#1.はじめに
大学入学後に「進路再考」という理由で休学・退学する学生を数多く見てきました。
入学前に抱いていたイメージとのギャップに苦しむ学生は一定数いるようです。
また、退学とまではいかなくても、4年間「何か違うな。。。」と感じながら大学生活を送るのはあまりにも勿体ないです。
受験生に後悔のない進路選択をして欲しい。
知名度や偏差値以外の判断材料を提供したい。
そんな願いを込めて、今回アプリケーションを開発しました。
使用技術は、LaravelとVue.jsです。
#2.何を作ったのか
簡潔に述べると、各大学の定める「ディプロマポリシー」・「カリキュラムポリシー」・「アドミッションポリシー」を検索できるアプリを作りました。
「は?何それ?」と思われた方が大半だと思います。
私も大学関係者になってから知りました。
実はこのポリシーこそが進路選択の際に非常に役に立ちます。
受験生の皆さんにも是非知っていただき、進路選択の判断材料にしていただきたいです。
#3.各ポリシーについての説明
ポリシーについて興味を持ってくださった方のために、簡単に説明させていただきます。
文部科学省の「三つのポリシーの策定と運用に係るガイドライン」によると、それぞれ以下のように定義づけられています。
引用元:https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/015/attach/1365326.htm
###ディプロマポリシー
各大学がその教育理念を踏まえ,どのような力を身に付ければ学位を授与するのかを定める基本的な方針であり,学生の学修成果の目標ともなるもの。
卒業するために必要な能力を示しています。
裏を返せば、卒業に必要な単位を揃えることで身に付く能力を示していると言えます。
###カリキュラムポリシー
ディプロマ・ポリシーの達成のために,どのような教育課程を編成し,どのような教育内容・方法を実施するのかを定める基本的な方針。
各年次でに何を学ぶか、という内容を示しているパターンが多いです。
###アドミッションポリシー
各大学が,当該大学・学部等の教育理念,ディプロマ・ポリシー,カリキュラム・ポリシーに基づく教育内容等を踏まえ,入学者を受け入れるための基本的な方針であり,受け入れる学生に求める学習成果(学力の3要素※)を示すもの。
※(1)知識・技能,(2)思考力・判断力,表現力等の能力,(3)主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度
簡単に言うと、大学側がどういう人を求めているか、ということを示しています。
#4.3つのポリシーを把握するメリット
ポリシーを把握しておくことで得られるメリットは以下のとおりです。
①卒業までに習得できる能力を逆算できる。
②カリキュラムがどのように進行するか知ることで、進学後の勉強がイメージできる。
③大学側が求める人物像を知ることで、自身に合っているかの判断ができる。
受験生側が上述の3点を把握しておくことで、大学とのミスマッチを防ぐ効果が期待できます。
#5.アプリケーションの機能について
前置きが長くなりました。
当アプリの機能についてご紹介させていただきます。
主な機能をリストアップするとこんな感じです。
機能一覧 |
---|
ログイン機能(Laravel Auth) |
大学の検索機能 |
ポリシーの表示機能 |
お気に入り追加機能(Ajax) |
お気に入り削除機能(Ajax) |
ご指摘・ご意見等投稿機能(外部サービス使用) |
以下、特にご紹介したい点のみ補足します。
###大学検索機能###
以下の5つの項目から大学・学部・学科を検索することができます。
①大学名
②地方
③都道府県
④学びたい分野
⑤国公立or私立
条件を掛け合わせて検索することも可能です。
###お気に入り機能###
ポリシーの表示画面でハートマークを押すと、お気に入りに追加できます。
お気に入りに追加したデータは、お気に入り画面からいつでも確認することができます。
また、追加したデータは、いつでも削除できます。
ポリシーを比較したい時にも有効です。
###ご指摘・ご意見等投稿機能###
ゲスト以外でログインした場合に使用することができます。
自作することも考えましたが、簡単かつ安全に利用できる外部のサービスを使用しております。
各学部のポリシーは、学部再編やカリキュラム改訂などで変更になる場合がありますので、
もし気づいた方がいれば、フォームから教えてくださいという願望を込めて設置しております。
もちろん、「この箇所をこうして欲しい!!」といったご意見も大歓迎です。
#6.工夫点
###①一部機能を制限したゲスト機能を実装###
当アプリケーションは、受験生が使用することを前提に開発いたしました。
高校生に限った話ではないですが、訳のわからんサイトに登録するのは抵抗がありますよね。
私が高校生の頃は架空請求などが流行っていたりして、登録系のサイトは怖くて使用できませんでした。
しかし、サービスは使ってもらえないと価値がないです。
そこで、気軽に使っていただけるよう、ゲストログイン機能を実装しました。
###②スマホで見ることを想定してレスポンシブ化###
高校生がスマホで使用することを想定して、レスポンシブデザインにはかなり気を配りました。
勉強の合間とかで使ってくれたらなぁと思います。
###③利用規約の設置###
個人的に、利用規約がないサービスは恐ろしくて手を出せません。
また、トラブル発生時に備えて、責任の所在を明確にしておくことは必要不可欠です。
素人が作ったサービスだからこそ、もしもに備えて設置しました。
###④SPA開発###
ユーザーの快適さを追求して、SPA開発に挑戦しました。
スイスイ動くので気持ちが良いですね。
ほぼ全ての処理をJavaScript(Vue.js)で書き、SPA対応にしました。
(認証系はLaravelに素晴らしいモノが備わっているため、そちらに任せました。)
#7.今後の課題
###①私立大学に対応させる。###
現在、国公立大学にしか対応しておりません。
というのも、使えそうなapiがなく、大学のデータを集める作業は全て手作業でやっております。
(おそらくこの作業が一番時間がかかったと思います。)
今後は私立大学も実装していきたい所存です。
###②テストのカバレッジをあげる。###
テストコードについて、現在勉強中です。
テストを想定して作っていなかったので、苦戦しています。
テストを想定して開発する重要性を身をもって体感しました。
良い勉強になりました。
#8.おわりに
最後までご覧いただきありがとうございました。
当サービスは既にデプロイ済みですので、どなたでもご利用いただけます。
URLを置いておきますので、使っていただけると幸いです。
ご意見などをいただけるととても嬉しいです。
「大学ポリシー検索ツール」 https://univpolicy.net