がtags/X
タグに
それぞれマッピングされます。
SVNリポジトリの変更を取り込む
SVNリポジトリの最新の変更を取り込むには:
git svn rebase
これは基本的に:
- ローカルの変更を一時的に退避
- SVNからの新しい変更を取得
- ローカルの変更を新しいベース上に再適用
という処理を行います。これはgit pull --rebase
に相当しますが、SVNリポジトリを対象としています。
SVNリポジトリにコミットする
ローカルでの作業(複数のコミットを含む)をSVNリポジトリにコミットするには:
# 変更をSVNに送信(個々のGitコミットがSVNコミットになります)
git svn dcommit
dcommit
は各Gitコミットを個別のSVNコミットとして送信します。これにより:
- Gitのローカルコミットの利点を活かしながらSVNと連携できる
- オフラインで作業し、オンラインになったときにまとめて同期できる
- Gitブランチを使用した後、SVNにコミットできる
ただし、注意点もあります:
- SVNのブランチ/タグ操作は複雑になる場合がある
- コミット履歴がSVNとGitで完全に一致するわけではない
- マージの扱いがSVNとGitで異なるため、複雑な状況では問題が生じる可能性がある
git-svnは移行期間中や、SVNを使用している組織でGitの利点を部分的に活用するための良い選択肢です。ただし、長期的にはチーム全体がGitに移行することで、より多くのメリットを享受できます。
SVNからGitへの移行方法
SVNからGitへの完全移行を決断した場合、以下のステップで履歴を保持したままの移行が可能です。
1. 移行環境の準備
移行作業を始める前に、必要なツールをインストールします:
# Ubuntuの場合
sudo apt-get install git git-svn
# MacOSの場合
brew install git git-svn
# Windowsの場合は、Git for Windowsとともにgit-svnがインストールされます
また、SVNの作者情報をGitの形式に変換するための「作者マッピングファイル」を準備します:
# SVNの作者リストを抽出
svn log -q http://svn.example.com/repos | grep -E "r[0-9]+ \| .+ \|" | cut -d"|" -f2 | sort -u > authors.txt
このファイルを編集して、各SVNユーザーに対応するGitユーザー情報を設定します:
username = Full Name <email@example.com>
another-user = Another Name <another@example.com>
2. SVNリポジトリをGitに変換する
次に、SVNリポジトリをGitリポジトリに変換します:
# 標準的なSVNレイアウト(trunk, branches, tags)の場合
git svn clone http://svn.example.com/repos --authors-file=authors.txt --stdlayout --prefix=svn/ -s my-git-repo
# タグをGitタグに変換
cd my-git-repo
git for-each-ref refs/remotes/svn/tags --format='%(refname:short)' | \
while read ref; do
name="${ref#svn/tags/}"
git tag "$name" "refs/remotes/$ref"
git branch -D -r "$ref"
done
# SVNのブランチをGitブランチに変換
git for-each-ref refs/remotes --format='%(refname:short)' | \
grep -v "svn/tags/" | grep -v "svn/trunk" | \
while read ref; do
name="${ref#svn/}"
git branch "$name" "refs/remotes/$ref"
git branch -D -r "$ref"
done
# trunkをmasterに設定
git branch -D -r svn/trunk
git checkout master
このプロセスでは:
- SVNリポジトリをクローンし、コミット履歴を保持
- SVNのタグをGitのタグに変換
- SVNのブランチをGitのブランチに変換
- masterブランチを設定
3. Gitリポジトリのクリーンアップとプッシュ
変換されたGitリポジトリをクリーンアップして、新しいGitサーバーにプッシュします:
# SVN固有の情報をクリーンアップ
rm -rf .git/svn
# 新しいGitリモートリポジトリを設定
git remote add origin https://github.com/username/new-repo.git
# プッシュ
git push -u origin --all
git push --tags
これで、コミット履歴、ブランチ、タグを含むSVNリポジトリ全体がGitリポジトリに移行されました。
移行後には以下の点を確認することをお勧めします:
- すべてのブランチとタグが正しく移行されているか
- コミット履歴が適切に保持されているか
- ファイルの内容が正確に移行されているか
また、移行完了後、チームメンバーに以下の情報を提供する必要があります:
- 新しいGitリポジトリのURL
- 基本的なGitコマンドとワークフローの説明
- 従来のSVNワークフローとの違いについての解説
- 移行期間中のサポート体制
移行はプロジェクトの規模や複雑さによって難易度が変わります。大規模プロジェクトの場合は、テスト移行を行い、問題がないことを確認してから本番移行することをお勧めします。
結論:どちらを選ぶべきか?
これまでGitとSVNの違い、それぞれのメリット・デメリット、移行方法について解説してきました。では、実際にはどちらを選ぶべきでしょうか?
新規プロジェクトの場合
新しいプロジェクトを始める場合、特別な理由がない限りGitを選択することをお勧めします:
- モダンな開発プラクティスとの親和性が高い
- GitHub/GitLabなどのエコシステムを活用できる
- 開発者の採用・育成の観点からも有利
- 将来的な拡張性や柔軟性が高い
既存のSVNプロジェクトの場合
すでにSVNを使用しているプロジェクトの場合は、以下の要因を考慮して決定すべきです:
Gitへの移行が有利なケース:
- プロジェクトが長期的に継続する見込み
- 開発チームの規模が大きい、または拡大する予定
- モダンな開発プラクティス(CI/CD、マイクロサービスなど)を導入したい
- オフライン作業や分散開発の必要性が高い
SVNを継続使用すべきケース:
- プロジェクトの終了が近い
- チームが小規模で、SVNに慣れている
- 大量のバイナリファイルを扱うプロジェクト
- SVNに依存する既存のワークフローやツールが多数ある
折衷案としてのgit-svn
移行コストが高すぎる場合や、すぐには完全移行できない場合は、前述のgit-svn
を活用する折衷案も検討できます:
- 開発者はローカルでGitの利点を活用
- サーバー側ではSVNを継続使用
- 段階的な移行の足がかりとして活用
いずれの場合も、チームのニーズや組織の状況を慎重に評価し、長期的な視点での判断が重要です。バージョン管理システムの選択は、単なるツールの選択以上に、開発プロセス全体に影響を与える重要な決断です。
よくある質問
Q: GitとSVNはどちらが人気がありますか?
A: 現在のソフトウェア開発業界では、Gitが圧倒的に高いシェアを持っています。特に新規プロジェクトではGitが標準的な選択肢となっています。Stack Overflowの調査によると、開発者の90%以上がGitを使用しているというデータもあります。
Q: GitとSVNどちらが学習が簡単ですか?
A: 基本的な操作だけを考えると、SVNの方が学習が容易です。概念がシンプルで直感的であり、コマンドも少ないためです。Gitは概念的に複雑であり、コマンドやオプションも多いため、習得に時間がかかる傾向があります。ただし、基本的な使い方だけなら、GUIツールを使用することで学習曲線を緩やかにすることが可能です。
Q: 大規模なプロジェクトではどちらが適していますか?
A: 大規模プロジェクトでは一般的にGitの方が適しています。特に、多数の開発者が並行して作業する場合、ブランチを多用する場合、地理的に分散したチームで作業する場合などはGitの強みが活きます。ただし、非常に大きなバイナリファイルが多数含まれるプロジェクトでは、SVNの方が扱いやすい場合もあります(Gitの場合はGit LFSなどの拡張が必要になります)。
Q: SVNからGitへの移行にはどれくらいの時間がかかりますか?
A: プロジェクトの規模、履歴の量、ブランチ構造の複雑さによって大きく異なります。小規模なプロジェクトであれば数時間で完了することもありますが、大規模なプロジェクトでは数日から数週間かかることもあります。また、技術的な移行だけでなく、チームのトレーニングやワークフローの調整なども含めると、完全な移行完了までさらに時間がかかる場合があります。
Q: オープンソースプロジェクトではどちらが適していますか?
A: オープンソースプロジェクトでは、Gitが圧倒的に適しています。GitHubやGitLabなどのプラットフォームとの統合、フォークとプルリクエストによるコントリビューションの容易さ、分散型である利点(各開発者が完全なリポジトリコピーを持てる)などの理由から、現在のほとんどのオープンソースプロジェクトはGitを採用しています。
Q: 個人プロジェクトではどちらがおすすめですか?
A: 個人プロジェクトでも、将来的な拡張性や業界標準との互換性を考えると、Gitをおすすめします。特に、GitHubやGitLabを使用すれば、無料でプライベートリポジトリを作成できるため、個人プロジェクトでも高度なバージョン管理と、必要に応じて他者との共有を簡単に行うことができます。
この記事を通して、GitとSVNの違い、それぞれの特徴、そして選択・移行の際の考慮点について理解を深めていただけたことを願っています。バージョン管理システムの選択は開発プロセス全体に大きな影響を与えるため、プロジェクトの性質や組織の状況に合わせて最適な選択をしましょう。