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集合の濃度について

Last updated at Posted at 2017-12-30

集合の濃度

$A$から$\{ 1, 2, \ldots, n\}$ ($=[n]$ とおく) $(n \in \mathbb{N}, n \geq 0)$への全単射が存在する時, $\#A = n$と定める. $\# A \in \mathbb{N}$のとき, $A$は有限であると云う。

$A$から$\mathbb{N}$への全単射が存在するとき, $A$は可算無限であるといい、 $\#A = \aleph_0$と記す。

$A$が有限または可算無限なら$A$は高々可算であるといい、$\#A \leq \aleph_0$と記す。

気になること

  1. 有限な集合と対応づける $[n]$ は絶対に1から開始?
  2. 加算無限な集合$A$に出てくる$\aleph_0$は要は、無限個ってこと?$A$はすべてに写像先があるということで。

解答

1.

数学的に定義をひとつ決める上で$n$元集合の代表として$\{1,\ldots,n\}$をとってるだけなので、本質的には存在が保証されている$n$元集合なら$\{a,b,c,\ldots\}$でもなんでもよいです。

2.

無限の中で最も小さいのが可算無限です。これより大きい無限もあって、それらはひっくるめて非可算無限と言われます。
可算と呼ばれる由来は漢字の通り自然数で番号付けて数えられる無限ということです。実数は自然数で番号付けられない(Cantorの対角線論法)ので非可算ですね。

集合論の公理として冪集合の公理(集合$X$の部分集合全体$\mathfrak{P}(X)=2^X$は集合である)というのがありますが、このとき濃度に関して$\sharp X < \sharp 2^X$が成り立つことが示せます($X$がどんな無限集合でも)。したがって無限集合にも大小が色々あることが分かります。

$$例)\hspace{30pt}\sharp\mathbb{N} = \sharp\mathbb{Q} < \sharp 2^\mathbb{N} = \sharp\mathbb{R} < \sharp 2^\mathbb{R}$$

とくに、無限集合の濃度はその大小に関して整列集合(任意の部分集合に最小値が存在する順序集合)になっており、順序数$$
0,1,2,...,\omega_0,\omega_0+1,\omega_0+2,...,2\omega_0,.,3\omega_0,...,\omega_0^2,...,\omega_0^{\omega_0},...,\omega_1,...
$$で番号付けられるようです。(証明したこと無いけど。wiki参照)

集合の濃度を小さい順に並べた$0,1,2,\ldots,\aleph_0,\aleph_1,\ldots,\aleph_{\omega_0},...$のことを基数(cardinal number)といいます。特に有限ではない基数を無限基数というのですが、$\aleph_0$はそれら無限基数のうち最小のものです。

ちなみに、$\aleph_1 = \sharp 2^\mathbb{N} (= \sharp\mathbb{R})$かどうか(実数の濃度が自然数の濃度の次に小さい濃度かどうか)は決定不可能な問題として知られています。
つまりこれが成り立つとしても成り立たないとしても矛盾が起こらず、それぞれ異なる数学が展開できます。
こうしたことに関連して、どういう公理を採用すると何が成り立つのかや、異なる公理の関係などを研究する数学基礎論やモデル理論などの分野もあります。

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